素材の用途アイデアを見つける方法
久々に、「アイデアの技法」カテゴリーの投稿です。
新事業の初期段階、アイデア開発をお手伝いするときに使う手法を紹介します。
これは、素材(であり、用途はいろいろなものが想定し得る)をもとにした新商品アイデアを、網羅的に引き出すためのものです。
以前「アイデア・スイッチ」で紹介した「インターネットタウンページ」「簡易商標検索」「グーグル画像検索」の方法に似ています。
インターネット・ショッピング・モールを使います。
(これを書いている2009年時点で、とても使いやすく情報豊富な「楽天市場」を例にとります。)
例えば、表札のような硬くて透明なプレート、そしてその中に自由な印刷物を挟み込める、というものの用途アイデアを抽出した時の事例です。
楽天市場
http://www.rakuten.co.jp/
でトップの検索窓に「プレート」と入れます。
すると、プレートという言葉や概念を含む商品がずらりと出ます。
楽天市場「プレート」で検索
そして、その下には、該当する商品を含むカテゴリーが出ます。(引用します。)
●以下のジャンルが見つかりました
– おもちゃ・ホビー・ゲーム > 趣味・コレクション > イヤープレート
– キッズ・ベビー・マタニティ > ベビー > 授乳・お食事 > ベビー食器 > プレート・ボウル・食器セット
– キッチン・日用品雑貨・文具 > アロマ・癒しグッズ > アロマグッズ > 容器・プレート
– キッチン・日用品雑貨・文具 > 文具・事務用品 > 製図用品 > 製図用テンプレート
– キッチン・日用品雑貨・文具 > 洋食器 > デザートプレート
– キッチン・日用品雑貨・文具 > 洋食器 > ケーキプレート
– キッチン・日用品雑貨・文具 > 洋食器 > ランチプレート
– キッチン・日用品雑貨・文具 > 子供向け食器 > キッズ用食器 > プレート
– キッチン・日用品雑貨・文具 > 調理器具 > フライパン > たこ焼きプレート
– パソコン・周辺機器 > ソフトウェア > グラフィック・映像・ホームページ制作 > 素材集・テンプレート
– パソコン・周辺機器 > ソフトウェア > 素材集・テンプレート
– レディースファッション・靴 > 靴 > ミュール > プレートヒール
– ペット・ペットグッズ > 犬用品・犬 > インテリア・寝具 > マット・プレート
– ペット・ペットグッズ > 猫用品・猫 > インテリア > マット・プレート
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > ホットプレート
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > ホットプレート > ホットプレート
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > ホットプレート > たこ焼きプレート付き
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > ホットプレート > ホットプレート関連商品
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > グリル鍋 > プレート温度~230℃
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > グリル鍋 > プレート温度231℃~240℃
– 家電・AV・カメラ > キッチン家電 > グリル鍋 > プレート温度241℃~
– 車用品・バイク用品 > カー用品 > トラック用品 > 外装用品 > ナンバープレート枠
– スイーツ > 菓子材料 > トッピング > プレート
– 医薬品・コンタクト・介護 > 福祉・介護 > 介護用食事関連 > 皿・プレート類
これを見ると、プレートと言う概念に含まれる商品には「文具」「食器」「ペット」「家電」等があることわかります。これらのうち、冒頭の素材が対応出来る可能性があるものを想起していきます。文具としてのプレートといえば下敷きかな、とか。ショッピとしてのプレートといえば、お皿かお盆か。それらをさらに見たいときにはカテゴリーをクリックします。
クリックしてみると「製図用テンプレート」なんていうものも見えます。それをみると「あ、たとえば、こういう商品案もありえるなぁ」と出たりします。
この他、プレート以外の言葉で引いて同じようにします。たとえば素材の透明で厚い素材を概念的に連想できる「クリスタル」とかプレート以外に「ボード」とか「盾」といった素材から想起できる概念で、新たか検索します。
楽天以外に、英語圏であれば、またちがったサイト、ちがった単語から探せると思います。
世の中商品集、としての「インターネット・ショッピング・モール」をつかう、という方法でした。
いい素材技術ができた、という相談を受けたときに、ごくわずかの人数で、用途アイデアをブレストするような場合、よほど幅広い商品に精通したバイヤーがいるならば別ですが、普通はどこかのカテゴリーに詳しい、というだけの数人で発想すると、アイデア開発段階としては可能性のロスが出ます。こういうものを使うと、それらをつかってブレストすることで、大幅な発想の広がりを得られます。
なお、これは「素材の用途アイデア」というテーマの場合に特におすすめです。おすすめしにくいのは、生産材のための新機能の新素材などでは、モール検索は、あまり向きません。たとえば、カーボンナノチューブといった科学技術と付加価値製の高いものは、BtoCではなく、BtoB、もっといえばRtoRな訳で、あまりこうした消費財の検索が示唆をくれないこともあります。(全く役に立たないわけではないのですが)。