難しいことは、最もやさしい条件で
創造と改良。ともに重要なことですが、ゼロから1を作る行為は、とても大変です。なかったものを作りだすわけですから。一方、創造されたものを改良していくことは(もちろん、それはそれで大変難しい面がありますが、ゼロからの創造にくらべて)やさしい行為です。
創造にかかわる人々にとって最良の戦略は、最もやさしい状況に条件を限定して創造し、それを、多様な状況でも成り立つようにモデルを改良することです。
アインシュタインの相対性理論が、先に特殊相対性理論(状況を限定した方程式)、ができ、そのあと、一般相対性理論(様々な状況で成り立つ方程式)ができたことがその印象付けとなる事例です。
実践者の面でいえば、もっと平易に、直感的に言うならばこうです。
[手順1]
N=1の状況(あるいは、シンプルな状況)で、問題を解く、あるいは、モデル化をおこなう。【ゼロからの創造行為】
[手順2]
次にN=2の状況(あるいは、二番目に必要なものを取り入れた状況)で成り立つように、解を修正する、あるいは、モデルを改良する。【これは、創造に比べて容易ですが、このあとの改良に比べるとかなり大仕事となる改良行為】
[手順3]
その次にN=3の状況(あるいは、三番目に必要なものを取り入れた状況)で成り立つように、解を修正する、あるいは、モデルを改良する。【先の改良行為よりは、だいぶ容易な改良行為】
大抵の場合は、N=3までで成り立つと、全体で成り立つことが多い。必要な場合は、N=すべての数で成り立つように拡張を行います。しかしこれは、創造にくらべて容易。
問題が複雑だな、と感じたら、あるいは、問題がいろんな状況をふくんでいるのでうまく具体的に考えられない、と感じたら、限ららた状況で問題を時、それを多様な状況でも成り立つように拡張する、というのが、良いです。
備考:経営戦略でいう「一点突破、全面展開」という考え方も、同じ思想のものであり、そういう言葉で覚えておくと、覚えやすいかもしれません。問題は、一点突破、全面展開。限られた状況で解いて、それを、多様な状況でも成り立つように、拡張するのだ、と。