ターゲット法(選択肢を視覚的に扱い、議論する方法)
創造工学の中には、面白い議論の方法があります。
「ターゲット法」を少しご紹介します。(参考文献:創造的問題解決、P51)
机の上に、大きな模造紙を用意します。(A3の紙、2枚をつなげるだけでもいいでしょう)
そこに、半径10センチ、20センチ、30センチの同心円を書きます。千匹がなければ、A4の長い辺を三分の一におり、一段目、二段目、三段目、としてもいいでしょう。(長い辺は29.7センチです)
次に、解決したい問題の解として、理想的な状態のすべての要素を円の中心に書いていきます。
(たとえば、ダイエットを100日長く続けるにはどうしたらいいか?、がお題であれば、書き込む属性は「苦しくない方法」「お金がかからない方法」「楽しくできる」「美しくやせられる」「健康は維持できる」など、理想的な条件を書いていきます。)
次に、ブレインストーミングをして、出しているアイデア(あるいは選択肢)をカードに書きだします。ブレインライティングをした後ならば、それをカード状にしておきます。
そして、それらを理想状態をどれだけ満たすかを考慮しながら、的(まと)の上においていきます。理想状態を完全に満たすならば中心の縁に。まったく満たさないならば、一番外の縁よりもさらに遠くに置きます。
(この視覚的な配置をしていくと、微妙に比べにくいアイデア(あるいは選択肢)を手で触って移動することで、自然と検討が進みます。グループであれば、置いていく過程で「この2つは似ているけれど、こっちのほうが、苦しさの面で、すこし遠いよね」という議論がなされます。
有力な案がいくつか的の中心に近いところに乗っているとして、それらについて、「押す力」と「引く力」を特定します。的の中心にむけて、進もうとする力はなんであるのか、考えてみます。そして、的の外側に向けて引っ張っている力はなんであるのかを、考えてみます。
有力な案を、的の外側に向けて引っ張っている力。これを、どうしたら解消できるか、をテーマにブレストをします。たとえば「甘いものを我慢して食べなければイライラする」だったら「どうしたらダイエットをしながら、甘いものを食べないイライラを無くする(減らす)には、どうすればいいか」が、ブレストのテーマになります。
それが施されたときに、有力な案が、すこしずつ中心に前進します。(時には中心までの距離が逆転することもあります)
もっとも、重大な引く力を解消することで、十分に魅力的な選択肢が、的の中心に乗り始めているでしょう。まだ、遠い場合は、引き離す力を解消するブレストを2,3度行うといいでしょう。
これは、ある意味PPCO(アイデアの強化プロセス)や、Pugh(コンセプトの進化と選択)といった、本格的な技法を、楽しく視覚的にできるようにした方法です。
この手法はもうすこし、プロセスとアイテムに工夫を凝らすことで、テーブルゲームっぽいワークツールにすることもできるでしょう。