時々、ふと、見たくなる動画があります。
私の専門領域の話とは全く違った、余談のお話し。
私の友人に、楽器作家の島野さんがいます。彼の折り畳みギターは、学研の、大人の科学、にも、取り上げられたことがありますが、本人はいたって欲のない、Bluesと日々の自分らしい生き方を愛する職人的な人です。震災後、住んでいたところは倒壊し、勤めていた、松島のオルゴール博物館(彼は、ドキュメントの全くない200年物のパイプオルガンを楽器と対話しながら、直していったといいます)も閉鎖。本人はそれでも、人生はBluesだと、言わんばかりの、「まあ、なんとか、なりますよ」と。いろんなところがかっこよすぎる人なんですが、その彼がずっと前に、ビデオを見せてくれました。”折り畳みの鍵盤楽器を作ったよ”と。その動画、時々、見たくなる夜があります。この動画は3分過ぎから、実際の演奏が始まりますが、その演奏もまたいいんです。彼は、この引いている女性の方(プロのミュージシャンだと思いますが、私が知識がなくて存じ上げないのですが)に、おさめるために作ったそうで、動画を頭から見ているときに、「え、ピアニカ?!これでまともな音が出るの?」と思ったものの、演奏が始まると、何とも言えない気持ちになります。途中でバイクが走る音が入っていたりして、本当にその辺で引いたんだなぁというあたりもまた。ピアニカ2つに対して、足で踏んで送風して、というのは理屈では分かりますが、それを牽く人が引いたらここまで、音が出せるか、、、と痺れました。
島野さんをめぐる日々、というのは、普通に見たら、結構経済的に、悩みが多そうな気がしたりするのですが、そんな下世話なところは馬耳東風。彼は、でっかい体に、自分で改造して作ったという三輪バイク(ちゃんと、陸運局で認可を通したそうです。僕も昔のせてもらいました)に、つなぎ。ぽっけには、ブルースハープが入って、もう何だろうこの漫画の主人公みたいな感じは、と、思うのです。
時々、あわてている心で、なにか堂々めぐりしているときに、この演奏を聴きたくなります。今日もこの動画を見る夜でした。