東大にて。ゲームと学習とナニカと。
さて、ようやく、バックデートでブログを書きましたが、震災後、ごく最近のものも、続けて書きます。
学びながら、遊ぶ。
遊ぶ、の時間の中で、学ぶ。
シリアスゲーム、という概念があります。社会人大学院時代にこれも興味深いなあと、思っていた領域です。その影響もあって、アイデアプラントの作品は、ゲームカード風の発想ツールの形をとっているのかもしれません。アイデアプラントは面白いならばやってみる方針だから、自然と作る作品も、おもちゃテイストの混じったものになる、のかもしれませんが。
さて、本題です。
週末に東大にいってきました。池尻さんたちが主催している勉強会に参加するためです。今回のテーマは、先にブログで紹介したカレイドソリューションズの高橋さんによる、企業研修用のゲームです。これが実践できるとなればそれは結構な貴重さなので、いろんな予定を調整しまくって、参加してきました。
オープンニング。向かって左が高橋さん。右が池尻さん。池尻さんもツイッターで知った方で、東大の博士後期課程の方で、歴史コンテンツをゲームにした学習ツールを作っておられ、その切り口がとても面白くって、注目していた方でした。
こういう場所に集まる方々なので、参加者もまた、興味深い仕事、楽しい人が多かったです。ニッチな感じの学びの場に行くと、自分と共鳴周波数が近しい人が来る、その刺激というのもまた、かなりいいもので。
最初に、早稲田の福山さんから講義がありました。興味深い。そしてコンパクトにまとめる手際よさ。
そして、ゲームの体験。コンテンツは、パラダイス。
道具のコンテンツに配慮してちょっとぼかしてのせますと。
初めは、各自が戦略立案する時間です。基本ルールを高橋さんが説明。それを聞いて、ゲームがどういうもので、どういう展開になるだろうかを、頭の中で高速で想像していって、未知数もありながらも自分の基本戦略を、決めます。一度、荒っぽく立てた戦略を、細かくチェックして微修正をかけたところで、ゲームがスタート。
内容を書くことは差し控えたいとおもいます。一言でいうと、非常によくできて、そして、面白いゲームでした。交渉が許されていて、新しい選択肢を創造することができるゲーム構成でした。
余談(昔、MMJでみんなで体験した吉村さんのつくったVenturerにもそういう、選択肢創造の余地を持たせたゲームがありました。 http://1uma.jugem.cc/?eid=226 今思えば、仙台は平和だったなぁ、あの頃。そして、あのころからT君の強運はすごかった。さて、そういう感傷は、さておき)
この選択肢の創造、というのは、ゲームの基本設計がかなりしっかりしていないと、なんでもありの、つまらないゲームになることがあります。今回の「パラダイス」は、というと、実によくできていて、その辺の交渉が、見えないながらも、流れがガイドされています、その基本的な行動原理と順番決定ルールなどによって。それによって、面白い交渉も成り立つ余地が大きくなっています。
カードゲームについての造詣が深いかと言えば、趣味にしている人に比べると、私はそれほどでもないと思いますが、自分自身が、ブレスターやIDEAVoteなどのアイデアに関するカードゲーム、ボードゲームを設計するチームにいるため、ある程度、ゲームがどう流れるかを、道具をみて、うっすら想起できる部分はあります。あくまでうっすらですが。
ゲームをしつつも、このゲームがメンバーにもたらす作用や、人間関係の変化を観察しながら、楽しんでいたのですが、最後の方は、もう夢中で、他社の観察や自己観察をするどころではなくて、必死に勝とうとして、楽しんでいました。(笑)
前にあるところで体験した「貿易ゲーム」を体験して、深く深く印象に残ったことがあります。「交渉が成り立つ時の条件」を自分なりに発見し、それが、印象に残り続けているものです。「交渉が成り立つ時というのは、2つしかない。一つは、相手が足りなくて困っている時。交渉して改善しないと困窮してしまう状態に要る人は、交渉に乗ってくる可能性を持つ。もう一つは、相手が余剰があって使い切れない時。交渉した相手がそれを用いて有利になったとしても、自分が持っている勝ち点が大きいために脅威とはならず、また、得点にはならない余剰資源がある場合、人は取引に乗ってくることがある。まとめると、”人は困っているか、余っている時しか、交渉が成り立たない”というもの。これが、その時以来、交渉の時の知恵として自分の中に息づいています。
さて、なんでそんなことを言い出したかというと、今回、それがありありと自分の中で活動をし始めたから、なんです。困っている相手とは交渉が成り立つ。トップとの差が計算された差額内であれば、ある戦略がとれるけれどそれは、困っている2名以上の協力がいり、かつ、自分の勝てる勝率は1/3。でも、その戦略をとれば多分、3度に一度は勝てるだろう、と、昔の学びをもとに計算していました。
なんというか、こういう、人の中に残る学び、というのは、それが時には不快な経験であった場合もあるかもしれません。私も、交渉が成り立つ時、という記憶がこんなにも強く残っていたのは、それなりの理由があります。
具体的な戦略を書くことは差し控えますが、そういう、いろんな総合力を盛り込む余地のある、とても面白いゲーム構造でした。そういうことは考えずとも、直観的に勝負していけばそれなりの点も狙えますし、その意味でもよくできています。
最終ラウンド、私は、ラウンドの始まった時点で、5人中4位。トップの点数の1/4に近い点数でした。自分の構想した戦略通りに、交渉し、それがなりたち、最後の確率1/3の勝負で幸運にも私ので目が一番で、勝てました。その結果、地道な優勝者が平均してとりえる点数の更に50%ぐらい上の点数で優勝することができました!(かなり、うれしい!)←我ながら、大人げない。。。
そんな感じで気が付くと、1時間以上のゲーム時間があっという間でした。
それから、高橋さんの講義、そして、グループ内での振り返り。このゲームとはなんだったのか。
その辺の回答へ至るスライドも、ぼかしておきます。ゲームで学ぶ研修らしく、なんども、騙されて、みんな真剣。いいですね、そういうの(笑)。
又もピンボケですみません。フィードバック中の高橋さん。楽しい講義。振り返りも、正解をしって安堵、ではなく、この講義もまた考えさせられます。
そして、福山さんから、フィードバックと講義。
変容学習。
ダブルループ学習。
どれも、なるほど、なるほど、と興味深いお話でした。人材教育の雄である酒井さんのブログ、メルマガを読んでいても出てくる言葉ですが、こういう実体験の後に学習することで、その知識吸収力は格段。
この後は、東大の近くの焼き鳥屋さんへ。おいしい焼き鳥屋さんでした。いろんな人とのディスカッションも、更に興味深かったです。
次回は、ちきゅUNO、という世界の事を学べるUNOだそうで、これまた興味深そうです。
みなさん、今回は有難うございました。
池尻さんのブログ
http://www.i-timemachine.net/about.html
多分、池尻さんのツイッターをチェックされると、この辺界隈の面白い情報が、沢山。
この方が、私のグループのファシリテータもしてくれました。
高橋さん(カレイドソリューションズさん)のブログ
http://www.kaleidosolutions.com/2011/06/gamelearningjob_1.html
スライドも見れます