マサイ靴はなぜ効果があるのか、考えてみた
(ちょっと、記事っぽく書いてみます)
人間の骨格と筋肉を十分につかう歩き方を自然とするための道具。
「マサイ靴」
ただしくは、MBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)といいます。
すこし慎重に効果を見てきたのですが、結論からいうと、私はこの道具は、すごく良い道具だと思っています。
マサイは、マサイ族のマサイです。頭につぼを載せて長い距離を徒歩であるくあの姿はTVで一度は見たことがあると思います。その歩き方はとても体に良いという思想のもとに開発されていて、その歩き方を擬似的に発生させる靴になっています。
計算された不安定な靴底。アスファルトの上をあるくのもかなりのいい刺激に。造成中の石だらけの場所をあるにいたっては、ちょっとした登山のように集中します。
これをちょうど1か月前、9月24日に仙台のMBT専門店で購入しました。それから1カ月、毎日1時間のウオーキングではいていました。ワークショップでも、はいています。
初めは足がかなり疲れておどろきましたが、次第に、足はつかれるが、腰痛とか肩こりがへることに気が付きました。そして足の疲れは「関節が痛い、足裏のまめが痛い」ということとはまったく違いました。筋肉がつかわれて、それで疲れる感じがする、というものでした。
昨日は、大きな湖畔公園で、娘たちと一日遊んだのですが、子供よりも、体力があることに気が付きました。前は遊具で一緒に遊ぶと、日常に使わない筋肉を激しく使うので、すぐに疲れたのですが、足腰の基礎力が付いたようで、かなり動けました。特に、バランスボールの連結したものや、なぞのぽよぽよした遊具の上でもバランスを取ってはしれることは、かなりの驚きでした。
一か月はいてみた今、ふつうの靴のほうが、何となく違和感があると感じます。
マサイ靴だと、自然と垂直に立とうとする(より詳しく言うと、前傾姿勢・猫背、になろうとすると、靴がころりんとまえにいこうとするとので、すっと頭が上がります。でも、無理やりにふんぞり返るのとは違い、適切な位置になります。ふんぞり返ろうとするとこんどはうしろにころりんといきますので。
これをはいていない時、たとえば、家の中でも、自然と、垂直に体重をかけていることに気がつくようになりました。朝顔を洗う時に、いままではかなり前傾になって腰に負担のかかる姿勢を取っていたのですが、いまは、つま先に大きな荷重をかけようとすると自然と膝とかで調整して、なるべく大きな前傾姿勢をとらないようになっていました。腰痛になる姿勢でいる時間がかなりへった、という感じです。
筋力がつくから、そういうちょっとした姿勢を足の筋力で支えられる、という関係もありそうです。足の力がないと「すじ」で立とうとしますが、そうじゃない立ち方になってきた気がします。
なので、筋力が非常に増強される、というわけじゃなく、基礎筋力がつく+バランスをとるセンサー(体感覚)が発達する、の両方合わさって、姿勢の自然なのびや腰痛要因の抑制、がなされているようです。
「バランスを崩させよ」は「TRIZ」でも「ブレークスルー・パターン」の1つとしてよく使うのですが、この「マサイ靴(MBT)」には、その具現のもつ可能性を大きく教えてもらった気がします。
道具は普通、使いやすく、より安定的に、ということをもとめます。靴底が平らのほうが、でこぼこ道でも安定します。しかし、体は、楽なことうえにあぐらをかいていく動物のようです。毎日楽なことをしていると、筋力はおとろえ、バランスをとる感覚器は、退化していく。
その意味では、使いやすさの行き過ぎ道具には、「マサイ靴・化」の余地があるのではないかと、うっすらおもうのです。
そういえば、高齢者の介護においても、上げ膳据え膳のライフスタイルよりも、自分でできることは自分でするほうが、ぼけにくい、と高齢者介護の仕事をしてきた知人がいっていました。
その意味では、たとえばカーナビ、で考えると、機能をドンドン充実しつつも、ときどき、マサイ靴・化をおこさせるのも、おもしろいかもしれませんね。
たとえば「この先1時間は、省エネのため、ナビをスリープします。道順を言いますので、覚えてください。一、5キロ先のタイ区間を左折、そのまま道なりに20分。二、税務署が見えてきたら2つ先を右折し、路肩に寄せたら、三、起動してください。」とか。
となりで寝てしまうナビゲーターのようで、ちょっと、カチンとくるけれど、記憶の訓練になって、しかも、これだと、かなり電源消費を減らせるかもしれません。マサイ靴・化、という方向の本質は「ナビが要らない、ではなく、人間の能力を使わせる」かとおもいます。
熟成社会の商品開発の新カテゴリーをうっすらと見た気がするんです。
追記:このへんのことを、できれば、どこかでまとめてみたいと思います。ネット上のニュースサイトとかで連載記事を書くことがあれば、その時にでも。
追記2:
仙台にはこのMBTの専門店があります。上杉通りにあります。明るい楽しい店長が、レクチャーしてくれます。私は、発想法のお師匠さんである加藤さんに「マサイ靴、いいよ」とメールをもらって次の日見に行って、20分はいてみた時に「これ、買います」といってしまったぐらい、ちょっとおもしろい道具でした。(ただ、レビューするまでに1カ月、慎重に効果を見てきたのでした。)
値段は高いです。腰痛になって2,3日通院する~完治する間の仕事のロスを考えれば安いぐらいではありますが、諭吉さんは3~4人いります。(その値段でも靴が売れる、という事実は実に興味深い。)
その意味でも「マサイ靴・化」は、高付加価値路線のヒントでもあるきがするのでした。