事業の仕組み、その革新への基礎知識。
9月26日。起業家のつどう勉強の場で、大滝先生に経営戦略をお話していただきました。毎回、なるほど~と感心しきり。
事業の仕組みの革新を考えるときに最初に認識しておくべきこと。
それは、「製品・サービスの差別化」と「事業の仕組みの差別化」は
大きく異なるものである、ということ。
前者は分かりやすく、反面、ライバルによって模倣されやすいものである。
後者は一般に、外部からは理解しにくく、それがゆえに、ライバルによって模倣されにくいものである。
事業の仕組み(ビジネスシステム)とは、
「経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を組織化し、価値を顧客(ユーザー)に届ける仕組み」
■事業の仕組みの3ポイント
(1)どの活動を自社で担当するのか
(2)社外の関係者とどのように関係を築くのか
(3)分業、インセンティブ、情報・モノ・カネの流れをどう設計するのか
■よい事業の仕組みを評価する5つの基準。
(1)有効性
(2)効率性
(3)真似しにくさ
(4)適応力
(5)発展の可能性
■事業の仕組みの革新がおきる要因(あるいは、他社が起せる要因)
(1)規制緩和
(2)情報通信技術の発展
(3)情報化とオープン・システム化
(4)企業の規模による技術・情報格差の縮小
■事業の仕組みづくりの3つのロジック
(1)スピードのメリット(タテの連鎖)
(2)組み合わせのメリット(ヨコの連鎖)
(3)集中特化と外部化
■よい事業の仕組みには「物語」(ストーリー)がある
・登場人物
・動機(インセンティブ)
・筋書(構想)
■情報化が進展するほど、情報以外の違いが重要になる
(1)社風・信用力
(2)学習による先発優位の維持―「仮説検証型」事業展開
(3)小さな工夫の積み重ね
(4)暗黙知の重要さ
(5)情報獲得―意味発見―アクション、の全体のプロセスの活性化
…これらの要素にもさらに、いくつかのエッセンスが構造化されています。これは、すごい戦略検討の道具、ですね。
SWOT、5フォース、バリューチェーン分析あたりは、事業構想のセミナーに出ればよくやったりするのですが、このあたりまで一般公開の起業家向けセミナーで言及されることは非常にまれです。(経営学修士、つまり、MBAコースの経営戦略論、でならう要素です。)
特に「よい事業の仕組みには「物語」(ストーリー)がある」については、3要素がとてもユニークだと思います。過不足無く人が描かれていて、その動く動機が自然な形に設計されている。これは、ある種のWIN-WINの設計ですね。最後の、「筋書(構想)」については、まだ実感をもっては理解できていないのですが、「筋書きがあるとは毎回一緒のことを繰り返すのではない」とおっしゃっていました。これについては、長い時間をかけて考えてみたいと思います。