帳簿を「手で考える」キット(のアイデア)
創業3年目。大好きな仕事ですが、確定申告は別です。クリエイティブに発想力で乗り切れないか、と何度も思うものの、帳簿をつける、という行為が何とも、味のしない算数みたいで、気が乗りません。でも、国民の義務であり社会への貢献の一つでもある納税はやっぱり大事で、帳簿付けをもっといい体験にできないものか、と常々思っていました。
記帳指導に定期的に通って、つけ方を学んでいるのですが、複雑な処理が入ると、時々勘違いをしてしまいます。どうも貸方借方が、私の頭の中で実質的な意味を形成していないから、直観的に「ん?これは逆じゃないか?」という感じる感覚がないのだろうと思います。
そこで、ちょっと、「チップや駒を動かして、この商取引はどうなっているのかを手で考えるキットがあったらいいのではないか」と思い、キットのアイデアを考えてみました。全部でこんなパーツがあれば、大抵の商取引をテーブルの上に再現できそうです(個人事業主ぐらいならば)

個人事業主の場合、初期のころに、よく帳簿付け上、こんがらがりがちなのは「事業」と「個人」の間のお金の移動です。普段は、その2つが一緒ですが、ミクロにみると、お金の移動がそこでもあるので、その両者を分離してお金の流れを見せるといいのではないかと。その辺と、売掛金(のちにお金になるもので、権利だけの状態)、買掛金(のちにお支払いしないといけないお金で、物はもらったけれど支払日前の状態)を、実質的にお金に将来化けるものととして移動させるといいのかもしれません。(たぶん、かけ、という名前の、点線のお金、もしくは、いずれ化ける、という状態を、葉っぱ、というフィギュアで示す。もっとも、狸の葉っぱは、時間を経ると、のちにお金が葉っぱに戻るものなので、逆な感じもしますが。)あとは、ややトリッキーな感じですが、物やサービスを提供したら相手にプレゼントのフィギュアが移動していくのは普通ですが、おさめた仕事のうち一部が消える(たとえばいくつかが不良だったとかで)と、マイナスのプレゼントが移動します。(実際はプレゼントの一部がこっちに戻ってくるのですが、自分の帳簿起点で説明するときには「仕事のマイナス量の提供」というややこしいことが起こります。(電流がマイナスに帯電した粒子のホールの移動として見える時みたいに、マイナスが右に流れる=プラスが左に流れる、的な、概念操作、で、そんなに難しいことじゃないのですが、感覚がわかるまでは、帳簿の処理に対応した「マイナス相当の仕事を相手に提供する」動作をしていくとわかるのだろうと)
こういう道具を作るのは、アイデアプラントの仕事の範疇ではないのですが、学びというのはその初期に出て考えられるようにして、そのあとにショートカットして、複雑行為の記号化で、高速な処理へと進んでいけばいいと思うので、自分用にこういうものを、ちょっとだけ作るのもいいなぁと思うのでした。シールにして、おはじきを20個ぐらい用意して、そこにはって、その移動で考えるとたいていの帳簿処理は一目瞭然なんだろうと思います。(いや、正しくは、一目瞭然になるといいなぁと、思うのです)
その調子で、確定申告を、ビジュアルでわかるようにする(それはひいては、PLやBSを手を使って考えることに近い)ものも、この時期になるといるよなーと、毎年思うのですが、だんだん慣れてきて、三年目でややその動機は薄らぎつつあります(慣れてきたのでいらなくなってきてしまいました)。
ただ、創業する人が私の周りには常にいて、いつも「あー、帳簿ってなんやねん!デザインだけやってたい。会計みたいなことって憂鬱!」という人はいるので、その一年目をすいすいいけるような補助道具を作っておく、というのは、一つの社会価値の増加ではないかなとも思うのでした。