シリコンバレー日記06
2008/12/03 15:56
SV時刻12月2日22時56分
本日あったことをざっくりまとめたい。
今日は、
・Googleの本社
・APPLEの本社
を訪問しともに社内を見学させてもらった。
どちらも日本法人があるのかよく知らないが、若い世代に人気のある先端企業であり、その本社にビジターとして入れたというのは、とても幸運だと思う。とりはからいをしてくれた赤間さんに一同感謝しています。
(人にはよくするものだ、とこのとき思う。赤間さんに直接会っていないときにも、僕たちは赤間さんのご縁やご紹介で訪問できる先をえて、そのコンタクトの際に、そこにはいない赤間さんが大きな存在感を持っている。人にはよくするものだ、とおもった。もちろん、赤間さんはそういうことを期待して、よくしてくださった訳じゃないのも知っているけれど。ご本人もおっしゃっていたけれど、ツアコンに必要な資質をおもちとおもう。あるいは、コンシェルジュ的な職へそれを)
さて脱線から戻る。
あさ10時半に、集合して出発。いつもは先に降りている長橋・柳澤ペアが今日は珍しく遅い。日本とのやりとりを通常レベルでおこなっているのだから、すごい。柳澤さんが朝7時半におきて鎌倉とスカイプをしていたという話、柳澤さんはスカイプにつながっているんじゃないだろうか、という笑い話をしながら、マウンテンビューにあるグーグル本社に到着。
実は今日は、朝からときおりずきりと頭痛がしていた。この症状は夜にかなりつらい状態になるのだが、その最初の痛みを感じたのは、グーグル本社で車を降りたときだった。
グーグルの敷地は広い。カーナビに従って現地に到着するも、多くの建物があり、最初にたどりついた建物ではないことがわかった。
わかったときには、石井と柳澤さんは、探してくれている長橋さんと佐久間さんをよそに、googleの門柱の前で、記念撮影。始めてみたときの驚きは、その瞬間に撮影したがいい。あとでは結局とりはぐれる。
だが、のんきなわれわれ二人をよそに時刻は訪問時間に刻々と迫る。
別の建物だ!とわかって、車で移動。道路のストリートネームに「google」とでてきて、おお!とりたい、なんていっていたけれど、車はグーグルの建物内を疾走していく。目当ての建物エリアにつく。建物が数本ある。40番台のビルだ。敷地内にはいると、グーグルらしい中庭。あ!写真で見たことのあるビルだ。とか、あのバレーコート、いいですね、とかいいながら、のんき組は撮影しながら歩く。長橋さんと佐久間さんは、蜘蛛の子を散らすように(表現がおかしいか:笑)あっというまにいなくなる。いなくなるというよりも、急ぐ彼らを横目でみつつ、のんき組がついていかないだけであい、いなくなったのは実際はこちらなのか。
いなくなってしまったなぁ、とかいいながら、ふとみると、受付風な建物。あれ、これかな、といっていると、廣島さんが建物から出てきてくださった。遅刻をお詫びし、仲間がはぐれていることをつげ(僕が置いてけぼりだというのが正しいところだったけれど)、じゃあ、石井さんは受付のサインインを、と廣島さんにいわれ、受付のマシーンに。
PCで簡単な登録作業。名前、所属、ホスト(つまり社内に迎えてくれる社員)を入力。長い長い同意者に同意して、それから、シールタグが印刷される。訪問者はこれを胸につける。
長い同意書は英語であり読みきれないが、情報管理の面で、写真はだめよ、といったたぐいのことのようであり、最後に「写真、ビデオはだめ、ということを繰り返しておきます」的なメッセージがでる。この先は、写真もビデオもとらないことになった。写真を撮りたいシーンがたくさんあったけれど、この後は、社内ツアーの終わった後に、廣島さんと本社ビルの前で記念撮影をするまではカメラは出番がない。
さて、社内ツアー。まず廣島さんの机にいく。4人ほどおられて国籍・性別・見事にミックス。
それから、社内のおもだったところをつれていってもらう。最初は軽食のストックエリア。ジュースもフルーツもただ。昼飯が近いので補充がすくないが、夜は豊富らしい。
そのあとにもスナックエリアをつれていってくれて、お菓子無料・ジュース無料ということで、それぞれが、お菓子をいただいた。無料の中に唯一有料の販売機がある。無料のお菓子がある中で、有料の販売機があるのは一種のジョークだと。何か気がつく?ときかれたが、こたえるけれど正解はわからず。答えは「体に悪い程度の高いものほど高い値段設定」とのこと。確かに55セントのクッキーがあるいっぽうで、4ドルのものもある。そんなに高いものではないはずなのに。
ちなみにあえて高い(体に悪い)のを買う人もいるらしい。そもそも無料のがあるのにもかかわらず。行為のジョーク。
社内のオフィスはそれぞれでおもしろ。エアマット状のテント、チベットの遊牧民族のいえのような形状の、がたっていたり、ただのパーティしょんだったり、がっちりとへやだったり。
なかには、二回の窓の外に意味のないドアがついているところもある。ドアが閉められない。そこにはすでにまどがあるので。そういう建物としての遊びがにくい。
セミナールームがあちこちにあり、会議スペースも結構ある。昨日のIDEOのような特別な仕掛けはない、しかし、スペースがたくさんあることと、四角四面・理路整然としていないで、しょっちゅう変えられているだろう(それもかなりのお金をかけて)社内の雰囲気が、急成長をする大型企業のものすごさをかいまみられる。
別の受付の近くには、昔かりていたサーバーの展示が。詳しい言及をするのはやめておくがそうおう記念碑的なものは、やはりエンジニア魂をくすぐる。昔、若い頃に、日立製作所の創業の地でふるい初期型マシーンをみて感慨深い思いを持ったのを思い出す。
パーツやさんがある。南国の売店風である。PCのパーツがうっている。ただしくは、ゼロ円なので、備品管理センターというべきかもしれないが、そういう遊び心。ただし、たいていは必要ならばここにくるまでもないとのこと。さすがIT企業。
それから、おみやげやさん。オンサイトショップがあるのだ。Tシャツ、ニット帽、ペンなど。グーグルのロゴがもれなく入っている。
石井はひかるヨーヨーとカラフルな塗装のペンのセットをかった。ニット帽も。現金のしはらいはNG。カードのみ。なんか徹底してグーグルっぽい。
廣島さんがいうには、全米から学生が見学に来るがたいていは社内ツアーがおして最後のおみやげショップでほとんど時間がとれなくて、おこるんだ、とのこと。ゆっくりゆっくりまわってくる連中が悪いんだ(笑)、とも。
普段、企業のオリジナル商品にはあまり乗り気じゃない石井としても、グーグルで見聞きした体験を、なんとか形にして保持したいと思うとおみやげ物をかうきになった。映画にいくと感動した映画の場合に、リーフレットを買い求めるがあれににている。体験を具現物にやどらせてもってかえりたくなる傾向が人にはある。
柳澤さんのおみやげは結構なボリューム。なるほど。
その後は、社員食堂。中華、イタリアン、和食、メキシコ、インドなどなど、好きなだけとれる。もちろんただで。
ビジターの人もただでご飯をたべられるので、ありがたく堂々と手巻き寿司やビーフの何とかソースをとる。とりすぎるのは午後に向けてよくないと思ったのでひかえたが、それでもおなかいっぱい。マッシュポテトが予想外にうまい。
KAYACさんは、かなりとりすぎて苦しそうだった。うどんとか、おいしそうなものがあり、どれもためしてみたくなるものだったし、実際にたべてみて、おいしかった。手巻き寿司はふつうにおいしいし、ビーフは柔らかくていいにくだった。すごいよ、グーグル。
その後は、廣島さんとKAYACさんの質疑。柳澤さんはCEOだし、長橋さんと佐久間さんは総務系の仕事なので、優秀な人材、組織に関する質問がおおい。普段石井は聞かないタイプの内容なので、興味深い。首が痛くなってきて、表情がひきつるのがわかる。ちょっとペースを落とさないといけない。
その後、石井からブレストの研究者としての観点から質問をさせてもらう。とても興味深い。なるほど、なるほど。世界先端企業ならでは、という部分と、普遍的な部分と。これについては、別途。
そんなわけで、昼食も終わり、中庭で記念撮影をしてマウンテンビューをあとにした。廣島さん、ITmediaの記事ではリーゼントのようなヘアスタイルでおっかない人のように見えたけれど、それも一種のジョークではないかとおもった。ブログがときどき突き抜けていて、おもしろい。生きざまそのものがジョークであるという気がして、高い競争倍率のグーグルにも、すんなり入った廣島さん。ある意味、アウトローであり、廣島wayな人生をいきていて、たまたまおもしろそうなのでググっている(検索しているわけじゃなく、グーグルで働いている、という意味で使ってみた)。
廣島さんが社内ツアーしてくれたのは、ものすごい幸運だったとおもう。もっとおとなしい、質疑応答しか、本来ならできなかったはず。
KAYACさんも石井も、世界のグーグルを目の当たりにして、刺激や気づきは多かった。
才能と働いてもらう環境と。
そんな言葉が、ぐるぐると、頭の中で、いろんな記憶やアイデアをスイープしてまわった。まるでグーグルボットのように。
2008/12/03 16:57
SV時刻23時57分。もう眠い。
ようやくグーグル部分をかきおえた。
「Change the World」
世界を変える。
そういう気概を持った企業が誕生し実際にそれを行っていく。それがシリコンバレーであり、グーグルは近年の大きなケースの一つ。
そして次は、同じく、世界を変える、ような企業。フリーウエイに乗って、APPLEの本社へ。
世界の先端企業を一挙に2つも。なんて贅沢なんだろうとおもう。
アップルも同じく広い敷地。またもすこしまよった。長橋さんの運転が確実にうまくなっている。アップルまでのハイウエイで、ナビのおかしさから道を間違えることが数度あった。
柳澤さんが「あれってこうだよね」ということをしきりに長橋さんに話しかける。しかし、フリーウエイの分岐やリカバリーのタイミングでも柳澤さんはどんどん話しかけるので、運転手は大変である。暇な石井が運転をすればよかったと持った。とはいえ、時間に間に合うように移動するには、優秀な人にまかせたいので、お任せ状態。
アップルでは木田さんにおあいした。エンジニア部門のマネージャーの職に就いている。木田さんのことは以前、梅田望夫さんが取材されていて、興味深く思っていた。
実際にお会いしておもしろい、魅力的な方でした。日本法人に新卒で入社して本社まであがったのは、彼の独特のオーラがあるのではないか。人間性がチャーミングなのだ。
Idea Pop-up Cardsのシリアルナンバー0002をプレゼント。楽しい会社で楽しく遊んでもらえたら幸い。
★付箋文★
2008/12/04 01:40
SV時刻12月3日午前8時40分
今日は7時半に目が覚める
昨晩の頭痛がきれいさっぱりとれて体調も万全である。
普段の体調の直し方が効果があった。まず、大量の水を飲む。次に粗食にする。そして風邪薬を飲む。そして6時間以上ねる。
シャワーを浴びて髭をそりながら、昨日のことを考えていた。この後に書くべきAPPLEの木田さんのこと、そして、廣島さんのこと、柳澤さんのこと。
廣島さんは、怖い人かと思いきや、ざっくりとした性格でかつ、確立した考え方があり、物事を、組織の中にいても、確実に個人で、判断できる人。やって、だめなら、そんときはそんとき。(やってだめなら、なおせばいい、とかきかけて、なおすのだろうか?と疑問に思ったので、上記のように書いた)
物事の意志決定や作業が早いとおもわえる。グーグルに採用される人は技術とコミュニケーションの両方がとわれているようでハードルはかなり高いと思うが、そのなかでも、廣島さんは生き方がグーグルの方針に近いのかもしれない。グーグルと共感する生き方としている、というわけではなく、「どんどんおもしろいと思ったことをやって、ときどき、いろんな環境と歪みを起こすこともいとわない」的な意味で。
JTPAの代表をするくらいなので、非常に、いい兄貴分的な側面もあるのだとおもう。今回は時間が短いので、その片鱗がすこし感じられた気がする。
さて、グーグルからアップルへ移動する間、柳澤さんが「社内のメールにさ、ネズミを飼っていそうな人ってかいた」という話をされていて、それってどんな人さ(笑)とおもって、聞き返すと、「映画なんかでネズミを飼っていて、それがつぶされちゃうような人」といわれて、「その人はネルシャツを着てそうな人ですね」というと「そうそう」と。
頭の中に思い浮かんだのは、若干弱気な感じで、頭には軽い天然パーマがかかっていて、眉毛はややハの時で、鼻は丸っこい。ネルシャツのすこしくたったものをきていて、肌の色の色素は薄い。そういう人が思い浮かんだ。
アイデアプラントの初期の頃、ブレストをしていてこういう体験をよくしていた。ブレスト的な人の会話は、頭の垣根がすごくひくくて、ひょいひょいっと相手の頭の垣根の中がみえるような、コミュニケーションのためのおきまりの礼儀とかプロトコルとかがいっさいなしに、相手となにかを共有したり、かけ算したりが、できる状態。柳澤さんは、そういう垣根の極度に低い人だな、とおもう。彼の頭の中のビジョンが、彼の頭の上30センチにプロジェクターでリアルタイムにポップアップウインドーで立ち上がっている気がする。
さて、アップル。アップルまでくるまで30分くらいだったかな。
APPLEの木田さんは、初夏のさわやかな生命の循環と、秋の豊穣な自然、がミックスされたような人だった。
若い頃の写真がネームタグにうつされているが、すてきな気さくな笑顔である。マネージャー的な仕事をされている現在でも、気さくで、大変豊かな雰囲気のストックがある人という感じがする方だった。
アップルの中のことは、書くことで迷惑がかかるといけないので、適度な表現にしておく(というと、廣島さんにハ迷惑がかかってもいいのか、ということになるけれど、そうじゃありませんが。)
アップルの建物は外から見てもきれいで、でも受付を通って中にはいると建物が直線と緩やかな曲線でつくられていてアートな雰囲気がある。ちょうど、劇場のろうか・通路のよう。
その後に木田さんのオフィス(ほとんど物がない、きれいなオフィス)を通過して、中庭にでる。中庭はうつくしい。いったことはないけれど、バーモントの秋、という感じがする。中央受付のある建物は、現代的な建築物である中にどこか歴史的なスタイルを醸す美しいたてものだった。ガラス張りだが、とても有機的なかんじするのだ。
中にはしばふ。木が生えていて、あとできがついたが、リスがいる。それもかなり頻繁にリスが走り回る。
それから建物を中庭を横切りながら紹介してもらう。あそこが、エンジニア、アイフォンとかの部隊も。ここは、マーケティング。あそこにはジョブズがいる(詳しくここにかくことはできる、どの建物のどのフロアか、と。しかし、自主規制)と。
普段、ジョブズにであうこともあるそうだ。食堂できちんと並んできちんとお金を払って買っている、とのこと。
その後は食堂へ。食堂はひろくて、全体的にヘルシーな感じ。先ほどのグーグルよりも、そう感じた。ジョブズが日本がすきということで寿司もあるらしい。カウンターの向こうにいる「みどりさん」に木田さんが声をかける。
そういえば、食堂にはいると巨大なアイフォンがあった。たぶん、中身はTVなのだとおもうけれど、外観は一抱えもあるくらいのアイフォン。いかしているのです。
そして、食堂の外のテーブルで中庭をみながら、会話。
木田さんは、KAYACさんの仕事がどういう物であるのかを熱心にたずねられて、柳澤さんが説明。石井からも石井の職業や状況を説明。木田さんには、これまでの経緯、農学系の大学をでて、アップルの日本法人にはいったこと、そのご、アメリカの本社にきたこと。この辺は梅田望夫さんが以前インタビューされた記事がネット上にあり、その記事を軸にさらに深く聞いた感じ。APPLE一筋でここまでやってきた彼から聞くアップルは「さわやかなクリエイティブさをもった秋の実り」という感じが非常に強かった。秋というと季節が終わりかけている印象を持ってしまうが、先に訪問したグーグルにくらべると社歴は長く、熟成、という言葉が組織文化的に存在していていいとおもう。また、その熟成は、終盤ではなく、まだまだ、初夏の雰囲気ももちつつ。木田自身の印象が、フィルターとして石井にあたえたものもあるとおもうが。
彼らはブランドをつくろうとはしていない。自分たち自身でありつづけよう。誇れる物を作ろう。その結果としてブランドというものができるということもあるかもしれないが、ブランドを作ることが目的じゃない。とのこと。
また、ジョブズの求心力。バラバラになりたいエンジニアのベクトルをかれがしゅうっと一つにまとめる。
アート。
技術や機能は、デザイン(MHI)とあわさって提供される。その意味でアート的な香りがする会社の中である。また、つよい人のベクトルを束ねるそのジョブズのしていることもアートな技量だなぁとおもう。
木田さんに、Idea Pop-up Cardsのシリアルナンバー0003をプレゼント。遊び心のある木田さんはよろこんでくださって、なんだかうれしい。
本当は書きたいことがたくさんあるけれど、そろそろ、本日の行動開始。今日は、梅田さんに会いに行く。その後は、スタンフォードのDスクール(デザインのセンターなのだ)。夜は瀧口さんと面会。
今日のシリコンバレーは曇りか。
2008/12/04 02:24
SV時刻12月3日午前8時24分
★付箋文★