話し方教室で学んだこと。
私は東京で企業に努めていたときに、営業スキルの向上を目的に、話し方教室に通ったことがあります。それ以来、一つの特技となったものがあります。それは、「タクシーに乗って運転手さんに10円端数をおまけしてもらう」というものです。
運転手さんは非常に物知りです。特に霞ヶ関・虎ノ門あたりを拠点にしている運転手さんは、政治・経済・海外動向・大手企業の経営者交代など、ビジネスマン向けの話題を努力して新聞もチェックしたりラジオを聴いたりしている方も多いのでどんな話題にもかなりのコメントをくれます。これは結構おどろきます。また彼らは、いろんなお客さんの話をたくさん聞いて旬の情報、貴重な情報もたくさん得ています。
私が話し方教室で学んだ「話し上手の最大のコツ」は「相手の話をよく聞く」ということでした。その実践練習をタクシー運転手さん相手にしたのです。
運転手さんたちは、聞き役に徹してくれるお客さんにはとても喜んで生きた知識や社会への洞察、自分の考えるなどを話してくれます。大体の運転手さんは、こちらにとってもとても役に立つ知識を提供してくれます。そして降りるときに、お釣りを出しながら「お客さん!10円端数おまけしときますよ。」とうれしそうにおまけしてくれます。経験的には10人中3人くらいの確率です。個人ではない無線タクシーの方は、そんな端数おまけの裁量はないとおもわるのでガムを買ったときに自分の懐から補うのだと思われます。
このとき運転手さんたちの本質的な心理はなんだろうと考えてみました。彼らは多様なお客さんの話へ相槌を入れたり、気の利いた会話をするために、知識をたくさんインプットしているわけですが、人間、たくさんインプットしたら、それなりにアウトプットしたくなるもののようです。こういうことが運転手さんたちがよろこんで端数おまけしてくれていることの根底にあるようだと感じました。
タクシーで10円おまけしてもらうときには、それ以上に自分の「教わる技術」が育成され、また自分のインプットも増えます。ぜひ機会があったら試してみてください。(ただ、仙台の運転手さんは、控えめで比較的静かにされている方が多いようなのです。)