KAYACやなさわさんの新刊『アイデアは考えるな。』
面白法人KAYAC(鎌倉のネットベンチャー)のやなさわさん(代表取締役の柳澤大輔氏)が、日経BP社から11月23日に、新刊を出されるそうです。タイトルは『アイデアは考えるな。』シンプルなネーミングで、力強い空気とサービスを作りだすカヤックさんの真髄に触れられる本となりそうです。
やなさわさんから、メールをいただきました。
「IdeaPodと石井さんの書きましたよ」とのこと。
なんと!
そして、先ほど、速達郵便が。

漫画…?
いや、カヤックさんの社用封筒のようです。

表も裏も、わー、たのしい。という感じが満点の封筒です。こういうのがきたら、受け取った人は、「中に入っているものはきっと楽しいものだろうなぁ」と感じますね。
(大企業の硬い会社さんの場合は、この封筒が、外出時に来ていたら「おい、それ、なんだ?」ってきっと周りの視線を集めるでしょう。そういうシーンを想起すると、カヤックWAYというか、そういうものに、にやり、としてしまいます。)
発売前ですので、見本としていただいたと思いますので、あまりたくさんの内容に(今の時点で)言及するのは控えたいとおもいます。
ただ、さっとめくってみて、「あ、ここだ!」と130ページにみつけました。
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※情報に配慮して、あまり鮮明に移らないように撮りましたが、もちろん、本物の本のほうは読みやすい紙面です。
(いま、私は、講演を作っていて締め切りの最中なのでじっくりとは読めていないのですが、)
この本、KAYACイズムというか、やなさわさんというワンダフルな人の思考のエッセンスが、ビジネス書の形で文字になったような、面白い本でした。やなさわさんの頭の中を石井はどこまで知っているかといえば、一年前の11月にシリコンバレーに行った1週間で会話したこと、だけ、ではあるのですが、彼の視線と言葉の端々に感じ取ったものはそのまま、この本にも、ありました。
私は、創造工学の研究というか、アイデア創出のプロセスを研究して、そこから抽出する手法を、企業さんに提供することを毎日しているわけですが、一方、やなさわさんのしていることは、そういうことも事業機能上のなにもかもふくんで、ゼロから何かを作る。作りつづける、ということを事業として間断なく続けているわけで、「学術的にどうであるか」よりも「実践として実効的であるのか、具体的にできるのか」により強いものを持っておられます。それでいて、非常に多読な人で、過去の良書にある記述は大抵把握されているので先行的な知をもとに、独自化されています。
アイデア発想法の本が好きな人向け、という面もありますが、「創造する組織を作っている途上にある経営者」「自分ところは、創造的なチームに育てたいリーダ」にとって、特に良い本だと思います。気軽にすっと読み切れて、それでいて、言葉にならない大事なものがのこる、そんな感じの読後感ではないでしょうか。
もちろん、ネガティブな面も書かないと、レビュー的文章としては、公平じゃないので、考えてみますと…。
そうですね、「スキルの本」だとおもうと、拾いきれない「マインド・セット」の部分も後半にあります。
コンサル系の能力に長けた読者は、統計的データによる論拠をもって「スキルの妥当性」を評価したり、コンテンツ的にも、MECEで話を分けて語れているか、で評価をする方もいると思うのですが(そして、アカデミア的な活動では、私もそれを求められますので、その立場をまったく否定はしないのですが)、そういう方には「受け取りにくい」面もあるでしょう。
ただ、多くのビジネス書もそれはおなじです。再現性に限界のある状況で著者がつかんだノウハウをできるだけ公正に、他の人にとって有用な部分を切り出し整えたもの、が、ビジネス書の骨格だとおもうのですが、その意味では、やなさわさんのアウトプットは、その中でも、きわめて紳士的なものだと思います。
具体的に中身について言及するのは、見本的にいただいたこの段階ではまずいと思いますので、自粛しておきます。
1)創造的な組織を作りたいアントレプレナー
2)創造的なチームを作りたい新任のリーダ
3)ベンチャー企業の研究開発初期段階活動に興味のある研究者
にとって、お勧め、というところで、筆をおきたいと思います。