アイデア創発ワークショップ(第2回)を行いました
ずいぶん前の事ですが、バックデイトで書きます(数日後に、この記事を、6月4日の日付の位置へ記事を移動します)
6月4日、マインドマップ(矢吹さん)とアイデア創出の技術(石井)のワークショップの第2回を、渋谷(正しくは、池尻大橋)で行いました。
前半は、矢吹さんのパート。

マインドマップの達人ですが、それも手法としつつ、企業での合意形成や創発に向けた統合的な内容になっています。
後半は、私が、アイデアワークショップをしました。

(第1回は、会議やイベントなど、複数人でアイデアを出すという部分が主眼でしたが)今回は、「一人でアイデアを出す」という手法をメインに展開しました。
ところで、このワークショップ、前回も今回も、アイデアを出したら、最後に、それをはさみ一本で試作してみる、という部分があります。今回の試作アイデアを出す素材は「消せる紙(けせるし)」です。紙製のホワイトボードで、欧文印刷さんが作っています。
欧文印刷の汲田さんに相談をして、ワークの題材にさせてもらい、その上、開発チームのリーダに、素材と技術の説明に来ていただきました。(一応、守秘の前提の元、かなりつっこんだ内容もお話いただけました。)

製造技術的にも、素材的にもとても面白い製品です。(ちなみに、アイデアプラントの作品にも、消せる紙で出来ているものがあります。ブレインペーパーという6種類のアイデア創出用のホワイトボード紙です)
アイデアワークショップの内容は、以下のような感じでした。
まず、他己紹介。これで、グループの凝集性をあげ、ブレストに向くような場にします。
次は、創造的な頭の使い方のガイド、というワークとミニレクチャーをしました。初めに、普段、どのようにしてアイデアで出しているのかを思い浮かべて、「創造的に考えるためにするといいこと」というのを、マンダラートで書き出しました。そして、それをちぎって、グルーピングします。
その内容は、非常に興味深いものでした。普段は企業内でこれをやると、守秘があって公開できないのですが、今回は賛同いただいたものを回収し公開できていますので、ご興味があればぜひご覧ください。
⇒ http://ishiirikie.jpn.org/article/45777957.html
一つ一つは平易なものかもしれませんが、アイデアのスランプの時に、見てみると、1つか二つは、トライしてみたくなるものがあるかもしれません。
それをうけて、ブレストの根底にあるもの、という話を紹介しました。(これは、毎回、いろんな形で紹介しています)
ここまでは、いわば、準備運動に近い感じで、一度締めくくり、いよいよ、テーマを設定してアイデア発想技法を使っていきます。
まずは、テーマの紹介、消せる紙の要素技術を紹介してもらいました。そして、仮想的に、参加者は、このメーカで素材を用いた新商品企画のプロジェクトのメンバーになった、として、アイデアを出すフェーズにある、という設定をしました。
次に、一人でアイデアを出す方法を3つ、実施しました。普通は、同じテーマに3つも使うことは、ないのですが、参加者が企業に帰った時にいろんなシーン、いろんなレイヤーで役に立つように、主だったものを3つ提供しています。

まずは、短時間で次々発想する、発想トリガー。特に、今回は、「はちのすボード」を特別にA3に印刷したものをつかって、様々なアイデアを出す、ということをしました(はちのすボードは、SCAMPER詳細版をもとにつくった46の問いかけがかかれたバブルの並ぶシートです。アイデアプラントの作品としては、A1サイズのホワイトボード紙に刷った物として出しています)
次は、エクスカーションです。頭の中にある膨大な、発想の材料を、意図的に引き出す、という手法で、動物エク、職業エク、場所エク、の3つがあります。それぞれ、「機能、形容詞的」「体験、動詞的」「物体、名詞的」という発想材料を引き出す効果があります。それとマンダラートを組み合わせて使う方法をとりました。(マンダラートをさらに展開する81マスのシートを使いました)
(このシートに書いた言葉群は、別のテーマでも重宝するので、ぜひ書いたらいろんな場面で使ってみてください。)
三つ目は、「要素技術」から「用途アイデア」を引き出すワークです。これはいくつかの開発工学や、テクノロジーマネジメントの領域に出てくる、シーズ⇒ニーズ変換の本質を、発想法的にかみ砕いたもので、やや玄人向けむけ、でしたが、あえてがっちりやりました。企業内でのシーズから展開するアイデア会議では、とても強力な道具になりますので。
3つの発想法をやった後は、アイデアスケッチを書いて、アイデアを少し具体的にかく、というワークをしました。このスケッチは次の試作のパートのむけて、アイデアを整理、共有する、という意味があります。
ちなみに、この点で、面白い話があり、少し脱線します。
このスケッチは、賛同いただいた方の分はすべて、欧文印刷さんに贈呈させてもらいました。
後に、汲田さんに聞いてみました。なにか、面白いアイデアはありましたか?と。するととても喜んでくださり、そのうち1つは実際に、開発を検討している、とのことでした。それはさすがに公開できないのですが、それを除き、面白い、可能性を感じるアイデアをスケッチ毎にコメントしてもらいました。『アイデアシートの件、面白そうなものをいくつかピックアップしてみました。1.巻物型構造を変えることによって、コンパクトに持ち歩きできるので便利です。インパクトもありますし。2.白地図帳社内で過去にアイデアが出ていましたが、ニーズがあるのかなと思います。3.ブレインBOX子供用であれば段ボールと組み合わせればいいかなと思います。4.テーブルこれも以前から社内では既出ですが、合成紙とペンクルの組み合わせが考えられると思います。5.ハット残念ながら星印はついていませんが、不織布ハットの一部を消せる紙にすることによっておすすめメニューや特価品の告知に活かせるかと思います。6.PCのスクリーン用フィルムiPadやPCのモニターに貼れる透明なものがあればプレゼンにも活用できると思います。(印刷可能な透明フィルムも販売されているので) 』どれも面白いねですね。特に私は「ハット」はすごく可能性を感じました。水で消せて、口に入っても大丈夫なホワイトボードマーカーがあるのですが、それだったら、飲食店で充分行けそうです。おすすめ商品を書いて頭の上の広告塔に、というその案は面白いと思います。あるいは、帽子型の名札、としてイベント利用することもできそうで、とても面白いと思います。名札の位置が目のすぐ上あたりにあるっていうのは、名前を呼ぶのにとても都合がよいと思いますし、お互いに帽子にシールを張りあったり、マーカーで何かヒントを書いたりして(でも本人はイベント中は何が貼られているかは見えない)インデアンポーカー的ななにかを楽しめそうです。
その後は、プロトタイプ作りの時間です。素材が紙なので、ハサミと強粘着のポストイット(A-Oneさんのポスト・イットラベルシールを、提供していただきました)で、サクサクと、作っていきます。
大きな消せる紙をたっぷり使って、しかも、市場に出ていない特殊品も提供してもらえたので、アイデアの幅が広がりました。
まずは、石井案を実際に作ってみました。贅沢にA1を2枚使って「着るホワイトボード」です。

接合は、ポスト・イットラベルシールで、ぱっとつけただけなので剥がすのも簡単です。紙自体がある程度のはりをもつので、結構普通にかけました。

さをん画伯による、似顔絵。実物より、大分かわいくかかれております。
そうこうしているうちに皆さんのができてきました。

立体物を作ろうとされています。(ちなみに、プロッキーで書くと、消えない線がかけるので便利です。メラミンスポンジでこすれば、きれいに消すこともできますし)

こちらは、落書きできる電車のオモチャのプロトタイプ。これは、素材しだいでは、組み立てる楽しさと、落書きする楽しさがあって、すごく楽しそうです。

空間にメッセージを。という感じを醸せる「何度もかける吹き出し」。これはイベント的とか、オフィスとかで結構、いいんじゃないかな、とあれこれ想像しながらみていました。(このグループは特殊な知的創造の仕事をしている人が偶然多くいました)

マチ付のカバンもありました。これは、クリエータが自分の作品を人にみせる用途にも面白いんじゃないかと思いました。こすれて消えないように、プロッキーで書いて、描きなおしたい時には、メラミンスポンジでこすれば、傷まずにクリアできます。
そんな感じで、何点か、作品を紹介をさせてもらい、今回も終わりました。
最後に、次回の内容の予告として、アイデアの実現性を高める方法のスライドをざっと紹介し、本日物品を提供してくださった2社さんのツイッターアカウントも紹介。

その後、大橋会館の食堂で、半分ぐらいの方が残られ、軽食を取りながら、交流をしました。

折角なので、消せる紙(A1の無地)と、はちのすボード(A1で発想とのきかけバブルがたくさん書かれているもの)を壁に貼って、アイデアを自由に書き込みながら、交流をしました。
交流会の終わる時、せっかくなので、アイデアをレビューしました。(以下の3枚はクリックで拡大します)
同じテーマです。こちら「はちのすボード」。問いかけから、意外な案(むちゃな案)も出ています。「交流会スタートする研修」とかは斬新。ビールやワインを軽くひっかけてから、ブレストやディスカッションをするのもよさそうですね。ほろ酔いでキープできる技術があれば、人によってはとても口が滑らかになりそうです。
これは、「新しいセミナーのスタイル」というものです。はちのすボードで、いろんな人が好き勝手、アイデアを募っているのがわかります。「講師が2名でセミナーバトル」というアイデアなんかは、講師も受講者も楽しい(そして、必死になる)気がします。学びの量を投票してもらい、有効度に応じて講師代金が案分される、というシステム(ちょっと、学びの本質がゆがむ気もしますので、適応には注意が必要ですが、可能性は大きいと思います)。
こんな感じに、交流会も、アイデア創発ワークショップの続きのような感じで、終わりました。
今回は、私は、この大橋会館の上の宿泊(本来、ここはホテルのようです)にそのまま宿泊しました。セミナー会場に泊まれるので、準備が楽でいいですね。
追記:(10月21日)
次回は、11月の初めとアナウンスしていたのですが、会場などの都合で、少し時期を調整します。今年度内には行います。お問い合わせをいただいた方には個別にご連絡していましたが、ここでも改めて、お知らせいたします。
スライド(第2回)
iws20110604.pdf
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