Finland展の4時間
今年は、日本の美術館でFinland展があります。私にとって訪問してみたい国ナンバーワンのフィンランド。そのフィンランド展があったのをいろんなところから聞いて知っていて、先日青森美術館に行って終わってしまったフィンランド展の余韻みたいなものだけを感じて、どうして無理してでも来なかったんだ、と悔やんでいたのですが、今は宇都宮でやっていると友人に聞いて、先日行ってきました。(2012年7月14日、宇都宮美術館)
私がそこで見て感じたこと、書き留めてみたかったこと、はメモカードに書いていました。
開館と当時に入って、4時間ぐらい、考え事をしたりしメモを取ったり。写真は当然とれないのですが、実物を見るのにはとても良いことのように思いました。ビットの中残せるより、実物を目で見て、どうしても残したいものは自分の力で模写する、メモを取る。
メモを載せてみます。
これはいいな、と思った椅子でした。
あとでWEBで探したら30万円ぐらい。
これを手に入れるのはもう少しましな原稿を書けるようになってから。
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芸術家たちが、Tuusula湖畔に自宅とアトリエを作った。
ヤルヴェンパー駅で降りて東側に沿っていくと、ペッカハロネンの素敵な家が。
確か、フィンランド第二の都市、タンペレ(Tempere)と、ヘルシンキの間、ヘルシンキから北に30㎞の所。
あと、サウナというのは、かつて、スモークを作る小屋であった。
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ガレン=カレラ。
叙事詩カレワラの絵をたくさん描いた。
彼は生活の道具も結構作った。自然木の瘤をいかしたペーパーナイフ。それの使い易そうなかげんに心を奪われる。
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積雪を直線だけでうまく表現。シンプルなデザインの空気はこういうところにも感じる。
炎を描いた織物。単純な線だけで、なるほどなぁと。寒い夜の暖炉の偉大な暖かさを感じるよう。
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Tove Jansson。
ムーミン=フィンランド、という強い印象はそれまでなかったが、ここにきて変わった。フィンランドだからムーミンなんだ、というのは、文化と歴史の部分も小さくない。
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トーヴェヤンソンのスケッチを書きとったもの。大きな雪の丘を前にムーミン困りげ。
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マリメッコはもともとテキスタイルメーカの中のファッション部門から。
プレゼントをいっぱいもらう服。ぽっけがいっぱい。イカイネン・タッキ=ハッピードレス。
この服は、面白い。ポケットごとに用途を変えてみて、一日のTodo、薬、コイン、切符などを順番に入れていって全部やったら一日終わり、みたいな遊びもできそう。
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マイヤ・イソラ。有名なウニッコ。ケシの花。
その他布地にも、ロッキ=カモメ、カイヴォ=井戸、など、生活の中のモチーフが非常に単純な線で素敵なデザイン要素になっている。
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アルテックの椅子。ナンバー611。
座面背面は、4センチ幅ぐらいの感情な布の帯を交差させて構成。座れるので座ったらなかなかのすわり心地。これも欲しくなる。
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アルヴァ・アアルト。
合理主義と人間、1935年、スウェーデンクラフト協会の講演。
彼の作品が非常に範囲にわたって国の中にある。
立国の歴史とデザインと風土と文化。そういうらせんの中でアアルトの存在、作品、哲学は大きかった。
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天使の羽、という、フロアランプ。ナンバーA805
間接照明で明るくするが、大きさの違う木のわっかで構成して 羽のような印象を与えるデザイン。なるほどなぁと。単純なものを積み重ねても有機的なモチーフを表現できる。
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カイ・フランク。
食器。テーマ。
梅田先生が昔言っていた。これは、ティーマ、じゃなくて、テーマ、と発音するんだよと。
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彼のデザイン思想には、デザインを超えて学びが多い。
・使いやすさ
・耐久性
・普遍的な美しさ
・製造過程の合理性
・コスト
・マーケティング
食器のギフトの容器も展示されている。素敵な入れ物である。
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アアルトの会社、Artek(アルテック)の社名は
Art(芸術)+Tekniika(テクノロジー)から。
展示の一番最後は、ぼろぼろになった、しかし、まだまだ使える、アアルトの椅子たち。ショーケースの中でそれらは、新品にはない美しささえ見せていた。
セカンドサイクルプロジェクト オブ アルテック。
使い込まれ、たぶん、購入者が塗ったと思われる色がまちまちにあり、それも生活の中で剥げていてオリジナルの色が見えている。
フィンランドのいすは一度買ったら何十年も、持つ。
人々が日々を生きて刻んでいった傷は、むしろ味わいとして気持ちよくもあった。
2nd Cycle project of Artekは、
そうした古い椅子を引き取り、手を入れて、プレートを付けてまた世の中に送り出す動き。
そして、翌日、Facebookに書いた感想。
私は一昨日それを見て学んできました。
カレワラの概要と、美術、文学への影響。
ムーミン。
デザインと建築。特に、マリメッコ、アルテックの思想と作品。
私は特に、アルテック社の2nd Cycleの思想に感銘を受けました。
美術館のショップでは、Artekの椅子が売っていました。
No60、という丸椅子は自分で組み立てるタイプなので割と小さい箱に入っていました。
前からフィンランドの椅子が欲しいなぁとおもって、いいものを買うのは我慢していたのですが今日これだけ文化や思想を見てしまうと、この時間の中から一つ何かを持って帰りたいなぁという気持ちが強くて一つ買いました。
組み立て前のこのいすをもって、宇都宮から仙台まで新幹線で移動して、旅から帰ったその日のうちに箱を開けて組み立てました。気合を入れてと思ったのですが、わずか5分で組み立て完了。それでいて、何十年も持ちそうな頑丈さがあります。
娘たちには「このいすは君たちがおばあさんになるぐらいまで誰かの家にある椅子になる。」と言いました。
書斎の椅子として使っていますが、娘たちもお気に入りでよく座りに来ます。いまどきの椅子のような機能性があるわけではないですが、座るということをよく考えて作られていると感じています。
ちなみに、このNo60の椅子はたくさんありますが、シエナという柄のクッションが張ってあるのは、日本の展示会用に作られたものだそうで、私がいった前日に入ってきたそうで、「お客さんが日本で一番最初の購入者ですよ」と言われました。青森で行けなかった展示会に宇都宮で追いついて、そして、このいすに出会ったのも何か縁かなと思います。このいすが爺さんになるまで使っているような、生き方をずっとしたいと思いました。