Identik(伝える、描く、楽しむ)
先日、東大のゲーム×ラーニングの勉強会で体験したゲームに、面白いものがあります。
Identik
(イデンティク)
詳しい説明は、写真付きでネット上にレビューがありました。
http://gioco.sytes.net/identik.htm
http://www.tgiw.info/2010/06/identik.html
ダイアローグ・イン・ザ・ダークでも、似たことを感じたのですが、見れば一目瞭然の物事を、ことばに変換して伝え、伝えられた人がそれを解凍する(本来の物事にする、ここでは絵にする)ことの難しさ・興味深さです。
グループには人が5人ぐらいいます。
親になった人は、封筒を受け取ります。
そこには、奇妙な絵が描いてあります。
これを90秒ぐらいでメンバーに伝えます、見せずに。
アイテムがたくさんあるのと、常識的に考えたらこうなるだろうという縮尺ではなく、夢の中のあるいは幼児や芸術家の絵のように、現実描写的ではない絵なので、伝える側すらも困惑中といった90秒間です。
子になった人は、親の言うとおりに書きます。後から大きく描きなおしを迫るような表現をさせないように、初めに全体、後からディテール、を説明することが必要になります。
相手の指示があいまいで(それは絵自体が説明しにくいので)、書き手としては、時間がないので、とにかくえいやっと書き始めます。
私が書いた絵の一例。
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時間が来ると、そこで筆おおいて、親は指示札の下(ここは封筒でかくされている)をみて、10のチェックポイントを読み上げます。例えば、釣り針よりも、魚は左にいる、とか、☆は9つ以上ある、とか。
そんなこと聞いてないよー!というチェックポイントもあるので、主に、読み上げながら親が「ああ、これも説明不足、あ、これも言っていない」と思うのですが、その辺が楽しいわけです。
皆で見せ合うと、同じことを聞いても人はここまで違う絵を描くか、と驚きます。
しゃべっている本人はすごく分かっているのに、相手にそれを説明できていない。
そういう人やシーンをよく見ることがありますが、それを切り取って、遊びにしたような、興味深さ。
ゲーム自体はシンプルです。ちょっとだけ絵を描く技術を持つ人の方が幾分有利かと思いますが(手が早いので)、絵心がなくても得点は取れます。チェックポイントがうまく設計されているなと、感心するところです。
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これは、体験すると、「足りない情報があっても、補って形にしていく作業」を何度も体験するので、完全には説明のしがたい体験を始める前の準備運動としては、秀逸ではないかと、想うのです。
企業研修などで、アイスブレイクにも、きっといいと思います。
Identik (イデンティク、アイデンティク、など読みかが揺れそう)