商品プロデューサーとしての仕事
2月3日。開発パートナー企業との打ち合わせが2件、続きました。1つは先般からお伝えしている「春に出す、アイデア収束のチームツール」です。もうひとつは、「食と農の分野の新規事業アイデア創出のためのツール」です。後者は、カードゲーム型のものです。
どちらも長い胎動をへてそろそろ世に出るのですが、おもえば、プロジェクトの初期段階ではどういうところにたどり着くか、おぼろにしかなかったものが、そろそろ完了する(でも商売としてのスタートはこれからはじまるのですが)、ということで、すこし感慨深いです。
知的ワーク分野の商品開発プロデューサーとしての仕事をしてきて、昔よりもずっと、無いものを描き出すのが早く、確かな概念スケッチができるようになったんだなぁと。我が身を振り返りおもいます。ただ、それが慢心になってはいけない、とつねに戒めながら。
こういう仕事を通じて分かってきたのは、ワークのプロセスを「深くしていく」ことと「複雑になってしまう」ことにはとても高い相関がある、ということ。
その上で、優秀な、支持される製品は「トリミング(削る)のトレンド」を経て市場に出されているということ。
良くできた製品には「説明がいらない」というデザイン的特徴がありますが、それは、トリミングのトレンドをへています。必ずしもすべてに成り立つ法則ではないのですが、特徴的な一つのパターンです。
ちなみに「トリミング」というトレンドは、TRIZの技術進化トレンドの中の一つです。このトレンドをめぐり示唆されていることが、この優秀製品におけるトリミングに示唆をくれます。
テクノロジー分野ではいつ、トリミングのトレンドがおこるか。それは、複雑さがマックスまで行った後で、です。途中でトリミングはおこりません。厳密には、例外が無いわけではないですが、多くの領域での傾向としていえば、あまり起こりません。
商品開発の中でも、「深くすること」をすすめていくとどんどん「複雑になってしまう」ことがどうしても起こります。しかし、それでいい。まずは、それでいい。複雑さのマックスまでススムに任せます。さらに「深く」すると、「トリミング」が自然と見られるようになります。登った山を反対側へ下るように、「複雑になってしまったもの」が「すっきりしたもの」へ洗練されていきます。
いきなり、ここにむかって、えいっと、ジャンプ出来ないもので、どうしても、洗練の前に、複雑さのピークをへないといけないみたいです。
さて、そういう傾向がわかったところで、今度は、トリミングはどこまですすむのか、が知りたいポイントになります。
技術のトレンドでは「最後はその機能だけが存在し、物体としては無くなる」とされています。カーナビのディスプレイがプロジェクターでウインド表示になり、最後には、プロジェクターすらもなくなり、たとえばヘッドライトから前方の道へ、地図が投射される、そんな感じです。
それほどエクストリームなポイントは目指さないとしても、良い頃合の、到達点があります。それを言葉で表現すると「無いと成り立たないもの以外は、削る」です。
重なっているもの、削る。
あった方が良いもの、削る。
いつか必要になるかもしれない、も、削る。
ないと解釈に幅が出てしまうもの、も、場合によっては削る。
(それは、時に、良い効果をもたらしますが)
そんな感じで、せっかく煮詰めてきたエッセンスをさらに
引き剥がします。作り手は辛いですが、使い手はより使いやすくなります。
・・・。
そんなことを、経験が学ばせてくれました。
とはいえ、古典的な名著の中には、創造の基本プロセスとして、同様の構造はよく語られていることでもあります。
創造と言う作業は、広げると絞る。それはミクロでもマクロでも。フラクタルのような構造で、スケールダウンして行っても、俯瞰して行ってもみられる2大要素、です。