4%の時間が、64点をたたき出している。
パレートの法則、という言葉があります。「20対80」とも表現されます。日用品をつくるメーカのもつ数百に及ぶアイテムのうち、売上の8割をたたき出しているのは全体のたった2割である、といった事例をさして、「全体のうち重要なものは実は比較的一部のものに限られている」といったことを意味する言葉です。「全体の2割の時間が成果の8割をたたき出している」という言い方も出来るかもしれません。
一週間かけて行う仕事だとしたら、効果的に集約すれば、一日あればその週に期待する成果の80点ができる。そういう計算です。その後の効率の下がる仕事はもう捨ててしまえば、実は一週間で5人分の仕事ができる計算になります。さすがに5つの仕事をどれも二割の重要な仕事にするのは難しいかもしれませんが、多くの仕事をこなす人というのは、こういう仕事の本質化をすることがうまいのかもしれません。
私が社会人ドクターをしていたときに、いろんな活動にかまけて研究は一年のうち数週間だけ、というスタイルで集中的にやってのりきっていました。大体一年間のうち4%で、なんとか、ぎりぎり及第点をとっていたような気がします。これをふとパレートの法則を延長して適用したら次のように言えるのではないか、とおもいました。
0.2の時間で、0.8の成果。という構図を、0.2の中にも適用。
0.2*0.8の時間で、0.8の0.2の成果(0.16)
0.2*0.2の時間で、0.8の0.8の成果(0.64)
つまり、4%の時間に、全体成果の64%が作り出されている、ということになります。これは単に数字をかけただけなので、パレートの法則が実際にこういう2重で適用できるかどうかは定かではありませんが、可能性としてないともいいきれない。むしろ、人間の集中力、ということを考えると、実はこういう、4%の時間で64点(~及第点)をとることをしていることが当然のような気がします。
そう思ってからは、私はだいぶ気が楽になりました。本気で集中すれば、人は4%の時間で64点が取れるようになる。そう考えると、出来ないことなんてほとんど無いような気がしてきませんか。
ちなみに、この4%状態はきっとすごく集中して体も疲れるだろうと思われるのですが、仮にもしずっとこの状態でいられるとしたら、持ち時間をフルにこの状態でいることで、約25人分の仕事(~25人分のぎりぎり及第点の仕事)をすることが出来る計算になります。本当に仕事を本質化することができたら、人間は通常の25倍くらいの仕事ができるのかもしれません。この25という数字はちょうど、社長1人で社員全員をケアできる規模の人数に近いことも興味深いです。ある意味社長の仕事とはこういうものかもしれない、そう思います。