戦略的コントロールポイント。
事業には、掌握すべき地点があります。それはいわば、戦国時代における峠の占拠、のようなものです。ある地点に行くにはどしてもそこを通らないといけない、そういう地形には特殊な価値が出ます。そこの掌握者は戦略上、大幅に有利に。その特殊な地点も、戦局が変われば、戦い方が変われば、価値が変わります。空中戦を戦う時代には、地上の峠の掌握に絶対的な力はありません。大きな自然災害や山に火を放つなどの大規模な戦略が投入されれば、そのときには、狭い地点は逆にリスクポイントにもなるかもしれません。大事なことは、その時機を見抜き、現在と近い未来の「峠」を探して掌握すること、と考えられます。その意味でも「戦略コントロールポイント」は重要ですね。
『プロフィットゾーン経営戦略』P66-67より引用。
戦略的コントロールポイントにはさまざまなタイプがある。例えば、
・ブランド
・特許
・著作権
・製品開発での二年間の先行
・20%のコスト優位性
・流通のコントロール
・供給のコントロール
・顧客情報の保有
・ユニークな組織文化
・価値連鎖のコントロール
などだ。それぞれのコントロールポイントは、企業をプロフィットゾーン内にとどめ、競争企業に収益性を奪われないためのものである。業界が異なれば有効な戦略的コントロールポイントも異なってくる。ブランドはあらゆる市場には適用できないし、価値連鎖のコントロールポイントも実現不可能だったり無意味な場合がある。したがって戦略的コントロールを実施するうえでの最初の作業は、コントロールポイントの適切な序列を明確にすることだ。
図表3.3は序列の一例である。(下の図)

この例はあなたの業界には役に立たない(あるいは大きな修正が必要)かもしれない。だがそのことは、あらゆる戦略的コントロールポイントが等しい利益保護の力を持つわけではないことの証明である。優れたビジネスデザインは、少なくとも一つの戦略的コントロールポイントを持っている。最高のビジネスデザインともなれば、それは複数になる。
(引用ここまで)
一般に成功者の成功要因を語る言葉には、端的な表現が用いられます。「ブランド力のアップが最も重要」「コスト削減以外に道は無い」「顧客関係性の改善が最大の利益を生む」といった一要素的な言葉。それは、その企業が十分に他のポイントを考慮し、業界を分析し、顧客を分析し、自社を知った上で、発言しています。その言葉の『○○こそ重要』だけを聞き及んでそれにならえ、と動けばやはりなかなか思う通りには行かない。となるわけです。
大切なことは指の数だけある。その中から自分にって優先すべきは何なのかを分析の上、選ぶこと。
なお、経営指導を行なう場合に、十分に状況を聞かずに、いきなりアドバイスが出来るケースはほとんどないと考えています。アドバイスを受けるときに、いきなりごくわずかの選択肢を提示されたときには「他の選択肢としては何がありますか」と常に聞くことが大事だと思います。そのときに「他に、**と**という選択肢もあります。この局面では、**にはこうしたメリットがありでこうしたデメリットがあります。今回のケースでは統合的に判断して適用しにくい選択肢と考えています。」という言葉が得られれば信用できるアドバイザーだとおもいます。とはいえ、私もそうした手順を、必ずしも、お話は出来ていません。常に心がけたいと思います。