アイデアの解剖学
アイデアは、普通、2つのパーツ「w」「h」で、できています。
wはwhat、hはhow。
■パーツ「w」
アイデアがふと頭の中で形成されるとき、大抵は、はじめにwができます。「**だったらいいのになぁ」というセリフで紡ぎだされるアイデアの断片です。もうすこしアイデアっぽい表現をよりしろにして出てくるとこうです「**なことができる商品(製品、あるいは、サービス)って、よくない?」
これらは、いずれも「理想像」が発案されています。
このとき突っ込みを入れてしまいがちです。「でも、どうやってそれを実現するんだ?」と。そう、実現方法は?というのが、もう一つのパーツなんです。
■パーツ「h」
アイデアがふとひらめいて理想像が出た。それを思慮深い人だと、じゃあ、どうやってそれを実現するか、つまり「h(ow)」(実現方法)を出そうとします。その結果、思いつかないと、だされなかったり「どうやって実現していいかわからないけれど、**ってアイデアどうかな」(パーツ「w」だけの提示)をしています。
たまに珍しいルートで登場することもあります。「h」から先に提示される場合です。何に使えるかわからないけど□□っていうやり方を取り入れたら、何か面白いことできないかな、と。手段を適用して、あとからその有益性を探索する感じですね。
アイデアの解剖。じつは、アイデアは「理想像」と「実現方法」という2つのパーツで構成されています。
おもしろいアナロジーとしては、地図の「目的地」と「ルート」がそれに似ています。
「よし、今度、**国に、行こうよ」(目的地)
「でも、あそこってこの時期飛行機取りにくいんだ。どうやっていく?」(ルート)
理想像というか最終的に到達したい目標点が発案され、それから、そこへいたるルートが続いて発案されます。
ただ、逆も時々あります。
「この時期、船の運賃がすごく安いから、船でどこか行くなんてのもいいよね」(ルート)
「船か、、、そうだ、オーストラリアに行こうか」(目的地)
以上、アイデアは2つのパーツ「w」「h」からなっています、という話でした。
これを少し詳しくしたバージョンで「9パーツ」という状況があります。それはビジネスアイデアを考える場面です。
ビジネスアイデアは、これほど単純ではなく、9つの要素が存在しています。
A誰に「whom」市場
B何を「what」製品
Cどのように「how」ビジネスシステム
がまず、最低必要な3パーツです。
それと連動したパーツが2つずつあります。
A1なぜ(顧客は買うのか)「why」
A2いくらで(顧客は買うのか)「how much」
B1誰が(その製品をつくるのか)「who」
B2いくつ(その製品をつくるのか)「how many」
C1いつ「when」
C2どこで「where」
ビジネスアイデアの創造は大変です。アイデアはせいぜい1/9、いい人でも、2/9を思いつければ優秀です。たまに3/9をピシッと言える人もいます。それでも6/9はノーマークなんです。批判者がいれば、かならず、その6個についての突っ込みや合わない理由をつつかれてしまいます。
アイデアの解剖学的にいえば、アイデアはせいぜい2/9しか、明確になって出てこない。なので、思いつきで批判しようと思えばすぐできる。だから批判するならするで、残りのあいているパーツすべてを仮においてみて、それはうまくいかない、という思慮深い批判をするようにアドバイスをしています。6個中1個をいうだけならだれでもできる思いつきの批判です。全部を埋めてどういう要素を持ってきてもそれらは整合性が得られない、という場合に、じゃあどうする、までを提案できたら、Goodですね。
9ますを書いて、パネルクイズのように2枚しか明確な像がでてきていない、そんな風景をおもいうかべて、残りのパネル、批判だけしていけば、一番貧弱なアウトラインで明確化されてしまいます。それをできるだけ魅力的に太くしたものがえがけるように、良い批判をしたいものですね。