誠Biz.ID:“1人ブレインストーミング”4つのルール
アイティメディアの誠Biz.IDさんに
『アイデア・スイッチ』を取り上げていただきました。(5回目)
内容は、4章の中にある
「ブレインストーミングの本質や実際のコツ」です。
”一人ブレスト”という切り口で表現されていますが、本質的には、チームで行うブレストでも同じです。本のコンセプトから、「一人でアイデアを出す時に、ブレストはどう役に立つのか」を意識しています。
ちなみに、この章は、書籍になるまでに
かなりの書き直しをしています。
私の本来の文体は「発想の思考過程、その、ひとりがたり」を
中心に書く傾向があります。
編集者さんとの打ち合わせ、書籍にむけた見やすい文章へと
大きく修正しました。
しかし、一方で、発想のプロセスは、
ある種の人にとっては、思考過程のひとりがたりの方が、
いいように感じています。
そこで、かなりワイドルカードなスタイルですが、
先what後howアイデア出し(二段階ブレスト)について
一番最初の原稿をここに載せてみます。
「読みにくいよ・・・」という声も多いかもしれませんが、
1%でも、「そういうことか」と直観的にうけとってもらえる
方がいっしゃれば幸いです。
[初期段階の原稿](反転してお読みください)
8-2 自由な発想に集中できるアイデアの出し方「先what後howアイデア出し」
「こうだったらいいのにな」という閃きを、劇的に出しやすくする、3ステップ方法をご紹介します。一人でブレストする際に、試してみて下さい。
コツ:whatとhowを分けてブレストをします。
最初の10分では、「こうだったらいいのにな」「こうだったら、面白い」というのを思いつく限り、列挙します。そして、その中から1つ選び、次の10分では、「どうやってそれを実現するか」をアイデア出しします。アイデアを出す作業を、このように構造化することで、「どうやって実現すればいいか分からないけれど、こうだったらいいのになぁ」というアイデアがすいすいでます。
もうすこし、詳しくご説明します。
STEP1「whatを出す」
最初の10分で、面白い案、理想案を出しますが、つい自分で批判を出してしまいますが、「そうだ、実現方法は、今は分からないでもOKなんだっけ!」と、気楽に、未成熟なアイデアなく出していけます。これってアイデアと言えるかな、というのだってOKです。結局選ぶのは1つだけです。できの悪いのは、後で必然的に消えますから、迷ったらそれは書き出します。
なお、時間は10分、と決めて、やるのがコツです。出しつくしても時間があれば粘ります。もし10分たってもどんどん出ているようなら、さらに5分、もうさらに5分、と延長してもかまいません。しかしいずれにしても、「何分までは、whatをだす」と意識していることが大事です。それによって、未成熟なアイデアを出してもいいんだ、という意識を維持します。
STEP2「1つ選ぶ」
ステップ1がおわったら、そこから1つ選びます。え?いいのがたくさん出たのに、一つだけ?そう、一つだけです。2つ以上、選んだではだめです。でも、いいアイデアを合わせたらもっといいアイデアが作れるんだけど、という場合は、足してより良いアイデアを作って結構です。「統合したりできないけれど、この3つのアイデア、どれも捨てがたいよ」というどうしてもの場合は、ステップ3を、それぞれのアイデアについて、やります。でも、3つの中でも、1~3の順位をつけて、1からやります。
どういう基準で選んだいいの?それについては、アイデア出しのテーマに対して「優れているな」とおもえるもの、で結構です。やれなそうなアイデア、実現方法が分からないアイデアでもいいんです。
優れいてるアイデアって、どういうもの?「面白い」「広がる可能性がある」と感じるものです。詳しくは、アイデアの絞り方「収束・メソッド(9章)」をご覧ください。
STEP3「howを出す」
今度は、「このアイデアを、実現するにはどうすればいいだろうか」ということがアイデア出しのテーマになります。10分間、実現するための方法を、列挙していきます。本当にそれは、問題を解決するだろうか、と疑わしいものでも、とりあえず挙げていきます。未成熟なアイデアでも、挙げるとそれがヒントになって、よりよい実現方法を思いつきやすくなりますので。
なかなか、実現方法が思いつかない、というときには、トリガー・メソッドの「智慧カード(TRIZ)」や「SCAMPER」を使ってみて下さい。
実際にやってみましょう。状況はこうだとしてみましょう。
あなたは地域のイベントで、新聞紙を使った面白い遊びを子供たちに教える役ことになりました。新聞紙を使った面白い遊び、なんかいいアイデアをださなきゃ、というシーンだとしましょう。
STEP1「whatを出す」
10分間、こうだったらいいのにな、を出します。
「新聞紙で、か…。
つなげて大きなシートにしたらなんかおもしろいかな。じゃあ“巨大な紙のシートをつくる”かな。遊びのアイデアじゃないけれど、これくらいのレベルから書いておこうか。しかしこれ、どうやってつなげるかな…、あ、そうかこれは、STEP3でかんがえればいいのか。
じゃあ次。大きなシートか、芝生の上にしいたら、あそびになるかな、それより、下に潜ったら暖かいかも。“新聞紙の巨大シート下にもぐって遊ぶ”ってどうかな。
二枚用意して、あちこちをノリでとめて、迷路みたいにしてもいいな。障害物競走の網のエリアっぽいかんじかな。じゃあ、“新聞紙の巨大シート型迷路”。でも子供が入っても切れないようにするにはどうしたら…、あ、そうか実現方法は、あとで、だったな。
シート以外に、ハンモックにして、寝転がるのもありかな。“新聞紙ハンモック”
燃やしてみるものいいかな。危なくないようにするには…というのも、あとでいいか。じゃあ、“燃やして遊ぶ”
ちぎって、湿らせて、それをまるめて“新聞紙・雪合戦”もいいかな。びちゃびちゃの後始末…は、よし、あとで。今は考えない。」
だいたいこれで10分くらい経ちました。
STEP2「1つ選ぶ」
選びやすいように、整理してみます。
巨大な紙のシートをつくる
新聞紙の巨大シート下にもぐって遊ぶ
新聞紙の巨大シート型迷路
新聞紙ハンモック
燃やして遊ぶ
新聞紙・雪合戦
「“面白い”っていみでは、迷路と雪合戦かな。“広がる可能性がある“っていみでは、雪合戦かなぁ。雪だるまとか、ぬれ新聞紙アート、的な広がりもありそうだし。
ということで、「新聞紙・雪合戦」を選びました。
(補足:ここで、注目してほしいのですが、燃やして遊ぶ、のアイデアを出した時に、火の始末は、、、と心配しかけましたが、落としてしまうアイデアには、かけた時間が無駄になってしまいます。同じくハンモックの強度を心配しかけましたが、これも考えなくてよかったことなんです。アイデアの実現可能性を心配して対策案まで検討して多くのは、選出する1つに対してだけ、やればいいんです。)
STEP3「howを出す」
今度は「このアイデアを、実現するにはどうすればいいだろうか」つまり「新聞紙・雪合戦を実現するにはどうすればいいだろうか」がアイデア出しのテーマになります。10分やります。
「新聞紙をちぎって濡らして、玉にしたら、雪玉のように充分な形状を維持できるのかな、それから、硬く重たくなりすぎて危険じゃないかな。どこでやれるんだろ、びちゃびちゃになるし、たくさん飛び散って壁とかについたら、きれいに掃除するのは大変だぞ。濡れた新聞紙を、どう廃棄すればいいんだろう。濡れ新聞紙をぶつけられたら、インクでよごれないのかな」ざっと、こんな懸念点がありです。そうこれらをカバーして実現するには、どうすればいいか、考えてみます。
安全面を考えて、「硬く重くて危険じゃないだろうか」は、「じゃあ、ちぎらずに、一枚を半分にした新聞紙を丸めてから濡らすと、適度な球形を維持しながらも、やわらかいんじゃないだろうか」とアイデアをだします。これは、。試すのが簡単なので、すぐやってみてもいいですね。目に入る可能性をかんがえると、何かガードも欲しいところです。
「汚れる、というのも、お子さんの親御さんが気にするだろうから、何とかしないと…。そうだ、カッパか水着はどうだろう。汚れても水で洗い落とせるビニールならいけるかもしれない。水着はちょっと、時期と場所をえらぶかな。でも、水着っていみでは、目をまもるゴーグルは、いいかも。このイベントには、ゴーグルとカッパ持参で
集合!とすればいいかも」
この辺で10分になりました。もう少しだけ、対策アイデアを考えてみます。
「場所は、屋外、だよな、よごれるから。転ぶことを考えると、土の運動場を借りたいなぁ。清掃は、ある程度、大きいものを手で拾って、細かいのはほうきで集めるか」
こんな感じになります。
20分前には、まったくのノーアイデアでしたが、結構、子供が喜びそうなアイデアがつくれました。濡れるから、これはダメ…としていたら、このアイデアはうまれていませんでした。ステップを分けることでブレストの本質を、維持したまま一人ブレストが可能になります。ぜひ試してみて下さい。
ちなみに、雪合戦の旗の代わりに、敵陣の新聞紙の旗を破り落としたら、勝ち、というのがいいでしょうかね。それから、勝負のついた後に、第二ラウンドを作って「落ちている新聞紙を、たくさん集めたチームが勝ち」としたら、瞬く間に、ゴミは2つのゴミ箱に収集されていく、かもしれませんね。
