「脳はゲシュタルト(全体性)を求める。」
首記の言葉は、トニー・ブザン氏の『ザ・マインドマップ』(P38)の言葉です。
マインドマップとは、独創的で楽しい発想技法(発想にとどまらない使い方ができます)です。私がアイデアプラントを運営するときによく使ったり、あるいは、まったく未知の分野の方の話を聞く時に、マインドマップでメモを取ったりします。メモ法としてつかうと、メモを取ることで自然と知識が体系化されるという特性があります。
さて、この脳はゲシュタルトを求める。という話ですが、ゲシュタルトとは、ここでは「全体性」といっています。また辞書によると、以下のようにあります。
ゲシュタルトとは、ドイツ語[Gestalt]であり、一つの図形やメロディーのように、個々の要素の総和以上のまとまった意味と構造をもち、変化・変換を通じて維持される形姿。形態。(出展goo辞書)
『ザ・マインドマップ』によると、脳には、パターンや完成を求める傾向がある。とのこと。(例示:1,2,3とくれば4と付け加えたくなる。)興味深いことに、以前、動物保険の社長さんが講演で「ベクトリング」という考え方をおっしゃっておられて、その内容は、「毎回、お客様受付電話の声が、半音たがわずに、全員が同じトーン・リズム・台詞で電話に出る。一回、二回と対応がきちっと同じだと人はその点を結んで線を引く。驚くほど早くベクトリングがなされる。」と。(そして、顧客に対するブランドを作る、とはそういうことだとも。)
また、私自身の経験でも戦略分析のときなどに、2×2の表を作ることがよくありますが、3マス目までは埋まるけれど、4マス目がなかなか思い当たらないときがあります。そのときも、3マスに情報をどんどん埋めていくと、次第に4マス目に相当するものが浮かび上がってきて、それを集約すると4マス目の名前付けができるようになったりします。
あるいは、KJ法のエキスパートの方に創造学会でお会いしたときにうかがったのですが、カード1000枚をグルーピング化していくあの手法の最も大切なことは、カードの総合的な整理、位置づけ、ではなく、全体構造がもたらす意味、なのだそうです。1000枚のカードを書いた時点で情報がずべて、でた。のではなく、体系化されるプロセスとその出来上がった全体像がもつものから、一番重要な情報があぶりだされるのだ、と。
KJ法を行うと最後に出来るツリー構造がやたらとアンバランスになることもあります。また、ロングテールな枝葉もあります。こうしたことが新しい着想を生みます。
脳はゲシュタルトを求める。
これは、時には、「今はわからなくても、フォーマットを埋めていく(あるいは、納得できていようといまいと、一度、手法をまねて一通りやってみる)」ということが、脳に新しい情報や概念をもたらすことがある。ということなのかもしれません。闇雲に手順どおりのことを鵜呑みにしてやり続けるだけなのも危険ですが、時には一度、とにかくやってみる。まねしてみる。手を動かしてみる。そういうことも大事にしたいものですね。
追記:
製品開発の現場においてよく出会うのが、「試作物があると具体的な批判が出る、具体的な改良アイデアが出る」ということです。コンセプトテストのレベルではでなかった様々な具体的意見。これは、人間の脳の構造が、「ここをこうしてこうなったらら、こうで、、、、ここが使いにくくて、ここがこういう風だとこういうよさでる、、、。」という全体を感じる・考える機能があるためではないかと思います。これを総じて、「具体的に動けば、具体的に答えが出る」とも。