具体的な例を3つ見せてもらう。
優れた起業家や、リーダを見ていると、「新規分野の判断能力化(※1)」に共通することがあります。
※1「新規分野の判断能力化」とは
(注:ここで初めて定義します。)新規分野に飛び込んだビジネスリーダは、初めは分野の中を探索し発見し理解する。そして仮説をもとに小さく行動し行動を微修正していく。次第に、大きなアクションを起すようになる。そのころになると、彼らは、業界内の平均以上の判断能力を身に着けている。その状態を、その分野における判断の能力がついた状態「新規分野の判断能力化」と定義します。
彼らに共通すること、それは、飛び込んだごく初期の段階で、具体的な事例を精力的に見て回る、ということです。そして初めは謙虚に広く業界を回り「猫をかぶっていた」のかと、驚くほどある時点からはきびすを返したかのように、躍進劇が始まります。(武道でいえば、静から一挙に動に転じるような、試合運び。)
これは、ゲームに参加したときにも見られます。目にしたことの無い新しいゲームに取り組むとき、基本的な打ち手を試してみて、何が起きるか、実際に体験します。ここで奇策や例外的な打ち手はまだ試しません。最初に基本を踏みます。そして、およそ「こうしたら、こうなる」といった基本パターンをつかんだら、飲み込みも早く、次々とせめて行きます。
この静→動、のタイミングを一体いつにするか、ということがその人の仕事の適応性に関係しています。
学者的なひとは、かなり長い期間、その「静」で観察します。およそ例外にあたるものまで含めて、把握して、それから「動」に転じます。一般に仕事の要領が悪いと判断されがちです。しかし、次に類似の仕事を任せた場合に、仕事の処理速度がかなり早い。これは基本をマスターしているからです。
一方で、場当たり的なひとは、その事例にだけ適用できる解決策を直ぐに見出して、仕事を完了します。要領がいいと評価されます。しかし、類似のケースに基本パターンを適用することはないので、類似の仕事が多く来る場合、学者的なひとのやり方に負けることもあります。
優れた起業家やビジネスリーダは、その最適点を行きます。つまりこうです。
学者的に100点を取ろうとすると、一品モノの仕事の時には、時間が借りすぎる。場当たり的にそのケース限りの解決を行うと、応用力がつかなさ過ぎる。なので起業家は、優れた3つくらい事例をみて、それを元に判断基準や極少数の基本パターンをつくり、小さく動き、順次微調整し、確信を早い段階でつかむ」ということをしています。
以上、まとめます。
「新規分野の判断能力化」を早く行うには、
「具体的な例を3つ、素早く見て基準を作る」ことが近道のようです。