2秒メモ。花のままでは保存がきかない。
アイデアの技法、について、久々のエントリーです。いろんな方の発想の構造を聞いたり、手法を聞いていて、特徴的な、そして、エキスパート以外には見過ごされやすいポイントがあります。そこに『2秒メモ』と名を付してみました。次のようなものです。
アイデアの技法「2秒メモ」
いつもポケットにペンとメモ(お勧めは、名刺サイズのメモカード、30枚くらい)を入れておく。
何かをふと見て、「あ、こうなっているのか」と思ったら、メモ。「あ、それを生かすとこんなこと出来ないかな」とおもいついたら、メモ。「でも、こんな懸念事項がありそうだ。」それもメモ。
ツールとしての要件は、直ぐに立ち止まり、メモを出せること。2アクション以内に(2秒以内に)、ペンを持って書く紙面を手のひらに収められていること。書くべきページを開くのが大変なツールはNGです。
さて、歩いてて何か思いついて、メモします。それぞれのメモは、細かく書かないでOK、正しくない言葉遣いでもOK。そのときの感性イメージをできるだけ、正しくアウトプットします。たとえば「○○てきなもの」とか「□□しちゃうくらいの」といったトーンでもOKです。ビジネス風に書くのは、後でいいです。
そして、できるだけ3行以内に。カードが小さいので必然的に30文字くらいしか書けません。それがいい。書きすぎては駄目。広がりを生む芽ですから。
それから、できるかぎり、「図」をつけたい。それも、ただの「○」と「→」くらいで充分。何か、書きたいことが言葉で出てこなければ、適当な大きさの「○」を1~3個書いてみてみると意外と、流れ始めたりもします。あるいは、2×2の表もいいです。
さて、この手法のよいところは3つあります。
1.花のままでは保存はきかない
ぱっと思いついたアイデアは、「花」のようなものです。特に朝顔のような。「ああ、いい花がさいたなぁ、後でもっとよく見よう。カメラもどこかにあったよな。」とおもった花。翌日に、青の花、どんなはなだったかな、とみてみると、既にしおれている。う~んと思い出してみても、さいていたときを思い出せない。
アイデアは、鮮度の短い「花」のようなものです。見つけたその場で、ぶれてもいいから撮影しないと、24時間後には、ほとんどの花は枯れています。アナロジーで言えば、アイデアの花が咲いたら、受粉させて「実」にしましょう。実にしたアイデアは収穫フェーズに進ませることができます。
アイデアを「花」から「実」にするとは、「思いつき」を「紙に書く」なんです。
2.創造活動(原稿を書く、企画を作る)時に、とてもありがたい自分だけのデータブックになる。
連載原稿を書く仕事を始めておどろきました。あふれるほどアイデアがあると思ったのに、そのテーマで書き続けると、アイデアが出てこない、とおもう日もあるものです。世の中の優れたアイデアの事例を探したり、ディスカッションしたりするようになるのですが、そこで得られたものを、既存の著作者に配慮するとなかなかそのまま活用するわけには行きません。そのときに、「転用フリー」のアイデア集ブックがあったらいいとおもいませんか?アイデアのメモストックは、実はそれです。思いついた膨大のアイデアはあなた自身の創作物なので、かなり自由に使えます(もちろん、思いつきのヒントをえるための事例などには、言及する際に配慮がいります)
このアイデア集ブックは、半年で、かなりのボリュームになります。豆に書いているぶんにはストレスとはありません。あなたの企画構想に利用フリーのアイデアデータベースを作ることができます。
3.アイデアマラソンへの助走が出来る。
毎日アイデアを書く、アイデアマラソン、という活動があります。ずっと同じノートを使って毎日発想する。という方法です。継続のもたら効果は大変素晴らしいものがあります。しかし、マラソンにいきなり入れない、もしくは、挫折した、という方は、まずは走り書きを書き留める習慣づけから、スタートしてみてはどうでしょう。一週間に2回メモした。次の週は4回。次は6回。次の週からは毎日1枚のメモが。そこまでいければ、多分アイデアマラソンにもういちどチャレンジすることが難しいことではなくなっているでしょう。
「2秒メモ」これが本当に必要に感じるのは、ごくわずかの方かもしれませんが、「あれ、あのアイデア、どうしても思い出せない。なんかいいこと思いついたと思うんだけど…。どう考えたんだっけな…。」と感じる経験があった暁には、是非一度これを思い出してみてください。ストックされていくアイデアのメモは、あなた独自のアイデア集ブック。あなたの企画の際にとても便利な武器になります。
それから、アイデアメモは、できるだけ24時間以内に、フォルダーなどに移動します。名刺カードサイズのメモカードは、名刺フォルダーに入れることが出来ます。めくってみるとそのときに感じたことが殴り書きしてあります。すこし迷いますが思い出せます。その思い出した部分を補足として、メモに書き加えて、フォルダへ。これが、1週間後の移動だと「なんだこのメモ?」というものばかりになってしまいます。アイデアの鮮度は落ちやすい。このフォルダへの整理も含めて、収穫可能な『実』にするコツなんです。