注視安定視野、有効視野、発想ツールの物理的サイズについて
安定注視野、あるいは、注視安定視野、という言葉に興味を持って少し調べてみました。
注視安定視野:
「頭部の運動が眼球運動を助けることで無理なく見ることができる範囲」とのこと。
(あくまで私の観察ベースでですが)、この範囲というのは、人が机に向かって作業しているような状態の視野に近いです。
しかし、仕事中に、深く集中している時には視野がここまで広くないように感じます。
(なお、この記事に書くことは、あくまで、デスクワークとか、竹細工職人のようなすわり仕事の技能の世界に限っての話、と限定して展開します。アスリートの場合は少し違うかもしれません。アスリートのフロー状態(ゾーンに入った状態)はとても広い周辺視野が有効に働いていると解釈できるようなことが、手記などに読み取れます。)
さて、もう少し狭い領域としては、有効視野、というものがあるそうです。
有効視野:
ペンでノートに書きこむような市井の場合、のA4紙面は、有効視野の中には入ります。
創造技法では「紙は横長に」、という定説
これはなぜなんだろうか、と、ずっと不思議に思っていました。その根底的なメカニズムの存在についてはいまだわからないものの、確かに横長の方が、ゆらゆらと立ち上る曖昧な創造思考の受け止めがなされやすいなぁとは、思っていました。
専門家が推奨することにより起きてしまう心理影響、プラシーボ効果のようなものも当然考えられますが、それを差っ引いてもやはり、効果がある、ような気がします。
注視安定視野と有効視野について、調べてみたことで、少しヒントが見えたような気がします。上記では、数字を明確に書いていませんが、最下部に記した文献を見ると、注視安定視野も、有効視野も、視野は、横に長く、縦には短い、という特徴があります。そのレベルの視野で見ているのかに寄らず、そのレベルの視野を有効に使うには、対象物が横長の方が良い、ようです。
この辺については、今後、さらに詳しい知見を集めて、紙面形状とCreative Thinkingの関係について、一歩踏み込んで考えてみたいと思います。
実験のアイデア
縦長い紙、横長の紙、極端に広い紙、すごく狭い紙、丸い紙、などを用いて、被験者にアイデアを書きだしてもらう、という実験もしてみたいです。
長く述べましたが、従来、ノウハウとして「アイデアを書く時には、紙を横長に。」というのは、すこしそれに対して幾ばくかの援用材料になりそうなものがあるのかもしれません。多分、視野の話と、人間の認知負担の話の両方から、するべき議論なのかなと思いますが。
余談(発想ツールのサイズ)
視覚特性に関する知見は、発想支援ツールを作り出す時に、積極的に活用すべきものかもしれません。
テーブルゲーム風コンテンツをワークショップで使う事例が増えました。
ワークシートも然りです。
使いにくさ、発想しにくさ、が強い時には、コンテンツの内容だけじゃなく、紙面の物理的な面積を変更してみるのもいいかもしれません。
余談2
カードを並べて使う場合は、横長に並べることができるように、カード自体は縦長のデザイン、であるほうがいいのかもしれません。
いろんなカードを試作しますが、横長の場合は、並べて使うと、あまり枚数が置けません。