筆が進まないのは、2つの要因がある。
論文や原稿を書くときに、どうにも筆が進まない。そんなことってありますね。いつもはどんどん仕事を進めるのに、どうしてもその仕事は筆が進まない。どうしてだろう、と。
そんなときには、次の2つの要因があるようです。両方の場合もあれば、片方の場合も。
1、未整合な要求が、フリクションを起している。
販売面の戦略と、純粋な開発思想の具現化が、未整合な場合、「書く」ということをすると、その矛盾がどうしても表面化します。書くということは、ある種のことを厳密に「区切る」ことのようです。未整合で衝突しあう要素があると、それを文に書き出すときに、行きつ戻りつ、同じところを描いたり消したり。そのうち、何を描いていいのか、分からない状態に。
2、知識・情報が足りない。
描き始めようとすると、それについて、あいまいな情報しかないと、結構つらいものがあります。数字や文字にしないで、口頭でやっていたり、頭の中で一人で考えたりしていると、そういう「アイマイ。情報が足りない」という状態に気がつかないでいることも結構あります。こういう場合は、執筆を進めては立ち止まり、文献を探したり、計算をしたり、ミニマムな実験・試行を行ったりします。また、それらを分析するための思考の土台となる知が足りない場合もあります。情報は十分なんだけど、どう解釈していいかわからない。仮説の提案や、考察が出来ません。
このように、互いに関係する2つの要因が存在するようです。
筆が進まないときには、他のことをしてみる。というのは一つの方法です。風呂に入ったり家族としゃべったり。そうしている内に、未整合な要因が浮き彫りになったり(他の人と悩んでいる部分について話しているうちに、明確化がすすむことが多いですね。)、足りていなかった情報にであったりします。仮設が向こうから飛び込んでくることもあります。(いわゆる類比発想、が起こるわけです。他の仕組みを見て、その中にあるエッセンスを感じ取り、自分の課題に当てはめてみる。すると、そこに仕組みが動き出すのを感じる。明文化してみる。モデル化できる。といった具合です)
偶然に任せる時間が無いときには、次のことをチェックしてみるのもいいかもしれません。
●自分の、あるいは自分のチームの、複数の要求をリストアップする。階層の異なるものも全て。それらに統合的な位置づけをあたえることが出来るか。もし、フリクションがあれば、それらを「えいっと、決める」ことが、まず最初にするべきことになる。
●対象とするものを書くのに、必要な情報は何か。それらは全てそろっているか。足りていなければ、可能な限り収集することが、まず最初にすべきことになる。集めているうちに、仮説などを着想できることもある。
●対象とするものを述べていくのに、主張や仮設となるものは、何か。それらは十分な価値があるか。もし、それが無いか、価値が低ければ、類似する優れた事例をあたることが、まず最初にすべきことになる。具体的に調べることで、仮説などを着想できることもある。