Effects 『技術的問題解決の科学的・工学的効果集』
発明的問題解決理論、TRIZの中の基本ツール3点セットの中のひとつ、Effectsについて紹介します。”40の発明原理”や”分離の原則”を用いて課題を解決する着想が生まれたら、次にそのアイデアを現実へむけてより具体的に検討をしていく段階が必要になります。そのときに、過去の他分野の優秀事例から類比発想する場合、「(事例から転用して)これこれの機能をもつ技術を使って、これこれすればよいのだ」という段階において、さあ、こまります。ブレストを組織で行うと、そもそも誰も知らないものは出てきません。類比発想で、「○○な技術があったとすればそれをつかって○○してしまおう」という発言をしにくい背景には、実は「それって、本当にできる?」「その技術が世の中になければ意味ないじゃん」というアイデアキラーの台詞を自分の中で発している部分があるでしょう。あるいは、そもそも、広範な基礎的技術がない人は、「○○な技術があったとして」という前提さえ作ることが困難かもしれません。そこで、電磁気の教科書を開いて、そういう機能を有する法則がないか、しばし考えて見ます。しかしそこには限界があります。そもそも、従来の技術分野は、提供機能別ではなく、技術体系ごとに分割発展してきた技術なので、機能別になっているものはあまりありません。
そこで、このTRIZのEffectsを活用することで、安心して「○○な技術があるとして」と発言できるようになります。というのも、たいていのほしい効果をこのEffectsから見つけていくことができます。望む効果を持つ自然法則・技術をここから見つけて、さらに具体的にその技術が何であるのかを効果的にしっていくことで、上記の課題をきれいに解決していけます。さてではEffectsとはどのような切り口であるのか、ということで言えば、以下のように19の切り口(大項目ベース)になります。
パラメータ(※1)を
・安定させる
・減少させる
・増大させる
・測定する
・変化させる
場を
・検出する
・生成する
・蓄積する
・防止する
物質を
・相変化させる
・移動する
・形成する
・結合する
・検出する
・生成する
・蓄積する
・排除する
・分離する
・保持する
※この19の切り口の下階層に、中項目(技術機能、かなり具体的な機能)、小項目(具体的効果名、技術事例)が続きます。参考文献150ページ
この切り方もなぜこうなのかは一般に自明ではなく、興味深いものがあります。技術者の目から見て「やりたいこと別」に各種技術を再整理したらこうなるのであろう、と私は解釈しています。今後アイデア出しにおいてこれらを活用してみてこの構成のもつ意味を理解してゆきたいと思います。(参考文献:『革新的技術開発の技法 図解TRIZ』)
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(※1) パラメータ
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パラメータとは、さまざまな工学パラーメータをさしています。具体的に一部を紹介しますと以下のようなものをさしています。
圧力、温度、湿度、濃度、重量、反応速度、色、光の伝播・屈折・反射、電磁波の位相・波長・強度・吸収、運動量・力、流体パラメータ、などなど。