オープンデータアイデアソン「地域発で農業× IT の連携を考える」(秋田、12月14日)
(こんなに期日が迫っていたら厳しいと思いますが、ご興味とご都合が合えば、ぜひ!)
秋田県で、オープンデータを用いてよりよい価値の創出を目指したセミナー&ワークショップが12月13日、14日に開催されます。私は、アイデアソン(アイデアを出すワークショップ)の設計と進行役として参画しています。
詳細(&申込)は、秋田県庁のWebサイトでご覧いただけます。
(あるいは、読みやすくまとめているサイトとしては、以下を。)
○ 林雅之氏のオルタナブログ(13日に登壇されます)
余談
余談といいますか、周辺的なことを記します。(注意:ひどく、長いです。)
オープンデータという言葉と概念が登場し、かなり市民権を得てきました。
最初は、一部の先鋭的な地域(~今、私がこのブログを書いている時点で滞在してる横浜の関内あたりもそのひとつですが~)が、新しい公共で作り出された一連の文脈において、NPO/街づくり/地域活性化などのひとつの有望なツールとして登場しました。※1
(※1 この解釈は、もしかしたら間違っているかもしれません。私の周辺のソーシャルエンタープライズやコミュニティー作りに取り組むかたがたの言葉の辺縁を縫い合わせると、そうなのだろうと、石井が解釈しているに過ぎない、のかもしれませんが。)
ざっくりいうと、そもそもの、オープンデータとは何か?
地域をよりよくをしたいという人にとっては、行政が持っているデータというのは結構な価値があります。私も商社、大学院、ベンチャー、独立行政法人、事業主、などいろんな場所にたってきたかなで、「新産業振興課あたりに集まってくる地域のデータってのは、ものすごいマイクロ商機の塊だな」と感じていました。
(※2 でも、そういう情報の流れ込んでくるところが、自分の組織のことじゃないので、それを「社会に出しましょうよ」っていうのは、余計なお世話だったわけです、昔は。 実際にいってみたことがあったのですが、該当部署からは「守秘や特定の企業だけへの利益となることは、公共組織の立場に反する」と回答され、確かに、場当たり的なことってできないよなぁと、納得したのでした。)
今の日本のオープンデータは、いまだにそのレベルまで、アクセスはできず、限定的なものですが、それでも、かなり行政の持ついい情報が、公開され、活用できるようになって来ました。(すごくいい情報を出している組織もあると思いますので、強くは、言い切れませんが。)
このあたりが、「行政からの開示型」のオープンデータ、だとすれば、「民間企業による社会的姿勢に基づく開示型」もあり、また、「市民生成型」(人々が地域で何かの特定の情報を、利活用できるように一箇所に投げることで作り出されている生きている情報群)もあります。
こうして、いろんな情報開示源が社会に登場しつつあるのが、現状です。
さて、面白いデータが提供され始めると、これを使ってみようと、なってほしいわけですが、努力して公開してもなかなか人々のよりよい生活へと利活用されないものも多くあります。「オープンデータなんて、やる意味のあるの?」なんて、新しいこと嫌いの人から言われてもがんばって、市民のために、地域のために、データを整備して公開した、、、のにもかかわらず、なかなか、活用されていかない。(ほら見たことか!って顔でにら待てしまう・・・)これは弱った。なんてこともあるわけです。
この辺は、時間がかかります。認知と試行錯誤と成果と、そして、収益(というか、社会的な利得というべきでしょうか)が、ある。これは、昔NEDOフェローをしていたときによく見てきた『大学の知財のPR』~『産学連携』~『新技術の商業化』~(その当事者よりもっと後の世代の事業の成功)という構図とまったく同じで、やっぱり、時間がかかります。
さて、オープンデータをめぐる話(おもに、石井の私見ですが)はこの辺にして。
次に、もうひとつの流れがあります。
それは、「ハッカソン(&アイデアソン)」という、「意欲あるエンジニアの短期合宿型開発イベント」の動きの台頭です。
もともとは、シリコンバレーでハイテクベンチャーが週末の二日で、一気呵成に、暖めていたアイデアを実際のITサービスにしてみる、という活動があり、それはいいな、っていうので、日本でもよくやられるようになりました。私がMOTの博士課程に戻った時期(2004~)には、そういうのが日本ではやり始めたと、ちらほら。
そして、あれから10年ぐらい。
ハッカソンをただ繰り返しても、アイデアが尽きちゃう。作りたいネタが枯渇する。そこで、アイデアソン、という、アイデアをみんなで出し合うワークショップが、ハッカソンの前哨戦として設けられるようになりました。※3
(※3 アイデアワークショップ=アイデアソンです。ITの人たちは、アイデアを出し合う 数時間~一日の活動を、アイデアソン、と呼び、人材教育とかビジネス系の人たちは、(アイデアを出す)ワークショップと、呼びます。)
アイデアソン、チームビルディング、ハッカソンと、つながる一連の流れは、結構いいパターンとして洗練されていきました。最近、新しい組織が主催するアイデアソン(アイデアワークショップ)が増えてきた要因のひとつにはそれもあると感じます。
さらに、ハッカソンの後、実際にアプリだと簡単にリリースして世の中に役立ててもらえたり、世界的な、ギークイベントへの世界大会出場切符につながったりする、という点で、出口に力強さが出てきたのもあるでしょう。
これが、二つの目流れです。
さて、ここで「オープンデータ」と「アイデアソン/ハッカソン」が、クロスし始めます。
アイデア一発の、アイデアアプリよりも、オープンデータを使うと、非常に重厚な価値を発揮できるものができる可能性が出てきます。オープンデータの整備&提供側としても、活用してもらって、回りまわって、よりよい市民生活に還元できるものなら、ウエルカムなわけです。
ということで「オープンデータのハッカソン」というイベントがこの一、二年、はとても増えました。(何度もいいますが、という石井の私見ですけれども。)
述べたいこと第二章
さて、述べたいことが、もうひとつあります。
この秋田の座組み、そのコンセプトについてです。
中心で運営しているCCLの原さんたち。 原さんは、現Fandroidの理事長をしてくれている人です。※4
(※4 Fandroidの初代の理事長が私石井でして、震災後に立ち上がって、大体500日ぐらい、理事長をさせてもらいました。そして原さんに座を譲ってから、現時点でちょうど同じぐらい(500日ぐらい)たちました。原さんとは、不思議な縁で、結構な長い付き合いなんです。)
原の考えを、石井フィルターに入れて、語りますので、間違っているかもしれませんが、まずいところがあれば、石井の誤認だ、ということで、エクスキューズをかませつつ、続けます。
オープンデータとしては、いいものが利活用できるようになりつつある。(前述)
地域ごとに、その利活用をするには地域性を。
東北はやはり一次産業多い、ここをスルーしてってのは、もったいない。
かといって無理やりな押し付けもできない。
じゃあ、どこがいいかというと、最初の有望領域は農業。
(※5 結構農業は、バイオ以外のテクノロジーの進化によって、面白い局面を迎えるだろうと、私も思います。食べ物なんて縁遠い、メーカ大手が、稲の研究を行っている、なんてことも、よく耳にしますし)
そんなところに立脚し、農業の世界で、新しい可能性に挑戦したいと思っている実務家(農家の方)と、IT、オープンデータ、という座組みで、行いたい。と。
そんなところが、述べたいこと第二章でした。
どういうアイデアソンをするか (するべきか)
こういう背景で取り組む、今度のアイデアソン、先進的なことに取り組む姿勢のある農業従事者、IT技術者、行政マン、そうしたかたがた、1.5日わたるセミナーイベントで、大きなインプットを入れている状態で、ワークショップはスタートします。13:00~17:00の4時間。 想定としては、20~50人ぐらいの人がいる会場です。
(※6 アイデアワークショップや、アイデア創出の活動のアウトプットというのは、往々にして計測しにくいものなんですが、それでも定量的なアウトプットを出そうという努力をし続けることは大事だと思っています。社内のアイデア出しであれば、アイデア創出件数、あるいは、それらからFSフェーズに入る件数、あるいは、特許件数という、何らかの数量になりますが、こういうオープンイベントでは、なかなか難しいものがあります。もちろん、アイデアスケッチの枚数、ということで、ひとつの可測なものはありますが、受け取り手がいないアイデアの件数というのは、その大量さを誇るのはややむなしいものがあります。すこし長期的に見て、それが「活かされる」ことに目線をむけてみるなら、「その場から、取り組みのネタが出る」→「メンバーをずらして変えていきながらも、検討活動が始まる」というところを目指すべきだろうと、私は思います。)
さて、ここまでくると 「(1)思わず取り組んでみたくなるネタができる」ことか、「(2)思わず取り組んでみたくなる仲間が見つかる」こと、あたりが、この4時間を通じて、私が提供できることだろうと、狙いが定まるわけで、です。
実際は、(1)と(2)は、密接に関係していて、連動していることがおおいのですが。
そうなると、通常のアイデアソンのプロセスに加えて、(参加者同士の)「接触面積を増やす」工夫を考えてみたくなります。
想定しているプロセスは骨子で言うと
1) ちょっとした、余興的な導入(アイスブレイクとか)(15)
2) 5分交代のペアブレスト(スピードストーミング)
あるいは、6分交代の三人ブレスト (その場の雰囲気しだいでチョイス) (45)
3) アイデアを書く(アイデアスケッチ) (15)
4) 面白いものに星をつける(ハイライト法) (15)
5) 上位を紹介し壁に張る(アイデアレビュー) (15)
6) 好きなアイデアに集まり、良案を発展させる(発展ブレスト)(30)
7) 発表、もしくは、何らかの形で成果を整える作業を(40)
8)まとめ&メッセージ(5)
という構成。 これで、小計3時間。途中にトイレ休憩10分をはさむとして、3時間10分。
アイデアワーク系は、進行遅れの吸収シロが結構必要で、全体時間の70%ぐらいをコンテンツにして、30%を予備にしておきたいところ。
だとすると、骨子としては、大体、これで、いい塩梅(あんばい)なんです。
さて、この基本骨子を、どう、いじろうか、というところになります。
「接触面積を大きくしたい!」ということでいえば、
1)の導入
7)の発表or整え作業
あたりで、何か工夫をして、なるべく多くの人と人がざっくばらんに、意思疎通できるようなものをいれたり、せめて、初対面の心の垣根を早い段階でずっと低いものにしたい。そのためには何ができるか。。。そんなことを、考え始めます。
1)の候補として考えられるのは
◎他己紹介
◎Brainstorming Card × 破壊ブレスト
◎連想の4法則カードを使った、絵描きゲーム
◎一緒に何かを食べる行為
◎一緒に何かを飲む行為(軽いアルコールを先にとる、というのも、ケースによってはある。今回は場の条件的に、選択できないけれど)
◎エクスカージョン(発想技法のひとつ)を使って、一人でアイデアの材料を大量に浮かばせる(設計思想的に、これも合わない)
7)の候補として考えられるのは
◎普通に全グループプレゼン
◎プレゼン・トーナメント
◎ビデオ・プレゼン(20分の時間を利用して、10分程度のプレゼン動画を、各チームで作成 → 懇親会で、皆で鑑賞。後からプロジェクトに入りたいを募るときの、公開資料としてもよい。)(デメリットは、全発表を聞くことは、イベントの中ではできない)
(※7 ちょうどいいものがあるのかは不明。最近の、地域活性のマイクロな補助金の制度で活用できそうなものがあれば、その申請用紙を参考フォーマットして配布し、「(仮に)プロジェクト化するなら、こういう要素を埋めていくんだ」ということを、体験する時間にする。 もちろん、記入したからといって、必ずしも提出や実施を強制はしない。その後の展開は、全部チームの自由)
◎6W3Hシート&模擬ヒアリング※8
(※8 ビジネスプランのエッセンスの入った9つの要素(WhoやWhow muchなど)のシートを埋める。そしてそれを、見込み顧客にプレゼンする。見込み顧客がそこにはいない場合は、他のチームに想定顧客を模擬してもらい、プレゼン。そして、ブラッシュアップのコメントをもらう。これを幾度か繰り返すと、ビジネスプランの原始的なものは、1時間半ぐらいで割と形になる。ただ、今回の「接触面積を増やす」という点では、弱いかな。かつ、時間がかなり必要。ただ、、、それでも、チームで幾度もブラッシュアップするのは、チーム形成上のよい効果はある。)
ざっと、アレンジの幅としてはこんな感じになります。
で、この後は、頭の中で、なんども、想定する参加者上を何十人か立てて、その人の4時間を、つぶさに想像していきます(シュミレーションをします)。
このブログを書いた時間が、イコールこの「①②③」の作業時間です。 いま、「2.5時間」かけて、これを書きました。
この後は、たぶん、「5時間くらいかけて、何度もシュミレーション」をして、「最後に5時間ぐらいかけてスライドと資料作成」をします。※9
(※9 後半は、設計時の頭の中の開示をしています。これは、ブログの一般読者にむけてというよりも、現在、アイデア創発ファシリテータ要請講座を受講してくださっている方にむけて、「設計作業の実際」を見てもらいたくてつまびらかに書いたものです。)
以上です。
長い、長い、余談でした。
スライド、出来上がったら、また、このエントリーの下のほうか、別の日付でアップします。