三つに分ける
齋藤孝さん(大ヒットした著書『声に出して読みたい日本語』、企画をされている「にほんごであそぼ」などがある)が子供向けに書いた本のシリーズが示唆に富んでいます。
シリーズの第10巻は『ちょっとお金持ちになってみたい人、全員集合!』というびっくりするようなタイトルです。内容は大人が読んでも、う~んと唸るようなシンプルな本質を表現しています。決してずるがしこいノウハウというわけじゃなく、むしろ、人の役に立つことをベースに価値提供と独自性の創造の考え方を平たく説明している素晴らしい本です。
その中で、特に印象に残った部分があり引用します(同書、P32)
(引用ここから)―――――――――――――――――――――
赤字を出さないコツは、計画を立てること。これに尽きる。そして、計画を立てるコツは、お金を分けることです。三つに分けるといいですね。
1.ぜったいに使うお金
2.使うかどうかわからないお金
3.ぜったいに使わないお金(貯金)
おこづかいをもらったら、この三つに分けてみる。実際に、おさいふを三つ持って、三つに分けるといいかもしれないね。
―――――――――――――――――――――(引用ここまで)
1は最初にどけておく。
3はもらったお金の10分の一ができたらしっかりしているといわれる。
その上で、曲者は2、だといいます。ここがコントロールのしどころだと。
敵がお金をむしゃむしゃごくんと食べちゃう、といって敵と対処法を書いてあります
敵1:人が持っているものをほしくなってしまう症候群
敵2:衝動買い
そして、選ぶことをワクワク楽しみながら行う3つのコツが述べられています。
相場を知る(いろいろ比較しよう、情報を集めよう)
素材を知る(もともとの素材はなんなの、透視してみよう)
自分を知る(一点豪華主義、自分の中に基準を作る)
ここまで読んで、なるほどなぁ~、と思いました。起業家の仲間も多いですが、どんぶり勘定で収支黒という人もいますが、赤の人もいます。この小学生向けの本は、会計の本を読む前に、数字の嫌いな起業家さんに読んでもらいたい本です、ぜひ(しかも、一晩で読めます)。
私がここで書きたかったのは、「時間」に置き直したら、ほぼ同じ議論がなりたって示唆があるのではないか、とおもった、ということです。
ちょっと書いてみます。
時間を3つに分ける。
1.ぜったいに使う時間
2.使うかどうかわからない時間
3.ぜったいに使わない時間(貯時?)
敵1:人がやっていることをしたくなってしまう症候群
敵2:衝動的に無為な時間の使い方をすること
あることをやるのに必要な時間(所要時間の相場)を知る
所要時間の構成要素(何にどれほどの時間がかかる)を知る
自分を知る(これだけは、贅沢時間を使う、他のは余計な時間出費を抑える)
こうすると、いろんな示唆がありますね。
実は、その1.2.3.については、カードにして、手元に持っておくようにしました。机の前に座り、さあ、仕事をしよう、というときに、その仕事ははたしてカード1.2.3.のどれだろう、とめくります。1.じゃないものについては、後回し。あとでやります。メールが来ていたら、すぐに下からやる、ではなく、1.であるものから取りかかります。それが終わったら、次の仕事に取り掛かる時に、また、カードをめくります。これはやってみるとすこぶるいいですね。仕事中にちらちら用件が飛び込んできますが、「1.」の仕事をしている、と目で見て認知できると、作業が中断しにくくなります。しても、戻りやすくなります。迷わない、というのは大きい、ですよね。
この本、よかったら、ぜひお子さんのため、あるいは、経営者、ビジネスマン本人のために、読んでみてください。お勧めです。