5分で読んだ漫画が20年以上、心に残る、ということについて
来週、漫画ストーリー学部でブレストの講義をしています。漫画が読者に読後感をあたえるものであり、何十年もの間忘れない一こまを提供するものであること。それを大事に考えたいと思います。
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私はどうか、ちょっと思い出してみました。
こどものころ、鉄拳チンミ(てっけんちんみ)を読んでいて、ずっと記憶残っているシーンがあります。それは、彼が新しい武術を学ぼうとするときです。その間、それまで達人の域にあった技を封印しなければならない。中途半端にすれば、元の技も壊れてしまう、と。
子供の頃、使っていない家の中を掃除していたとき古い漫画がでてきて、750ライダーを読んだことがあります。今も記憶に残っているシーンがあります。主人公の舎弟のような男の子が喫茶店(多分、ピットイン)の前の真夏の炎天下のした、大口を太陽に向けて開けている。というシーンです。何をしていると、とわれてかれは、こうするとアイスコーヒーがうまいんです、と答えたように覚えています。その夏のシーンが、僕の心の中の、理想の夏としてずっと心に残っていました。
「スマイル for 美衣」というカメラの得意なヒロインの話し。子供の頃に、床屋さんの待ち時間に、たまたま読んだだけ、のような気がしますが、忘れていないしーんがあります。何かに打ち込んでいるとき以外はスイッチが切れているような主人公の姿がずっとなにか印象的でした。
魔女の宅急便のあの世界観もたまらなく好きで、その舞台となった町で半年くらい、暮らしてみたいなぁと、映画をみてからずっとおもっているのでした。
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漫画や映画のわずかな時間のなかで読み手の何十年先までのこるものを提供できる作品はわずかかもしれませんし、人によって何が残るのかまちまちかもしれませんが、作品、というものには、そういう部分、ありますよね。