音楽創作ツールに成長市場の兆し
ひさびさに、ベンチャープラン「音co知心(おんこちしん)」のことをおもいだしました。このプランは2007年のキャンパスベンチャーグランプリで優秀賞をいただいた私の立てたビジネスプランです。
音=音声、音
co=コンテンツ
知=知識、情報
心=心、感情
音声コンテンツを通して、知識や心を伝える「音声コンテンツマーケット」という意味です。
温故知新の音をもじって、ベテラン世代の知識や心を”音”を通じて若い世代に活用させたい、という思いもあり、この名前をつけています。
このプランで立てた「素人のボイス、取った音」が経済的な価値を伴って流通する、というアイデアは、世の中を見ると一部では徐々に登場してきています。
この流れに沿ってい、いろいろと、可能性が見えてきました。
キーワードだけ、列挙をしてみたいと思います。
デバイス
・エアギターネックデバイス、テルミン、コルグ、ヤマハ(TENORI-ON)
ソフトウエア
・作曲ソフト(フラクタル技術)(音楽研究所)
・ボーカロイド、ボクロイド、ボカリス
コミュニティー
・ニコニコ動画
・Youtube
エンターテイメント
・アフレコ!(バンダイナムコ/ジョイサウンド)
その他
・iPodのライフスタイル化
・大容量メディアの急速な廉価化
・感性価値創造への流れ
これらの動向には、非常に注目すべきところがあります。萌芽的技術や熟成技術の水平展開、新市場と既存市場の質的転換。技術も市場も、ゼロからのクリエイションと、既存の転換、の両方の存在があることが特に有望性を高めていると思います。
個別の事例がどう発展するのか、また、「音楽創作ツール」というカテゴリーがどういう発展をするのか、ある種の文化を作るのか、期待が寄せられています。また、コルグ社のX-Yのタッチパッドによる「音楽づくりの楽しい所を」というコンセプトに見られる考え方は重要な展開を見せると思われます。その製品が成長・熟成・衰退を迎えつつある時期に、ニコニコ動画などの台頭で急速に支持されて成長するという事例はその一部であるのかもしれません。
なお、「こうだったら面白いな」と思ったアイデアとして次のようのなものが考えられます。
身体作曲デバイス
モノをちかづけると音の高低やリズムが変わるデバイス。一定のリズムを刻んでいて、腕や足でその変化をつける。それを半径1.5メートルに4つ置いて、腕や足を動かしてダンスをする。すると、その音が次第に変わっていく、あるいは、一定の動きをしていくと、適正な音楽になっていく。そうして、楽しみながら身体を動かすというダイエット市場に受け入れられる。あるいは、キーボードを触るのはいやだけど感覚的に作曲してみたい、という属性の方(そして身体的なハンディーキャップなどの方)に、指揮者のように作曲を楽しむ知的エンターテイメントツールとして受け入れる。そういった可能性を考えていました。熟成技術の組み合わせ+身体の可動範囲、可動速度、で十分、多様な音楽をかなえられる「人間工学+感性工学」のアプリ開発が、キーになりそうです。
身体アフレコ
アフレコ!のように、カラオケでアフレコを楽しむ新しい「なりきり」系のエンターテイメントが出てきました。ちなみに、子供の商品市場では「なりきり度」の高さを売りにしているものが多く見られます。カラオケがエンターテイメントとして伸びた当時、同時に、歌うのは恥ずかしい、という人がいました。アフレコにも同じことが起こることが予想されます。恥ずかしさを回避する意味合いと、なりきり度を高める意味合いで「動きでアフレコを入れられる」というエンターテイメントの可能性がありそうです。返信ポーズや、劇中の主人公と同じ動作をすることで、セリフが再生される。遅かったり、小さいと、ずれたり音が小さくなったり。そういう「エクササイズ」と「アフレコ(もしくはカラオケ)」の融合カテゴリーがありそうです。
これが仮に成立するならば、いずれ、車に搭載されるでしょう。運転中、音楽を聴きながら、ハンドルをパーカッションにする人がいます。それを指の動きでドラムがたたけたり、小さな首の動きでエアーギターのように、ギター演奏部を入れたりできるようになって、眠気覚まし、ドライバーの適度な血行促進、がはかれるなど。
音楽創作ツール、という市場には、今後の発展可能性がありそうです。インスタントカメラ(写るんです、など)が、素人でも写真を撮る楽しさを開いたように。