お正月カードゲームで盛り上がる(テストプレイを兼ね)後編
1月2日の日記を続けます。
カードゲームのテストプレイの様子を報告します(後編)。

~テストプレー4~
「tell me a story」(Little Robot’s Mission tell me a story Creative Story Cards)
私と妻の妹と私の娘(5歳)にて。
先にやったおとぎ話(Fairytale)ト同じ、テル・ミー・ア・ストーリーのシリーズ。今度は、私と帰省してきた妻の妹(なんと私と同じ誕生日!)でゲームスタイルの勝負。一枚ひいて、そのカードで適当な話を作る。次の人はそれを踏まえて、カードが示す場面を即興でお話として語る。それを繰り返していく。カードが突然関係ない場合は、一方そのころ、とかいって無関係なストーリーも福潜で始まったりしておもしろい。5歳の娘は面白がって見ている。参加してご覧というけれど、お話を聞きたいので見ている、という。義理の妹との対戦はつづき、最終的に残り一枚までいって、カードとして大縁談を迎える…はずが、最後の一枚はさほどの展開もなく、しまらない(笑)。それはそれで面白いのだけれど。
これは、相手が楽しむだけの勢いを持っているとかなりおもしろい。即興劇に近い知的なテイストがある。カードもよくできていて「情報」+「コンテキスト」で、意味が決まる、という構造をよく具現化している。あるシーンで出てくると「敵のわなだ!」というトーンに見えるが、たぶん、別のストーリー展開でこのカードをみれば、「心配そうに見守っている」ともみれるだろう。カードはそういう場面場面の典型例のようなものを、ポップで楽しい色遣いで書いている。これは、漫画家さんのお話づくりのためのトレーニング教材としてもおもしろいのではないだろうか。
(逆に、マンガから、シーンや人物をカードに切り出して、同じくランダムにシャッフルすることで、結構なストーリー・創作・トレーニング材料ができるのではないだろうか。というアイデアをふと感じた。)
~テストプレー5~
「ととあわせ 越中富山版」(”とと”は魚へんに魚)
私と妻と妻の妹と妻の祖母と私の娘(5歳)と親戚の叔母さんにて。私と娘を除き、皆、新潟出身。
はじめは、娘と二人で、日本語の練習的に8枚程度、拡げて実施。上の句を私が読んで、娘が魚のカードに書かれたひらがなの文字を見て、相当するカードを探す。親戚のおばさんがそれをみていて、「ほれ、これだ」と娘に教えはじめる。そのうちみんな集まってきて、全部を広げて本格的に始まる。
50種類くらいの魚のカードのセットがある。左は、魚の顔と魚の名前。右は、魚の尻尾と魚の句。それから魚へんに何々、という感じがおおがきしてあり、左のカードは魚へん、右のカードはつくり。たとえばカレイは魚へんに葉。これが、カードに左右に分かれて書かれている。
さて、上の句。マグロ、とか、いくつかの魚は、魚の名前そのものが上の句に含まれていて、それをきけば一発で魚の名前がわかる。あとは、かるたと同じで先に見つけた人が取る。娘と親戚のおばさんが早い。
上の句が難しいものもある。魚の名前が入っていないで上の句の説明から推測するしかない。それでもたぶん、これ、とわかるものと、「富山の魚事情」をよく知らないと、お手上げ、というのがある。「ととあわせ 越中富山版」という名称になるほど、とおもう。しかし、新潟は越後の国。親戚のおばさんと妻の祖母は上の句の意味するものが分かるらしく、どんどんとる。なるほど、これはこの土地でやるならば、年長者がハンデをもらえるしくみであって面白い。全然ゆかりのない土地なら、富山の魚事情に詳しくなるという商品テイストになる。
一通りやって、結構な盛り上がり。普段、こういうことに興味を示さない妻も、面白かったとのこと。デザインも、ただ、魚を正確に買いあるのではなく、魚の表面のカラーをイメージする着物柄である点がなかなかクール。初めはこれは魚を間違えて娘が覚えるか、ともったが、その心配はいらない。ここまで違えば、そういう感違いはしないらしい。むしろ、大人がみても、伝統的、というテイストが醸されていてよい。
~テストプレー6~
「仙台弁かるた」
私と私の娘(5歳)と親戚の叔母さんにて。
50枚くらいのカードセット(読み札と取り札)とCDが入っている。CDは再生する機械が身近にないし、おお下げになるので、カードだけで始める。だんらんにCDプレイヤーは大袈裟になりすぎて、もちこめない雰囲気。
とり札を並べる。「あ」のカルタは、あっぺとっぺ、とかいていある。読み札は、仙台弁。ひごふえで、あっぺとっぺなー、よぶおっぴさん、という表現であったと思う。仙台のTVで人気者の「本間ちゃん」がこういう風なよみかたしてたなぁとおもって、よんでみる。新潟の皆さんはさっぱりわからない。ぼくもこれがただしいのかさっぱりわからない。娘はどこが、「あ」の札をさしているのか、上の句(読み札)からは、読み取れない。
仙台の人が一人もいない(私は仙台永住と決めて住んでいるけれども、仙台生まれではない)ので、見たことない言葉に戸惑う。CDをかけてみようかとおもったが、そのうちみんなが、札をとることに難しさを感じてしまってテストプレーが終了。
・・・まとめ・・・
今回のテストプレーでは、「tell me a story」が最も示唆深かった。まず、英語の製品だけれども、カードにはまったく英語がかかれていない。ということは、世界各国で使える。実際、英語の製品であることを全く意識しなかった。そして、非常に知的な要素をうまくデザインしていると感じた。コンテキストでインフォメーションが持っている「意味」が変わる。そういうクリエイティブなゲームとして洗練されている。コクヨのお話カルタ、というものを以前したことがあるが、あれを数段洗練した感じ。向こうは向こうで幼児向けにほのぼのしていていい。コンテキストによらず、インフォメーション≒意味、としてとれるので、幼児もお話づくりができるのだ。
それから「ととあわせ」。商品設計上の示唆が深い。モノとしての質感がとても高く「カルタ」と呼ぶにふさわしい手触り、カラー、掲載する絵のテイストを、している。なぜ、上の句の札に「つくり」を書いているのだろう、と始める前は思った。とり札に書いて、ひらがなを外せば、漢字当てクイズ的要素をもてるだろうに、とおもった。しかし、それは、手順としてかるたゲームでは必要がないし、家族で楽しむには敷居が高い。
むしろ、かるたをゲットしたあと、「”ひらめ”って作りなんだっけ」「葉っぱの葉だよ、ほら」「あ~、そうそう、そうだよね」という会話が楽しめる。上の句を読む人がかなり勉強になって、たいくつしないし、すごくいろんなインセンティブがいいようには垂らしている。
いろいろ興味深いテストプレイであった。