博論テーマ検討「ブレストのハイパフォーマンス・ファクターの分析、モデル化」
東北大の社会人大学院生で、創造工学の研究を10月から本格的に始めました。
博士論文は高いハードルですが、それを1.5年でクリアしようとしています。なので、指導教官ともテーマ設定には「研究の実施可能性」と「研究の広がり(限定された状況下での仮説検証ではなく、ドクターとしてのレベルを)」ということで、かなり、テーマ設定に、実は悩んでいます。
当初は、企業のイノベーションの現場における創造のプロセス、を題材にしようとしていました。CPSを基本的なプロセスとして、TRIZのエッセンスや各種の創造技法を、企業の開発現場、企画部門、に限定して、高度にチューニングして、「企業の現場において、すぐに、効果性良くつかえる一連の創造技法」というものをアウトプットにしよう、とおもっていたのでした。
しかし、それでは、「研究の広がり」がどうしても限られてしまい、D論としては、厳しいかもしれない、とのこと。
汎用ツールを、専門工具にして、その専門用途においてはハイパフォーマンスでつかえる、というのは、私は悪くないテーマであると今でも信じているのですが、指導者につくからには、指導の本質をくみとって、それをもとによく考えてみる、ということをしたいとおもい、再設定に悩んでいたのでした。
その研究ディスカッションのなかから、「ブレスターを作ったときの手順」を話したことがあり、それの一部に、集中的に光を当てた研究をやってみないか、というアイデアがでてきました。
ブレスター・メソッド。
そう私たちが読んでいる手法があります。学習あるいは身につけたい対象活動を、楽しく学ぶカードゲームを開発するための、基本的なやり方・手順を、そう呼んでいます。対象活動が、ブレインストーミングであれば、それは、ブレストを効果的に体験・訓練するためのカードゲーム「ブレスター」になる(なった)わけですが、これを、別の対象活動「X」でやれば、「X Master」というカードゲームができる、といういみで、これをメソッドとよびました。
このやり方の原点であるブレスターに名をとって「ブレスター・メソッド」と呼んでいます。
ブレスター・メソッドはこのブログでも幾度か部分的に紹介しましたが、優れた対象活動をつぶさに観察し、時折現れるハイパフォーマンスな活動を記録し、それらを単作業に分解し、要素化(カード化)して、アクションカードとして、ゲームにします。カード化したものは、その対象活動が、ガイドラインをもっていれば、それに応じた分類をして、ガイドラインの1つが、1プレイヤーの役割になるように設計します。(ブレストでは、ガイドライン相当の概念は、ブレストの4つのルールです。ブレストのルールは、ルールというより、ガイドライン、ですね、実際の中身としては)
ガイドラインがない場合は、要素化したものを、同種のものに分類し、3~4グループにして、それらから、新しいガイドライン相当のものを作ります、そして、役割とします。
先生が「!」と目をとめたのは、その要素化とグループ作りの作業でした。ハイパフォーマンスの活動をわけて、ガイドライン相当の多様な活動が混在しているだろうけれども、どのアクションがあると、あるいは、ないと、パフォーマンスがあがるのか、さがるのか、観察してみると、ブレインストーミングの効果性の検証ができるのではないか、と。それがD論のテーマとできないか、と。確かに2つの条件にかないます。
時には、観察対象に、演技者をいれて、ある種の活動を、計画的にチーム内に起こさせる、とどうなるか(メンバーはその指示がでていることをが知らない状態で)。ある種の活動を変数的にコントロールできると成果との関係性がみえるはずです。
また、もう一つのアイデアは、ブレストのルールが4つ、とあるけれど、ハイパフォーマンスの活動の単要素化したものを、再度グルーピングすると、第5のルール(第五のガイドライン)相当のものが見出せる可能性もある。と。
これについては、私は「可能性がある」とおもいますが、直感的には、ほかにあるか?といわれたら、4つと同じレベルのものは、そうないように感じます。ここには、5番目があるのでは、という問いにNOという答えが出ても、それはそれでおもしろいとおもいます。4つで過不足ないのか?という多くの人の疑問に対して、過不足の過、についてはわからないけれど、不足、はない、ということをいえる研究になる(かもしれない)からです。
ただ、このテーマを追う場合は、研究の土台そのものを、広くとりなおす必要があるかもしれません。上記のブレスターメソッドでいう「ガイドラインがない場合は、グルーピングから新しいガイドライン相当を作りだし」という作業をしなくてはいけません。
それをブレストの4つルールと差分をとりながらが、有意な差がみいだせれば、発見かもしれませんし、なければないで、有意義です。ただ、よく観察手法を検討しておかないと、差分がとれないことも起こります。
そんなわけで、ブレストの科学(ただしくは、「ブレストのハイパフォーマンス・ファクターの分析、モデル化」)を、この1年ちょっとの間、仕事と並行して、大学院で研究してみようかと思っています。
研究ノートをひっそりと付けていたのですが、良く考えたら、私の研究分野は非公開にすることで、メリットはあまりなく、むしろ、賛同してくれる仲間や遠方のアドバイザーが、「ああ、いま、そういう状況になっているのね」ということを見たい時にみれているほうが重要だとおもいます。
あとは、私自身、紙モノの資料は、すぐに埋もれて月に一回の研究MTGまで、眠らせがちになりそうなので、であれば、どんどん、思考をネット上にアウトプットして、いつでも検索かけられるようにしようとおもいました(個人情報部分だけは、配慮しますけれど)。
そんな事を、最近、ずっと考えてみていました。
追記:
今日から創造学会です。
たくさん、学んできたいと思います。