組織が重大過失をおかす現象をディスカッション
今日の夕方は大学院のある日でした。
研究室のゼミ発表、今回は、韓国からの社会人院生留学生の方が
JCOの臨界事故、というヘビーなテーマについて発表されました。
デリケートな話なので、具体内容への言及はやめておきます。
代わりに、一つの問題を考えるためのモデル作りを
ちょっとしてみたいと思いました。
ゼミでのディスカッションを部分的に採用しそれを組み上げてみます。
問題
「なぜ組織は時間とともに重大過失を犯すところまで変質してしまうのか」
答えはすぐに出ない難しい問題です。
解こうとする変わり、これをシンプルモデルに置き換えることに
創造的努力を注いでみたいと思います。
いくつかの論点がありました。
・立ち上げの当初は、絶対に間違うはずのない運用マニュアルがあった。
・高度に理解をしていた人が、簡素化できるやり方(裏マニュアル)をつくった。
・コスト削減で人が変り裏マニュアルの意図を理解できない人が現場に入った。
・現場を指導する管理者による合意の下、作業を進めた。
・大幅に裏マニュアルを縮めたショーt-カットの作業がなされた。
・危険な事象が発生した。
・危険な事象であることの深刻さを知らされないまま現場は収集作業に当たった。
散文的に、要素になりそうなものを拾い吟味してみます。
■組織を人と単作業(これが、数珠つなぎになったものが仕事プロセス)という2要素の存在する力学的な系だとかんがえる。
■その場には、経験曲線を滑り降りる、という力場が働き、それにより、プロセス(単作業の串団子)は、常に簡単なものになろうとする力が働く。それにより、串団子は癒着したり、取りはがされたりする。
■人に蓄積される復元情報が、入れ替えで、不可逆プロセスになる。
まず、単純化したプロセスは、ひずみ、リスクを内包するが、それを運用上、まったく問題ないように手当てできる。初期の人材は串団子の変形前と後を知っているので。
しかし、串団子の変形後に投入された人材は、変形後の串団子がスタートであり、問題の内含を感じ取ることができない。以前の人材がいるうちは運用の変更(つまり串団子の変形)はおこらないが、変わった時には、自分の領域を強力にコントロールする権限を得て、さらに危険を内包したプロセスに変更する。(経験曲線の圧力による)。
■その結果、経験曲線を滑り降りる組織的な圧力場と、人材要素の交代を力学的にモデルにすれば、t時間経過後何が起こるか、想定できる、のではないか。
そんなモデルです。
まず、力場の中で、串団子はひずむ、はずされる、という現象を、仮説として持っておくことが大事なのかもしれません。問いに対する一考察でした。