ブラシに見る進化トレンド (TRIZワーク)
TRIZ(トゥリーズ:開発工学におけるアイデア発想を担う部分)では、発明原理の他に、発想をくすぐる手法がいろいろあります。
「技術の進化トレンド」もその一つです。
進化の仕方には、時代や分野を超えて繰り返し出現するパターンがある、という仮説の元、TRIZをめぐる人々はいろんなタイプのパターンを調べて集めました。それらは、既存品から次世代製品を発想するときにとても強力な思考補助道具として役立ちます。
小難しい理屈よりも、まずは、実物から。
例えば、たわし。
あなたが生活用品のメーカの企画マンだったとして、たわしの新製品を企画せよ、と言われたとします。
今までにないたわしって、どんなものだろう???と、腕組みをしてうんうんうなる。そういうシーンを想像してください。
100円ショップに行ってみると、上記のようなたわしが手に入ります。たわしとしての品質は今後の発展の余地が大いにある、と言わざるを得ないですが、その基本的なコンセプトの多様性には、興味を引かれます。

- 赤)使った後自立して衛生的に乾燥と保管ができるブラシ
- 黄)ヘッドが回ったり、絵の部分が開いてへらが出てくるブラシ
- 緑)一部に凹みがありパイプなどにかけておけるブラシ
- 青)中空の本体に洗剤を入れ、プッシュすると洗剤を出してくれるブラシ
これらは、一見すると「おもしろい」アイデア製品です。
ですが、技術の進化トレンドを用いて考えた場合、その姿はとても順当でです。
進化トレンドの真価は更にここから。
赤)使った後自立して衛生的に乾燥と保管ができるブラシ
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赤いブラシは、3つ目のフェーズ”過渡的効果を取り入れた設計”にたどり着いています。
通常のブラシは、洗う状態(定常状態)を考えた設計ですが、これはブラシを乾かす・補完する、という過渡的なものも考慮しています。
すると、この方向に向かって更に発展するならば、次は”ゆっくりした劣化効果を取り入れた設計”といったものになります。
これが意味を持つとしたらいったいなんだろう。そう考えて、皆でブレストすると面白いアイデアが得られるでしょう。
たとえば、ゆっくりした劣化と言えば、ブラシの毛が外を向いてしまって洗う用途をなさない、ということでしょうけれど、それを考慮した設計という線で考えてみます。ブラシ面をいくつかのピースにバラせてるようにします。外向きになってしまった部分を左右で入れ替えることで内向きにできる、という方向のアイデアもいいでしょう。
或いは、毛先を刈り込んでまだ真っ直ぐな毛の部分を露出させる「刈り込み式ブラシ」というのもいいでしょう。
他、3つのブラシについても、対応する進化トレンドを挙げておきます。
黄)ヘッドが回ったり、絵の部分が開いてへらが出てくるブラシ
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緑)一部に凹みがありパイプなどにかけておけるブラシ
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青)中空の本体に洗剤を入れ、プッシュすると洗剤を出してくれるブラシ
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これらも、現在の進化の位置がどこであるのかを知り、更にひとつ右か、二つ右をみて、それが仮に存在するとしたらどんな姿だろうか、と考えてみると、ブラシの新しい製品アイデアが浮かぶでしょう。
この進化トレンドの一覧は、以下から入手できます。
進化トレンドTRIZ_Shinka_Trend.pdf
正確で詳細な情報については、シートに記載した出典をご確認ください。