【講義スライド】「アイデア創出の技術」(京都精華大学 ストリーマンガコース向け)
2012年4月17日。京都精華大学 マンガ学部 ストーリーマンガコースでの 「アイデア創出の技術」ワークショップのスライドを掲載します。サイズが大きいのでご注意ください。(13.9M)
講義に参加された学生さん、および、昔、この講義に参加されたことのある方であれば、ご自由にお使いください。
長い蛇足)
- マンガの、学部
数年前から、お招きいただいて毎年一回、行わせてもらっていますこの「アイデアの講義」、私としてもとても興味深い時間です。
マンガ学部、という名称を、普段あうビジネスマンの方々にいうと「え・・・?あぁ、私もそういえば、マージャン専攻でしたよ」という返しをもらいますが、私は「いえ、そうじゃなくて、京都精華大学は、マンガを作る人を作る学部があるんですよ」という会話を、よく、しています。それはさておき。
講師はプロの漫画家さんです。(私は年に一度のゲスト講師みたいなものなので、石井には漫画の素養は全くないですが)。
そういう方々が教育を真剣にすると、普通の先生とは違って、師匠とお弟子さんみたいな雰囲気があるなぁと、思ってみていました。
また、学生さんの描かれる作品のレベルがすごくて、初年度はかなりビビりました。この人たちに、アイデアの話をするのかぁと。
その後、何年も講義を重ねていって、また卒業後の学生さんたちの姿をツイッターで見て内面的な世界も感じていって、”なるほどなぁ、あそこまでの力量があって、かつ、そういう苦悩もあるのかー”と感じたり。
- かなりチャレンジングな課題です
講義の休憩時間や、飲み会の席で、アイデアに関しての工夫や悩みを聞いたりもしてきました。(ちなみに、できる限り事前に、アイデアに関する困りごとのアンケートを取っています。極力それに対する打ち手となるようなエッセンスを、講義に織り交ぜられるように。)
私の専門分野は、「創造工学」です。この領域は、割と古くからあり、しかし今なおマイナーな領域でもあります。人間の創造性というのは、未踏の闇が深くて、わかっていることはちょこっとです。それでも、ビジネス分野やテクノロジー分野には、発想技法というものが、世界中にたくさんありそれは誕生して消えていきわずかなものが歴史の波の中で現れて残っていきます。
私(IDEAPLANT)の仕事は、そういう全体からエッセンスを取り、時代ごと、対象者の活動ごとに、会うように調整して、道具として提供したり、ワークプロセスを設計して出したりします。
ただ、漫画という領域のアイデア、に、これほど深く特化して発想という営みを考えるということは、私としてもとてもチャレンジングな課題です。毎年、講義の後、プロの漫画家さんの、創造という心理世界を垣間見てそこから、全体的に感じるようにしては、次の年にわずかに、講義内容を発展させていく、ということをしています。そこで見えることを、発想の基本視座に分けて、ラベルを張って、はい、整いました、とやることは、可能は可能かもしれません。ただ、そうしてできたものは、大事な部分、おいしい部分が、全部こぼれ落ちてしまうような感じがして、ぼくはいつも、この仕事の時には、そういう「ビジネス、テクノロジーの領域での発想の基本視座」というものをいったんわきに置いておいて、目に見えにくいものをしんとした心で感じて、ゼロから組むようにします。
- 僕の受けている良い影響
面白いもので、漫画を描く所作を近くで何度も目にする機会をもらうと、それまで全く絵を書かなかった私が概念を絵で表すことをしはじめました。私の5年以上前のスライドには、絵はほとんど入っていません。文字と、写真と、2軸マップみたいなものだけ。ただ、精華大のこの機会をもらってからは、徐々に、パワポのオートシェイプで人型を作ってモデル図を作ったりするようになりました。
特に今年は、使っているPCが、画面にペンでかけるタイプのもの(ThinkPad X220 Tablet)なので、「あー、ふんわりした、漢字の雰囲気を示したいなー」というところには、そういうを入れています。今年のスライドはやたら、私のへたくそな絵を入れています。(おかげで、普段のスライドは、1~3メガ程度なのですが、今年のスライドは10メガを超える重さ)。
(ちなみに、肉筆もずいぶん入れましたが、タブレットの入力の方さもあって、字が壊滅的に汚くなっています。(←ホワイトボードの文字も汚いだろ、と突っ込まれそうですが)
- 9カード
精華大での講義スライドをアップするのは今回が初めてかもしれません。唯一、昨年は、関連資料として、「4カード」と「9カード」で物語構造論的に発想する、タロットみたいなカード、をこのブログでアップしたことはありましたが。
( これ https://ideaplant.net/images/ishiirikie/image/kyotoseikaUnv_ideaworkshop_ishiirikie_001_Card.pdf )
- 新、桃太郎
いつも、この枠を下さって迎えてくださる先生(プロの漫画家さん)から、昨年、「石井さん自身が物語を書くことにトライしてほしい」と言われていました。僕が書きたい物語ってなんだろう。そんなことを思う一年でした。素人の僕が、物語を、テクニックとして書き出しても、きっとつまんないだろうなぁと、何度か書いてはやめていました。作家を生業としているわけでもない自分が入魂してかけるものがあるとしたら、それは自分が人生の真実を見つけた後なのかなと思います。でも、それは逃げだろう、作る方法を作る人ならば早く作って具体的に間違って具体的に直す必要がある。そうも思います。
そこで、むかし、夏休みの旅行の間、長いドライブをして退屈していた長女につくってあげた、新しい桃太郎、の話を、はてなブログにアップしました。(なんで”はてな”かというと、京都だからです。)
新桃太郎
物語構造論のことを念頭に置いて、桃太郎を分解し、鬼の役割を変えて、鬼が助けとなる存在としてい出現する話にしています。2300文字。
・・・
脱線が長くなりました。
京都精華大の仕事は、毎年、激しく悩ましく、とっても貴重な(創造という未踏の闇の辺縁に、わずかな月で道を照らすような)そんな仕事です。