新しい発想を求めるなら、インプットを受け止めるツールを持って、街に出よう。
アイデアを発想するときに、
「分析的に項目だてて出したいケース」と、
「これまでに無いような視点で斬新な閃きを出したいケース」があります。
従来的な発想は十分考えつくしている場合、自然と、後者のやり方を試すことがあります。
高名な学者の先生の伝記に「大学の近くの小路を歩いていて、ふと思い浮かんだ」「川のほとりで眺めていたとき、鳥が魚を捕獲する様子に」など、結構あります。
アイデアを出す能力は「インプットの量」×「アウトプットの手法・能力」が関係します。その意味では、外に出て外部の様々なものの中にいて、それらの要素との新しい組み合わせを無意識に行なう作業は、インプット量の増加という点で有効です。
企画づくりや論述に行き詰まったら、なんとなく散歩しに行く、歩き回ってみる、という経験が多くの方にあると思います。実は、発想の意味では、理にかなった行動。
さて、「机の前で発想」と「動きながら発想」という2つ。
後者の有効性は、インプット量の増加をもたらすメリットの反面、直ぐに立ち止まってメモを書くことがしにくい、というデメリットがあります。道を歩いていて突然メモを取り出し書き付けるのもなれないと恥ずかしい。あるいは、アウトドアの場合は、メモとペンがすぐに取れないことも。
「あとで」と思ってやり過ごしたアイデアは往々にして、思い出せなくなります。鮮度が下がりやすい、というべきでしょうか。
私は、「外を歩きながら」あるいは「移動中の電車に乗りながら」あるいは「食堂でご飯が出てくるまでの間」に、ふとアイデアが出てきてもいいように、2つのツールを常に持っています。
一つ目は数年前から使っている「91mm×55mm」サイズのメモカードです。これは名刺サイズで、普段から手にする規格なので扱いやすく、3行程度のメモがちょうどかけるくらいの大きさです。100枚で200円弱のものですが、既存の名刺関連ツールが使えるので重宝しています。(オフィス24などに行くと、意外と沢山あります。ペンとか手帳のリフィルなどの近くにあることが多いようです。)
残したいアイデアは「名刺ファイル」にいれてざっと見れるようにしておきます。名刺のOCRデバイスがありますが、あれに読み込ませれば、大量のアイデアカードもわけなくデジタル化して活用することが出来ます。(名刺ブレーン:現在は、生産中止のようです)名刺サイズのメモカードを50枚くらい、輪ゴムで束ねてポケットに無造作にポケットにいつも入れておきます。壊れてもいいようなペンも一緒に。
2つ目は、携帯電話です。携帯電話は、現代の生活では財布と同じくらい常に身に着けているツールです。このツールにメモしています。しかし、メモしたものが、分からなくなったり、自分に受けて送ったメモがメーラーの中でまぎれていたりして、整理しないと直ぐに散逸するので、次第に使わなくなっていました。
しかし、最近、コクヨさんがリリースしたサービス「ポケディア」というツールを使い始めてからは、格段に、携帯でアイデアのメモをすることが増えました。アイデアのメモを携帯からメールすると自分専用のところにストックされます。その返す刀で、質問(着想のヒントになるような質問)が戻ってきます。ちょっとそれを見て、頭の片隅に入れて、いろいろ別なことをすると、またアイデアが出てきます。外で動き回りながら、いつも身に着けているデバイス(携帯電話)で、豊富な「インプット量」の環境下で発想すると楽しく、発想の幅も広がります。
最近、集中的に、ポケディアを使ってアイデアを出してみたのですが、自然と一日5つ程度を出していけます。机の前でアイデアをひねり出すための1時間を過ごすのは、時には苦しいものですが、ポケディアで外出時のちょっとした時間で発案するなら、ストレスゼロ。一週間後に、PCからポケディアにアクセスしたら、30以上のアイデアがありました。中には、思いついて直ぐに忘れていたものもあって、それらのアイデアリストを意外な気持ちで補足、分類していました。アイデアのチェックリスト、という手法は古くからあったのですが、その高度な活用法を提供しているという意味では、ポケディアは大変優れていると思います。
新しい発想を求めるなら、インプットを受け止めるツールを持って、街に出よう。
佐藤郁哉先生のフィールドワークの本のような台詞になりましたが、まさにそういうことだと思います。
備考:
あなたのアイデア、ケータイに投げて(ITmedia)