「クライアント・インサイト」
先日、ある打ち合わせをしていて、「説得、納得、の力」という話が出てきました。
私は、漫画のブレスト関係の仕事でかかわっている中で、作品の持つ「説得力」について、深く興味を持っていました。
クリエイティブな領域の中では、漫画とは対極にあるその業種では、「納得、説得の力」がどのようなものととらえられているのか、興味を持ち、一歩踏み込んで聞いてみました。
(守秘に反しない範囲でぼかしますので、以下、言い回しが正確ではないです。)
石井「説得、納得の力、というのは?」
Aさん「クライアントが、『だよね!』 ということが大事。
その為には、”クライアント・インサイト”。
本音の課題は何か。その辺が大事。」
この「クライアント・インサイト」。言葉は分解すれば意味は分かりますが、気になったので少し調べてみました。
- ユーザ・インサイト(ユーザの本音)
- ソーシャル・インサイト(生活者の本音、上記と似ている。すこし広く、空気のようなものも含意)
- クライアント・インサイト(よくこの言葉を使うのは、広告業界など広告主としてもメーカ(クライアント企業)の本音を洞察しようとする時に出てくる言葉)
ユーザ・インサイト、だけでも、クライアント・インサイトだけでもなく、両方が大事である、と。
この点、私も少しわかります。アイデアワークショップや講演を設計する時に「参加者の動機」と「主催者側の理想」の2つを加味して両立するように設計していますので。
こうなってくる一度しっかり、定義を見直したいのが「Insight」の意味。
これまでは、洞察、直観、ぐらいに思っていました。
ネット上の辞書では
「洞察」「洞察力」
http://ejje.weblio.jp/content/insight
とあります。
では「洞察力」の同義語を調べてみると
http://thesaurus.weblio.jp/content/%E6%B4%9E%E5%AF%9F%E5%8A%9Bとと、ありました。
非言語の回答(積極的な回答を得られていないが態度で示す答え)など、繊細な定性的な観察をして、そこにアブダクティブな推論を行い、その本質を見抜く(正しくは、仮説を生成する)。それが洞察という行為であろう、と。
何も見ないで思い込みで、紋切型な理解をしてしまうのをやめよう。
問うて明確に答えを出してくるものだけをみて理解してしまうのはやめよう。
現場でつぶさに見て、人の言わんとするところ(本音、あるいは、無意識の欲求などだろうか)をくみ取り、ことばや絵で出現させていく。これが、洞察というものだろうか、と思います。