公共的サービスを担う民間事業者の充足状況
中小企業白書2007(概要PDF)には興味深いデータが多いです。2007年版をPDFでざっと見ていて面白いデータがありました。
出典:中小企業白書 概要PDF 17ページ
グラフ[公共的サービスを担う民間事業者の充足状況]があります。
縦軸は「民間事業者への期待」。
横軸は「民間事業者数の見込み」。
4つのエリアには以下のようになっています。
エリア1:「期待が低く、民間事業者が少ない」労働・交通・教育・文化・医療
エリア2:「期待が低く、民間事業者が多い 」該当無し
エリア3:「期待が高く、民間事業者が多い 」福祉
エリア4:「期待が高く、民間事業者が少ない」環境、産業振興、まちづくり
「エリア4」には、事業機会(社会的企業にとっての事業機会)があるようです。環境、産業振興、まちづくり。私の周りにはこういう分野の方が沢山いますが、事業的に困っているところが多いのが現状です。社会からの期待は多く、同業他社があまりいない。さりとて、事業としてまわしていくには、収益性の面で課題が多い。そんな分野のようです。福祉と何が違うか、といえば、大きく違うことはサービスの享受者が違う点が上げられます。「地域・社会」と「特定の個人」。産業振興・まちづくり・環境は、あるいみ社会システムの設計・構築・運用、といった性格があります。福祉についてはそれ以外に「個人へのサービスの提供」という部分があり、(廉価であれ、)対価をもらう相手が明確です。
全くの思案ですが、地域の成長促進・社会システムの良質化、については、地域の創意としてまとまったお金を払えるような仕組みがますます必要なのだと思います。商店街の活性化、といったときに、商店街の店主だけがその価値を享受するわけではなく、その地域住民やその周辺のお店をつかっている企業にも、恩恵があります。そうした地域のステークホルダーに、「地域活性ファンド」へ投資してもらい、まとまった事業的資金を、エリア4の事業者に発注する。そういうモデルが好ましいように感じます。もし、それによりうまく事業が回れば、配当が出資者に戻る。あるいは、何らかの商店街の利用券でもいいかもしれません。
そういえば、コミュニティービジネスの勉強をしたときにそうしたことを実践している地域があるとうかがった気がします。今回の中小企業白書を見るに、その分野は「産業振興、環境、まちづくり」が求められているのだ、という明確な分野がわかりました。結論がすぐに出るタイプの問題ではないと思います。ながく考えてみたいと思います。