新しい組織マネジメントとは
社会人院生として、大学院にいたころ、企業の組織マネジメントと、NPOマネジメントに本質的な違いがあることを知りました。
一番の違いは、企業の構成員の多くは「従業員」であり「契約関係」があります。一方、NPOの構成員の多くは従業員ではなく「組織理念に共感した人々」であり「信頼関係」でつながっています。
企業では、上司が部下に「これをするように」という強制力があります。しかし、それができない組織では、何がおこっているのでしょうか。非常に興味がありました。
共感を主につながり、雇用関係がないのに活動に参加する人々。そのメカニズムは、新しい時代の組織運営に重要なヒントを与えます。それは、企業にも違った可能性をもたらすでしょう。
私はNPOマネジメントの本質が、まだはっきりとは理解できていません。しかし、多くの方の話に共通することで少なくとも見えつつある事実があります。それは「人は自らそれをしたくなって、する」ということです。
これは、顧客の行動に酷似しています。顧客は企業が買わせたいから買う、なんてことは絶対にありません。買いたくなって、買う。行きたくなって、行く。それを促進することはできてもこの行動の本質は変わりません。
NPO、任意団体、志しを推進力にした活動、アメーバ的プロジェクトには、それとよく似た行動本質があります。「人はみずからそれをしたくなってする」
「人はみずからそれをしたくなってする」
これはなにを示唆しているのか。考えてみます。物事を「目的地」と「通ってゆく道(プロセス)」の2つで考えてみます。
企業のマネジメントは、目的地を設定したら、アサインされた人は、ひたすらコミットメントしなくてはいけません。プロセスが楽しく設計されていることは稀です。楽しいプロセスはもっとしぼりあげて、短時間で目的地に着きたい存在ですから。目的地に無事時間内につけると、利益が出て企業体はうるおい、社員も十分な給与が出ます。しかし、この構造は、今一つ、ハッピーな感じがしません。古い組織がもつ閉塞感のようなもの、でしょうか。(ESを考える企業も増えましたが。)
一方、強調したいのは、企業でない組織のマネジメントは「それをしたくなってする」状態を毎月、毎日、毎時間、設計しておかないといけない、という点です。なぜなら「人はみずからそれをしたくなって、する」わけですから。これはつまり「プロセス」が楽しく設計されている、ということを意味します。(楽しく、は意味が狭すぎます。ただしくは、ヤリガイなどでもカバーできる場合があります。)
「プロセスを楽しむ」
首記の「新しい組織マネジメントとは」に、私なりに答えるならそれは「プロセスを楽しむ」ということではないか、とおもいます。誤解を恐れずに、極端な表現をすると「目的地のハッピーさよりもプロセスのハッピーさを重視する」ということです。
「短期の目的」が「最優先の目的」化してしまうのを防ぐ必要があります。しかし、うっかりすると、それはすぐに起こります。本当の上位の目的は「幸せに生きる」ことです。その意味では、下位目的のあらゆるものは、それに準じて設計されるべきです。それには一概に言えませんが、プロセスを楽しむ、というガイドラインは一つのポイントになりそうです。
個人の場合にも、言えると思います。多忙さに、心が荒れてきたら、思い出したい、そう思います。自分自身をマネジメントするのに「目標をたてがむしゃらにプロセスを走り切らせる」のは、企業風。新しい組織マネジメント風にするなら「目標に到達するプロセスを楽しむ。楽しめるようにプロセスを設計し、ときには、楽しいプロセスをかなえるために、目的地は、最適化することさえあってもいい」そんな可能性を考えてみるのもいいのかもしれません。
なお、さらにまとまりのない話ですが、
道のりを楽しんで、目的地に時間までにたどり着けなかった。ウサギとカメの話のウサギはそういうタイプですが、どうやら、ウサギの行動にも、評価すべき点がある気がしてなりません。
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「プロセスを楽しまなければたどり着けない場所」
その場所の存在を世界で初めて指摘したのは、彼ではないか、と。
目標はありますが、それを実施するために、プロセスが「与えられる」のではなく、
プロセスを進めていく行動自体を楽しむ。
プロセスを楽しんだ結果、副産物や目標を変えた(最適化した)ほうが
いいという気付きも得うる。
人があって、
共有するアバウトな目標があって、
プロセスを”やりたい気持ちがあるからやる”
そして、その積み上げは最適な目的地を再定義する。