【講演レポート】HoPE 1月例会「AIと創造性」
2026年1月19日、北海道大学FMIセミナールームとオンラインをつないで開催されたHoPE 1月例会にて、「AIと創造性」をテーマに講演を担当しました。企業・行政・研究機関など、幅広い立場の方々が集まり、会場とオンライン合わせて76名の参加となりました。
講演後、事務局の方からは次のようなメッセージをいただきました。
「生成AIとの関わり方が整理できたとの声もあり、『AIと考える日々』が日常化しているもとで『AIと創造性』を多面的に考える貴重な例会となりました。」
AIが日常化した今、”便利さの次に来る課題”に向き合うタイミングに来ていることを、会場全体で共有できた時間でした。
講演の主な内容
講義は大きく4つのパートで構成しました。
▼ 1. AIを使って「考える」とは
創造性の技法をAI時代にどう再構築するか、というテーマからスタートしました。
● 技法3「隙のあるアイデア」
AIに”未成熟で欠けのあるアイデア”を出させ、人が突っ込みながら発展させる技法。 AIの”つるんとした完成品”ではなく、人の創造性を刺激する素材として使うアプローチです。
● 技法18「新しい地平の探索」
大量のアイデアを出しても、人には必ず「空白地帯」が生まれます。 AIはその偏りを分析し、まだ踏み込んでいない方向性を示すのが得意です。
● 技法31「ダメ出しの模擬」
上層部視点の懸念点をAIに洗い出させ、さらに「打ち手」まで生成することで、 企画が短時間でv1.0 → v2.0へと進化します。
▼ 2. 人機共想(Human–AI Co-thinking)の時代へ
考える作業をAIのみに任せると、戦略の同質化や人間の創造的自己効力感の低下が起きやすい。AI利用の初歩ができたらその先は、人とAIが共に考える「人機共想」が重要になります。
AIとの対話を通じて炙り出される「暗黙知」や、AIが苦手とする「SEND(感受性・共感・未成熟な概念・献身)」の領域についても触れました。
▼ 3. 職場でのAI活用マネジメント
● カジュアルに知恵を共有する「AI小ネタピッチ」
● 人間2人+AI1つの「パイスタイル(π Style)」でクリエイティブノイズを復活させる方法
など、組織でAIを活かすための実践的な工夫を紹介しました。
当日の質疑応答から見えた”現場のリアル”
今回の例会は、質疑が非常に活発でした。ここでは、その一部を抜粋して紹介します。
Q1. 「使う人が違えば、AIの結果も変わるのか?」
A: 変わります。理由は2つあります。
(1) 指示文(プロンプト)の質
(2) 出てきた案をどう展開するかという”人間側の展開力”
特に後者は大きく、同じAIの出力でも、芸人・研究者・学生では展開の幅がまったく違います。AI時代の創造性は「人間の展開力」がより重要になると感じています。
Q2. 「◎◎文書をAIに書かせたら、条文を真逆に解釈された」
A: その◎◎文章に特殊な言い回しが含まれていてミスリードが起こった可能性があります。対策としては、いきなり書かせず、
(1) ベースとなる◎◎文章を理解させる
(2) 「理解できたか?」と確認する
(3) 誤りがあれば訂正する
(4) その後に執筆させる
という「ステップ分割」が有効です。
Q3. 「AI音声が不快に感じるのはなぜ?」
A: 理由はまだ分かっていません。ただ、人間は”人間が作ったもの”を好む傾向があるという研究があります。本能的な反応かもしれません。
Q4. 「ChatGPTに入力したアイデアは学習されるのか?」
A: 通常設定では学習される可能性があります。機密性が高い場合は、
● 学習させない設定にする(完全ではないと、心得ておきつつ)
● API利用
● ローカルLLM(PC内で完結)
などの選択肢が現実的です。
Q5. 「AIがやたら褒めてくるのは作戦?」
A: 性格付けによるものです。ChatGPTは「陽気な人気者」、Copilotは「親切な事務員」のような性格設定がされており、基本的に肯定的に振る舞うよう設計されています。
Q6. 「AIの”次はこれをしますか?”がストレス」
A: 定食屋のおじさん戦法が有効です。おすすめを聞いておきながら、全然違うものを頼むあの感じです。AIには遠慮なく「いや、こっちで」と言ってよい。技術的には、会話の最初に「提案をつけないで」とルールを定義するのも有効です。
Q7. 「日本語と英語でAIの回答は変わる?」
A: 変わります。英語はロジカル、日本語はハイコンテキスト。言語構造の違いがAIの思考モードにも影響します。人間が言語で性格が変わるのと似ています。
おわりに
今回のHoPE例会では、AIの技術的な話だけでなく、人間の創造性・組織文化・心理的側面まで含めて、多面的に議論が深まりました。
AIと創造性のテーマは、これから数年で組織の競争力を左右する重要領域になります。今回の内容が、皆さまの現場でのAI活用や創造的な取り組みのヒントになれば嬉しく思います。
またどこかの現場で、皆さまと一緒に「AIと考える」時間をつくれたら幸いです。
挿絵解説:
以下はスライドからAIが生成したインフォグラフィックです。石井の目でチェックして、誤りはないようですので、挿絵的に共有します。(ただし、話したことの4割ぐらいを対象にして簡易表現したものですので、実際はこれよりも広く、リッチな内容をお伝えしています。)

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