「やっていくうち、閃いていく」

やっていくうちに、閃いていく。
ブレストにかぎりませんが、アイデアを考えているうちに、だんだんといいものが出てくる、という経験を、ある種の人は持っているでしょう。
これは、頭が持っている特性の一つです。創造的認知、という領域では、シンプルな実験条件で実験的にそれが確認されています。当初は与えた部品でできるとは全く想像していなかったものが、いろいろ発想していくうちに生成される、ということが確認されます。
上の挿絵は、この特性を、イメージを作りやすいように、モデルっぽく、寓話っぽく表現してみました。
頭の中の思考フィールドを「森」にたとえるならば、アイデアを考え始めた段階は、「森の入口から、進もうとするルートを覗き込んでいる状態」です。奥の方は薄暗いのではっきりとはわかりませんが、めぼしい、ぴかっと光るようなアイデアは見渡す限りないように見えます。「やー、どうなることか、いいアイデアなんてなさそうだぞこれは」という感じです。
その森を奥へ奥へと行くと、薄暗い道の奥はカーブであることに気が付きます。そのカーブを曲がっていくと、入り口からは見えなかった景色が見えます。そこへ差し掛かった時に「あ、これは、面白いアイデアが落ちているなぁ」と思えたりもします。
人間の発想は、カーブの奥。
はじめには”到底いいアイデアが出なさそうだ”と感じたとしても、それは、人間の認知の能力がそういうものなだけで、もっと奥まで行くと見える景色が変わります。
”到底良いアイデアが見出せそうにない”というときには、発想のテーマを再設定したり、発想のメンバーを再設計したり、という部分(テーマ設定ワーク)は、もちろん重要で効果的なのですが、それをしても、なお、ざっと見たときに、いいアイデアが出なさそうなときにがあります。そういう時には「人間の発想は、カーブの奥」という特性を思い出して、とにかく何も無いなら無いなりに進んでみることです。
”本当に奥まで行って何もないケースは、ないの?”
実際の所、たまにはそういうこともあります。ただ、目安としては、発想の数が、50~60を超えたあたりから、苦しくなりますが(このイメージで言えば、平坦なカーブというよりは、急坂に入るような感じ)、大抵は、そのあたりから、独創的なアイデアが出始めます。
それでもなお、ぴかっと光るようなアイデアが見つからないときというのも、あります。その場合、新しいインプットを得るべき時期なのかもしれません。