「作る」と「売る」はセットで。
多喜義彦氏の著書に『価格競争なきものづくり』(日経BP社、2006年1月)があります。開発の達人・多喜さんは、開発のコンサルタントです。しかしただのコンサルタントではありません。付加価値の高いものづくりのエッセンスがこの本には詰まっています。そのひとつに、『「作る」と「売る」はセットで』という章があります。今日はそれについて書きたいと思います。
その冒頭には次のようにあります。(P101より引用)『物を開発するときには、売り方や使い方までセットで考えなくてはいけない。商品そのものがどんなに優れていても、それだけでは価値を生まない。それが誰にもアピールできなければ、商品の価値はないも同然だ。逆に売り方のアイデアばかりが先行してもいけない。「ネットで販売する」という触れ込みでつくった会社は次々と消えている。欲張りなようだが「両方がそろっている」ことが必要なのだ』
私は以前商社の営業として先端的な技術を続用した商品の市場創造にかかわったことがあります。そのときに「おお!ものすごい技術だ。よくぞカタチにした。」と思わずにいられないような商品にいくつも出会い、その一方で「しかし、なかなか、、、売れない!すごいんだけど、売れない。。。」という経験をしました。驚くほど、です。
この経験は、私がその後大学院にもどり技術経営(テクノロジーマネジメント)を続ぶきっかけのひとつになったものです。ベンチャーは初期の顧客を獲得するのが難しい。イノベーティブな商品ほど初期の販売に苦労する。そういう問題意識です。
多喜さんの本ではそこにたいする具体事例として実にさらりと「作ると売るはセットで」ということを遜いています。易消去フィルムという製品が、ソフトの無料提供(※1)をベースに、漢字練習の用途市場が開発され長期的な展開を図っている、といった事例です。
※1:漢字練習ソフト → 書き順マスター
後半には、コーヒーメーカ(ハード)を無料にして、オフィスにコーヒー豆を売るといった事例もあります。ハードとソフト、どちらか一方を無料にしても事業として優秀な収益がだせる構造をもつという考え方が乗っています。(かみそり刃商法、と位置づけられるのもこの一部だと思います。)
ビジネスモデリングの上でヒントとなるエッセンスですね。