大掃除と、魚屋での売り子の経験
今年は人生において初めてのことですが、年末に数日かけて大掃除をしています。
大掃除が32歳にして初体験なのは、実家の年末行事が関係しています。
母方の実家が、東京の江東区の大島という下町で魚屋さんをしています。
年末はお正月の食品(昆布、おにがら、新巻鮭、かに、刺身など)も
その魚屋さんでうるため、大忙しです。
そのため、親戚一同、その家系に生まれた子供たちは、年末の一週間を
魚屋さんに住み込みで手伝いをする、という習慣がありました。
クリスマスが終わるとすぐに、東京の里にいくので、大掃除を経験しないで
年越しをすることになります。おかけで、掃除というものは、1月1日に魚を
売り切って疲れて自宅に帰ってから、半日程度で大掛かりな掃除をする、
というスタイルをとっていました。
これは、結婚して、東京で企業に勤めていたときにも行われました。
29日に、企業で、納会をしてかえると、スーツを脱いで、防寒着をきて、
鉢巻を締めて、ゴム製の前掛けをして、
真冬の寒い中、魚屋の店頭で、接客をします。
子供のころから手伝っているのでなれたもので、
「え”~、やすいよ、やすいよ、まだこ・みずだこ・すだこ・・・、サー、ラッシャイ!」
と声がかれるまで掛け声をかけます。
お客さんから、用事を聞いて、たこを量り売りしたり、お店で焼いた鯛を
油紙の包装紙につつんだりして、お金を預かり、お釣りをわたします。
朝8時に店頭に立ったら、夜の8時まで、ひたすら立って動き回ります。
時には、巨大な冷凍庫まで、トラックを走らせて、冷凍マグロを取りに行くことも。
そういうことを、ずっとしてきました。
年によってなぜか売れ行きの悪い食品があったりします。
ある年は、いつもは人気の「お店で焼いた鯛」がさっぱり売れません。
そういうときには、通行人の目線で店頭を眺め、みえずらくないか、
鯛のセールスポイントは何か、分かりやすい看板をダンボールに描いて
目をひきつけたり、ということをして、てこ入れします。
長年やっていくと、そういうことがうまくなります。大体、売れます。
常連のお客さんと雑談して、普段は企業でスーツ着て働いています、というと
それが想像できないほど、魚屋さんの売り子が似合っているそうです。
さて、長くなりましたが、今年は研究者として、仙台に住んで年末も
研究を行っているため大学のある東北にいるために、ようやく、
家族ですごす年末となりました。日中は大掃除をして、夜中・朝方まで
研究です。
掃除をがんばっているときに、ふと、この魚屋での体験(修行?)のことを思い出しました。
今思うと、実家も父は事業をしていますが、母がたの実家でもこのように、
商いをしていたわけです。
父が事業をしていたので知り合いのおじさんたちはみんな経営者でした。
子供のころから、おもえば、経営や商いということを当然のようにする人たちに
かこまれて育ってきたことは、多分すこし得だったのかもしれない、と今は思います。
大掃除で窓を拭きつつ、そんなことも思いました。