高校生にアイデアワークショップを実施してきました。
今週、5月6日、地元仙台にある高校の美術系のコースを3時間ほど頂戴して、アイデアワークショップを実施してきました。
59名という大人数の高校生さんを相手にワークショップ、というのは、かなり体力を必要とする仕事した。高校の先生は凄い、とおもったのでした。
アイデアの成果物(シートなど)に目を通してみて、社会人向けのワークとはまったくレベルが違っていておどろきました。この短時間にここまで良くぞ書いたなあ、と本当に感心しました。
短時間での発想を繰り返すようなワークをする場合、大人は「アイデアを出す」「有意味性を確立する」ところに時間がかかって、いざ書き出すとさらりと文章で書いてしまいます。コンセプト、というべきでしょうか。
一方でこの高校生たちのアイデアは、というと、「絵」でかいてありました。社会人のワークでも絵で描く人はいますが、その割合は3割以下、というところ。この高校生さんたちの場合は、7割以上が絵による説明をおこなっていました。
そしてその絵も、大人の描くよう「かんたんなアウトラインをしめした単純な図示」ではなく、かなりしっかり書き込まれたものでした。
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しばらくそれを見つめながら、私はすこし、自分の進め方を見直すべきだろうと思いました。
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短時間でアウトプットをしてもらうことになれてしまっていて、短い時間で出さることが当たり前のようにおもっていましたが、かけた時間の分だけ、書き込む絵の細かさが上がるならば、通常の2~4倍ぐらいのタイムスパンを設定してもよかったのではないだろうか、と思いました。
(多分、私が毎年提供している漫画コースの学生さんのブレストでもおなじことを振り返ってみるべきだろうとおもったのでした)
さて、感想はこのくらいにして、大体こんなことをしてみました、ということを報告したいと思います。
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まず、発想の特性を見るワーク。3種類の絵を短時間で描いてもらいます。(この時点で、おや、普通の偏り方とは、なにか違うぞ、と私は内心思っていました。創造的な人がしめす、「そうじゃないほう」の割合が高い、ということに気がついていました。)
次は、智慧カード・ワークをしました。新しい携帯電話のアイデア(今より小さい、もしくは、今より、多くの情報を表現できる、という携帯電話)を、4人でカードゲームのように出し合うことをしてもらいました。
(5分という短い時間ですが、かなり出してくれていました。また、このときに、発見したのですが、男女混合の方が発想の多様性が高い、とおもって混ぜたのですが、ブレストの阻害要因である「評価懸念」が生じることを考慮していませんでした。年頃の学生さんの場合、組ませ方については、すこし考える余地があると痛感。)
次は、アイデア・スケッチです。ゲーム中のアイデアで面白かったものを2つほど、アイデア・スケッチという方法で書き出してもらいました。
次は、ハイライト法です。59名の生徒さん全員が、すべてのシートをチェックして周り、「面白い」「広がる可能性がある」というものに星をつけてもらいました。
この星の数で、アイデア1,2をみつけて、発表してもらいました。(このシートを先ほどまで、工夫してスキャンしていました。このアイデアのシート集、携帯電話の企画チームにぜひ見てもらいたいなぁというものでした。ちょっと、これは、すごい。)
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その後は、フェーズを変えて、アイデアを出す時に大事なこと、として、ブレストの第一ルールである「判断遅延」とその本質にあるものをお話しました。
また、ブレストの残りのルールについても、それが、どう創造的な思考のガイドになるのか、本質の部分をお話しました。
そして、日々の創造的な思考を伸ばすトレーニングとして、「8分+あと10個」の話をしました。
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最後は、ブレインライティングです。「新しい4色ボールペンのアイデア」ということで、シートを回しながらアイデアを出していくワークをしました。
その後、ハイライト法で、アイデアの質を評価して行きました。
これもとてもよいアイデアがたくさんで、文具メーカのアイデア募集に応募してもいいんじゃないだろうか、というものが結構ありました。個人的にもほしい商品アイデアがありました。
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こんなことをしてきました。
今回は、とてもアイデア創出ワークの基本(本当は、6観点リストで発想することもしたかったのですが)を体験してもらいました。
彼らにはある選手権への提案をする、という目標があります。そのため、そのゴールへ向けて、この後実践的な展開をする必要があります。
その点についてすこし考えて見たいと思います。
観察、問題発見、分析、発想、テスト、修正、提案、を。