ビジネス・コーディネータ
金曜日、土曜日と、ビジネス・コーディネータを務めさせていただく機会をいただき、その活動を行っておりました。
技術や食品の各社の展示ブースをまわり、各社の強さ・特徴をヒアリングし、その時に、他のブースとのパートナーシップでよりよい事業展開の可能性が見出せたときには、両社をお引き合わせする、という活動です(一般社会であれば、商社の行う仕事に少し似ている性格の活動です)。その活動がうまく行ったとしてコーディネータになにか利益をもらたすわけではないのですが、みな、そうした地域の企業発展に貢献したい、そういうことがおこることに面白さを感じる、という方々でした。
さて、その際に、東北人の謙虚な気質というのは、強さや特徴を的確に主張しない、というスタイルとなって表れて、コーディネータの腕次第では、平凡な商品にしか受け取れないことがあります。私は今年が2年目でなれてきて、よいヒアリング方法をみつけつつありました。ご紹介します。
【1】自社の強みとなる価値軸を2つ
品質だけで日本一になるのはむずかしく、値段だけ、短納期対応だけ、でも同様です。ですが、強みというのは、ある種の狭く切ったエリアでは、日本で一番か、日本でも数社しかない(東北では自社しかない)くらいのものが必要です。
そこで、「○○については、業界1位といえないまでも、かなり強い方だ。ただし、それについて優れた企業が他にあるけれど」というものでいいので、1つあげて下さい。と聞きます。すると出ます。
次に、「もう一つ、あげてみて下さい」といいます。すると、今度は違う方向から、強みとなる価値軸が出ます。
この2つの価値軸の両方がプラス・プラス、になるのは、業界でもそう何社もありません。
【2】その提供価値軸の周りにはどんな概念があるのか
その強みが、マッチングを図る相手企業に容易に理解してもらえないと、マッチングが難しいです。そのため、エッジのきいたその価値軸の周りに存在する類似の概念をきくことで、一般の人向けに、言い換えて説明する場合の説明キーワードとして役に立ちます。
【3】顧客の享受する価値、でいいかえてもらう
強みを、顧客の享受する価値で言い換えると、それはなんとひょうげんされますか?とたずねます。そうすると、しばし考えてから、「それは□□だ」とお答えいただけます。従来の市場での、顧客享受価値ではありますが、これを聞いておくと、事業価値・商品価値を、すっととらえておくことができます。
【4】まとめる
強さの2軸を中心に、この企業・製品の強さを100字程度にまとめます。できるだけ、ヒアリングした直後の情報の多い段階で、さっと走り書きでまとめておきます。この情報があれば、かなり、マッチングの際にも、効率よく、両者へのご紹介ができます。
なお、マッチングには、相手の強さをうけとるだけの自社の課題なり弱みなりが、存在している必要があります。それもやはりきちんと把握しなくてはいけません。それなしに、マッチングをしても、ニーズのないお引き合わせになります。これを短い時間で実行するのはかなり苦しいものがあります。それをもっとも効率的にするのは、逆説的ですが、「強みを聞く」という作業だ、と感じました。
強みを聞く~顧客享受価値を聞く、ということを脈々としていきます。そうすると、自社の良い所を充分にお伺いできます。その上で、大抵の企業さんは「いやぁ、でも、一方で課題もありましてね」とおっしゃっていただけます。それは、よそでは当然開示しませんが、マッチングを図る時の、出っ張りへっ込みが、あうように意識します。一番いいのは、2者の出っ張りへっ込み(強みと課題)がちょうど逆であると、かなりよいマッチングになります。その場合は、簡単なご紹介をするだけで、あとは両者の会話が自動的に進みます。
そんなことを感じていたので、記録のために書いておきました。
なお、数100社のいるブースをすべて見てヒアリングを詳細にするのは、困難です。なので、私は、A,B,Cと階層を分けていました。
番外編【5】狙いを絞って、活動する
Aカテゴリーは、詳細なヒアリングを行います。集中して時間をかけます。1社当たり40分くらい。
Bカテゴリーは、Aカテゴリーを含む業界ブース全体です。全社をざっと把握しておくために、ごあいさつして回ります。
Cカテゴリーは、会場全体です。どこに何のカテゴリーがあるのかをみて、特に業界を超えてマッチングが見出せそうな、ところは注目しておきます(ただし、他のコーディネータがいるので、そちらに任せて、私は駆け足でまわります)。
こうすることで、全体像と同時に、きめの細かい対応が可能となります。
人によっては、Bカテゴリーを均等に回るという人と、Cカテゴリーを頻繁に回って、多様な連携を作る人もいました。これは、人それぞれの特性がちがうので、それでよいとおもいます。私は割と、しっかり話を聞いて、ブースの方と信頼関係をつくれるぐらいまで、お話を伺い、深度の深い情報をもとに、お引き合わせしたいとおもって、このような方法をとりました。