オリジナルの発想法を作るヒント
中山正和氏の『創造工学』に興味深いくだりがあります。中山氏はNM法でしられる創造技法の大家です。同書より引用します。
『人に言われなくても自分が持っている☆記憶を引き出すことができるような方法を考えれば、これは一つの「発想法」になります。』(P11)
補足:☆記憶とは、自分の内にはあるけれど思い出そうとしたときに思い出せはしないもの。他の人の発言や刺激などで思い出すことがあるもの。(ただしくは、こう定義されています『コトバとつながってはいるが、人にいわれなければ思い出すことができない』)
このくだりは実に興味深いと思います。SCAMPERカードツール(TOIカード)やTRIZカードツール(智慧カード)は、発想トリガー・セットとしてゲームの中で使われますが、それが本質的に持つ意味を考えるヒントにもなります。
TOIカードも智慧カードも、ともに「膨大な知識からエッセンスを煮つめて、40~50のパターンに分類した」ものであり、およそ十分な多面的思考をもたらすもの、としてそれ自体に価値があり、かつ、それは発想を引き出すトリガーでもある。
しかし、上記の記述は少し違ったことを価値として見出しています。「人に言われなくても自分が持っている記憶を引き出す方法」です。完全なトリガーセットだとしても、本人には本当に全くなじみのない数枚のカードからは何にも発想は湧いてきません。インプットがなければアウトプットが望めません。その点では、既存のトリガーセットより有効かもしれません。(ただ、万人が同じカードセットを使う、という意味では現在のようなまんべんなく多様なものをベースにしているほうがいいでしょう。)
およそ、対象をもれなく埋め尽くす要素セット(ダブりは許す)を使えば、オリジナル発想法のヒントが得られそうです。今、即興で3つほど考えてみます。
1)47都道府県発想法・・・47都道府県の名産物をヒントに新メニューを発想。
2)かわら発想法・・・河原の景色に見えるものすべてをヒントにしてネーミングを発想。
3)カフェ発想法・・・周りのテーブルから聞こえる単語群から企画を発想。
これを通して少しわかりました。
有限時間内に、容易に、異なる要素を30~50くらい集めらそうであること。(10では少ない)
それらはその閉空間内で偏りがないこと。(缶コーヒーの名前、はちょっと適さない)
人生で多くの経験をした対象であり記憶の中にかなり再現ができること。
そんな対象を拾い上げることができれば、オリジナルの発想法は作れそうです。