【学会発表2016-1】"アイデアを書くため専用のメモ用紙「猫の手」"(日本創造学会、第38回、名桜大学)
創造に関する学会、日本創造学会で、アイデア専用メモ用紙の制作事例とそのアンケート評価の分析を発表してきました。ここに掲載します。(この学会では、発表を2件行っています。)


(発表スライドから抜粋掲載)
論文 ⇒ 発表_NEKONOTE.pdf
スライド(上記と同じものです) ⇒ 論文_NEKONOTE.pdf
発表の中身を大つかみに紹介しますと、以下のとおりです。
◎アイデア出しをする際に、良く使う消耗品は、【ポストイット】と【模造紙】です。それらは汎用用途のアイテムであり、アイデア創出専用に絞ることで、もっとアイデア創出作業を良くできるのではないか、という着想は多くの人が繰り返し思いついてきました。
◎アイデアプラントは、そのデザイン開発に取り組み、「猫の手」という連結の機能を持ったメモ用紙を制作しました。
◎そして、98名の方に、それを用いたアイデア創出作業を体験してもらい、アンケートを分析し、アイデア創出の促進効果として、重要な要素を簡単に分析してみました。
◎重要な要素は、想定していたものもありました。しかし、予想よりもはるかに強い要素もありました。「形がかわいいこと、手作業がたのしいこと」というものが予想よりもずっと多い要素でした。
◎また、多くの人が言及したのが、”「発想を書く行為」と「全体との構造・位置づけをする行為」を分割できること”や、”話の流れの途中の分岐にもどって別のアイデアを展開しやすいこと”が挙げられていました。
◎ポストイットや模造紙やあるいは、放射状のメモを書くソフトウエアで、絶対にできない作業ではありませんが、短時間のグループワークにおいて、発想を引き出していく作業をブーストする、という点では、このメモ用紙の特徴が効くようです。
学会発表の大意は、以上のようなものでした。
ここからは、余談です。
(学会や他の局面でお問い合わせいただいた方々を巡る余談です。)
学会発表後、その会場におられた方やその後の学会期間中に大会論文集をご覧いただいた多くの方から、関心とご質問をいただきました。持参していた現物(猫の手メモ)を使ってその場で少し体験してもらい解説しました。何人かの方から”まとまった量を使ってみたいがこれは手に入れられないのか?あるいは購入することはできないのか”という問いをいただきました。
また、小ロットで連結の構造を持ったメモ用紙を自分も作ってみようかという人も方もおられて「最小ロットで印刷屋さんでいくらぐらい?」と聞かれたので「ロット数千枚ぐらいで、**万円ぐらいでしょう」と回答すると、「おお・・・(個人で作る額じゃないね。。)」と会話に。
私が、個別のワークショップ専用に作ってきた特殊な形状の紙道具は、毎回、私の研究開発として、そのコストを自腹で捻出して、非売品の位置づけで用いてきたのですが、製造分の3~4割ぐらいは、稀有な嗜好の方に向け、限定販売(テスト販売)という形で、オンラインショップから世に提供していくことも、考えたいと思っています。
春(17年3月頃)あたりに、限定販売できないか、とアイデアプラントのオンラインショップの店長と相談しています。
(何せ特注品のロット生産であり製造コストが高いので、あまり多くは作っていません。十数セットとか、数十セットぐらいが作れるぐらいとおもいます。)
アイデアプラントはアイデア創出の支援道具を作る組織です。
これまで、TRIZの発想カードや、ブレインストーミングを学ぶカードゲームを作って、日本中に出荷してきました。ただ、カードセットという枠にとらわれないカテゴリー「消耗品(=使えば使う分だけ減るもの)」も、提供してもいいのかもしれない、と昔から思っていました。ただ、社会のニーズがどれだけあるのかは、未知数です。ですので、テスト販売という形で、まずはやってみよう、と思っています。
学会発表の余談、としては、やや事業性の強い余談でしたが、アイデアプラントの代表としては、創造作業に関する研究もするし、発想支援ツールも作るし、アイデアワークショップのデザインもするし、という複数の立場がより合わさって、少しでも未踏の薄暗がりへ進んで行ければ、と思っています。