先に褒め、後に判じる。(先褒後判:せんほうごはん)
クリエイティブな心理様式は、「拡げてから、絞る」です。
簡単に言えば、数限りない選択肢やアイデアを作り出し、そこから質のよいものを選び取っていく。あるいは、組み合わせより良いアイデアに進化させていく。
こう表現すると最もな話だ、とうなずく方は多いでしょう。
しかし、その目線を「空からの俯瞰」でなく「陸上を走る実際の目線」に落とすと、かなり意見が割れます。日本の社会の多くに共通する文化性が特に、この心理様式とは矛盾するような思考パターンを持ちます。
「最初に褒めよ(Praise First:プレイズファースト)」
これは日本の社会にいつの時代も足りないのが実情です。景気が低迷すれば「社会の閉塞感」という記事が増えます。2002年のプレジデントにヒントとなる話があります。あるいは、PHPのトヨタの記事にも興味深い話が。
最初に褒めて、後から判じる(批判する)、というのは、いわば、「二階に上らせておいてはしごをはずす」ようなケースも出かねない。そのことが、プレイズファーストを避けさせていると考えられます。
ここについては、最初に褒めないことで、生じる損失(発見していたかもしれない事実やアイデア)のことを意識する必要があります。極端な表現をすれば。
多くの場合、日本のマネージャーは、最初に批判して、後で褒める。これは単に「プレイズファースト」の順序を変えただけ、でしょうか。実はチームの意識の持っていき方、いわば心理学的な部分で違います。
風船のアナロジーです。風船を膨らませるのが「褒め」であり、風船の上に重たい分銅(重り)を乗せるのが「批判」です。
プレイズファーストは、分銅を載せる前に、風船に沢山空気を入れて、ちょっとやそっとでは風船がつぶれてしまわないようにすることです。(シネクティクスなどの手法では、パンパンになるほど、ヘドが出るほど褒める、ということをします。)実はその後、創造工学の手法では、分銅を本当に沢山載せます。懸念点を出尽くすまで上げます。批判ブレスト、とでも言うべき作業をします。それでもつぶれない風船がいるのです。
順番を逆にしたら、どうなるでしょう。先に、分銅を載せまくります。すると風船がつぶれてしまいます。チームとしての意識(その企画への求心力)が折れてしまいます。いわば、そのアイデアはつまらないものにかすんで見えます。その後にどれだけ風船を膨らまそうとしても厳しいものがあります。
先に褒め、後に判じる。(先褒後判:せんほうごはん)
という言葉は、一般にはありませんが、クリエイティブなチームを醸成しようとしたら、”せんほうごはん”を思い出してください。