ぬかるみにも戦略拠点が獲得できる。しかし常に注意を。
戦略を地形になぞらえたアナロジー、です。
戦略を、ときに、地形にたとえた考え方があります。山と山の合間には、勝利しやすい戦略ポイント。渇水期には、清流の上流部分が有利な地に。
その意味で、ぬかるんだところ(つまり、通常は戦略ポイントにならないところ。そこに拠点を築いても、充分な戦力が構築しにくいとこと)という場所もあります。
完全に地盤のしっかりしたポイントは、拠点を作るには理想ですが、なかなかありません。戦略ポイントの変わる時期を見定めて先に動いていくことでしかいいポイントは確保できません。
この地盤の確かさは、新事業にとっては何を意味するか。それは、イノベーションの専有可能性の強固さ。イノベーターが充分にそこからイノベーションの利益を上げることが出来るには4つの要因があります。それが一つも確保できない脆弱な立ち位置は、
危ういポイントと見ることが出来る。いわば、戦略地形で言えば「ぬかるみ」
ぬかるみには、新事業は作れないか?答えは否です。そういう場所にも新事業は作れます。しかし繊細の注意が必要なのです。
ぬかるんだ土地で、ゴムボートの上に小さな生産拠点を設置する。それはライバルの参入や環境の変化などで簡単に覆り(くつがえり)ます。 いつでもその戦略拠点は閉鎖(あるいは移動)して対処ができるように、小さく機敏な運営ができるものでなくてはなりません。
長らくその拠点が安定だとしても、大きな上物(建物)をつくるのは危険です。もし大きな拠点を構築するならば、ぬかるみを強固な地盤に変える作業が先に必要です。つまりイノベーションの専有可能性の4つの要素のいずれかを確保しておくこと。(パテント、技術の複雑性、補完資源、リードタイム)これらのどれかを確実に物にできれば、ぬかるみだったポイントは、自組織にとっては硬い地盤に変えられます。
新事業の際には、小さく生んで大きく育てる。というスタイルが適切です。小さく生んで、の場合には、「ぬかるみ」でも充分いけます。(逆に、良い立地は既に既存のガリバーが生息しているので、責めにくい。)
いずれ拡大の時期が来たときには、「ぬかるみ」で得たものを総動員して、地固め(専有可能性をおさえていく)します。さもなければ、その新事業は、環境やライバルの変化によって沈みます。 あるいはわずかな微風や自重すらもリスクに。
まとめ
ベンチャーはメガトレンドの傍流を行け
ぬかるみにも戦略拠点が確保できる
小さく生んで大きく育てよ
↓
1、固い地盤の近くにあるぬかるみを見つけよ
2、ぬかるみに、小さく新事業を展開せよ
3、得たものでそこを地固めし、大きく事業を育てよ。