冬の海、暖かな隠れ家、本物のわかめ。あけみ荘(奥松島)
1月27日。大学時代の友人が仙台に遊びに来ました。一緒に東北大で過ごした理論物理の同期生です。なつかしい仙台をぐるっとまわって、昔すごしたアパートや散歩した神社など、仙台の下町を、散策していました。夜には、東北の海の幸を楽しみつつ、広い風呂にはいって、酒も飲もう、ということで、急遽、民宿を予約して泊まりにいきました。
奥松島。この土地は、仙台市内から国道45号を一時間ほど車で北上したところにあります。松島や、でしられるあの松島が手前にあって、その観光地帯を渋滞しながら通り抜けると、ひなびた味わいの奥松島エリアがあります。半島部分の奥のほうに4つの浜があり、昔ながらの味わいのある猟師町の雰囲気が。
そこにある和風旅館あけみ荘まで、しだいに道は細くなり、最後は、本当に車で入れるのだろうか・・・という細い路地を入り、そこに明るい宿の光をみつけてほっとしました。
一歩中に入ると冬でも暖かなその宿はとても気持ちのいいところでした。明るくて料理もおいしくて、なんといっても親父さんは、とっても快活で明るい方でした。少しお話をさせていただいたのですが、その人懐っこい雰囲気からは計り知れない、幅広い知識の持ち主。経営の考え方や顧客の求めるものをとらえる姿勢、常に勉強する姿勢など、曇りのないまなざしで、お客さんに感謝するその親父さんの姿には「商いとは何か」ということを言葉でなく態度で教えられる思いでした。聞けば講演を依頼されることもあるそうで。そういうときは気負わず”ぼっこり”いくんだそうです。(自然体で、という意味のようでした。)

料理もおいしい魚をたくさん食べさせてもらいました。とくに、とれたてのわかめ。これはおいしかったです。さっとなべにくぐらせると鮮やかな緑の色がでて、茎部分はこりこりとしていて平たい部分はきちんと「わかめの味」がする、本物のわかめでした。これはなるほど、うまい。両親に食べさせてあげたい。
冬の海辺、かなり松島からも距離のある、奥まった民宿に、なぜこれほどのお客さんがいるのか、よくわかりました。宿全体がすごく暖かいんですね。うるさくない程度に気配りをして、すごしやすいようにしてくれる。子連れのお母さんたちは子供が遊びまわっても気兼ねしないですむような雰囲気がかもされている。忙しい朝の短い時間でつり体験をしたいというお客さんには1時間という時間での漁を体験してもらう。体験を提供するんだ、という親父さんの心配りに、そのすべてが見られる気がしました。
遠方からのお客さんが仙台に来たら、東北の冬の暖かい民宿で、土地の旬の食べ物をにぎやかに楽しむ。有名な温泉ホテルもいいですが、枯れた味わいの猟師町、気取らない新鮮な食材、なにより人のいい東北人の魅力がここちいい。そんな楽しみ方もあるんですね、仙台には。
追記:この「あけみ荘」は、WEBサイトを良く見てみると、結構取材が来たりしているようです。そんなことは一言も自慢しない親父さん、人柄ですね。