講演スライドの作り方(私の場合)
講演を各所でさせてもらう時、毎回、講演スライドを零から作っています。以前のスライドをパーツとして使うことはありますが、順番や流れのイントロ的なスライドは、都度つくります。
そういう中で、なかなか出来ない時もあります。
すぐに作れるときには作ればいいのですが、問題はそういう、なかなか作れない時。それをなんども経験しているうちに、それを何とかするために早い段階ですべきこと、を知るようになりました。
私の場合の、ですが、講演スライドの作り方、をちょっと紹介します。
ステップ1
まず、その主題に対しての情報を集める。
依頼者の依頼文章、とくに依頼メールの初期段階で、言葉として散りばめられている主催者さん側の非定型な、思いの、部分を。(依頼書、として固まって送られてくるものは、稟議用の言葉と、講演タイトルです。なので、こういうふうにして、そこにいたるまでの要素をほり出します)
ステップ2
聞き手を、描く。
実際に簡単な漫画のような絵を書きます。カード1枚に、その人の雰囲気、名前、年齢、している仕事や部署、そして、「これ、聞きたいな」とおもっているだろう”ヒトコト”を、書きます。まだ見ぬ人を、主催者の想定するものから描き出すので、かなりイマジネーションに頼る部分ですが、イマジネーションのままにしないで紙の上に引き出していきます。カードスタンドをつかって、そのカードだけは、机の上で、立体的な存在感をもたせます。ちょっとのことですがこれが意外と大きいんです。商品開発研修でトレーニングされる「ペルソナ」とか「究極の一人像」ですね。
ステップ3
伝えたい話をカードに書き出す。
彼(彼女)がそこに訪ねてきていている、と想定します。彼がオフィスに来たなら、いろいろ顔色を見ながら、わかりやすく、彼に伝えたいをことが醸成されますね。それを、さっ、さっ、とカードに書き出します。単語かせいぜいショートフレーズで。
ステップ4
講演を、ARCSという「4箱」と捉え、カードを箱に入れていく。
教育工学には、「学ぶ、を効率化する」という知識が沢山あります。そのひとつに「ARCS(アークス)モデル」というのがあります。A=面白い、R=(自分に)関係する、C=やれば出来そう、S=行って良かった、そういう構造で知を学ぶと、頭はインストール
しやすくなる、そんな感じのハウツーです。これを紙に書き出して、この講演に取手のAは?Cは?と言う具合にカードを、その4箱に入れていきます。
当然のことながら大量に余ります。ですがそれでいい、と割り切ります。Too Much Information、多すぎる情報、というのは、獲得出来る情報を減らしてしまいます。植物だって水が多すぎると、吸収・成長がおそくなります。楽しく学ぶ、をデザインする、というべきかもしれませんが。
ステップ5
名刺ファイルに入れる。
情報カード(名刺サイズ)を使っていますので、名刺ファイルがつかえます。書き出したカードを、入れていきます。
(1)はじめに4つぐらい空けてから、(2)ARCSの設計のときに書いたメモをいれ、そのあと、ARCSの順番でカードを入れていきます。その後、今度は(3)ARCSの枠に入らなかった要素を、さしていきます。名刺台紙が複数枚になるときには、プラファスナー(FA-110)で複数枚を閉じておきます。書類ファイルにはさむとかさばりますので、これぐらいがライトでいいしょう。経験的には、1シート(カード20枚)~3シート(カード60枚)ぐらいになります。
【このステップ5が、アイデアワークの収束のポイント】
「人間は、アイデアが多すぎると、混乱する。」とは、ある高名な発想技法の先生の言葉です。書き出したカードが机を埋め尽くしていると、こんどは、PPTスライドを作るときに、作業がしにくくなります、物理的にも、思考的にも。なので、こうしてまとめて仕舞います。重ねたカードは視認性が悪いですが、こうしてカードファイルに入れれば、一覧性もありつつ、構造もくずさないので、次に作業を再開するときの思考状態の回復の速さも、とても速いです。
その様子を、写真をとってみました。ステップ4と5です。



多すぎるアイデア、その処理に困って、だんだんと、人は、アイデアをすごく少ない生成量で済まそうとしてしまいます。頭の中で扱える数は7つぐらいまでですので、7つぐらいから選ぼうとしているのですが、優れたアイデアをヒットする確率は、100個中、3~4個なので、33個ぐらいを出さないと、確率的には、きびしいかとおもいます。はじめから100分の3をねらってだせる達人は別として。
たくさん出して、30とか60とか(あるいは100とか)を超えるぐらい出したら、一度、まとめる、という作業をいれるのは、アイデアワークのコツです。「人間は、アイデアが多すぎると、混乱する(しかし多くのアイデアを出すことが必要だ)」という特性を仮に正しいとするならば、するべきことが、自然と見えてくるでしょう。
私の場合、は、こうですが、人によって違っていいと思います。参考としての情報でした。